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2BUY10%OFF施策の弊害

★2BUY10%施策をよく見かけれるけれど。。。

セール時によく見かける施策に、全品2BUY(表示価格より更に)10%OFFという施策があります。昨年は、コロナ禍の影響で、2BUY20%という施策も良くみられました。マーチャンダイザー(以下MD)として、このような施策を実践するメリットは、1品1品ごとにきめ細かくセール価格を見直す必要がなく、楽な業務である!ということです。また、この施策によって、SET率があがり売上が上がることで在庫消化も促進される!ということがあります。ですが、2BUY10%施策で在庫消化が促進されることで、売上原価がアップするわけですから、粗利益を喪失するのも事実です。2BUY10%なので、粗利益には大した影響はないかもしれませんが、上記のような施策を行った場合、どのくらいの粗利益を喪失するのか?ということを、以下考察していきます。

 

〇ある組織A

・組織の平均値入率は65%
・セールが始まって2週間累計の粗利率は45%。OFF率は約36.4%。

上記ような組織があった場合、2BUY10%を実践することで、2人に1人が商品を2点購入した場合(SET率1.5)、商品の約66.7%が更に10%OFFの対象となってしまいます。このことでどのくらいの粗利率が低下するのか?と言いますと。粗利率は約41%となり、約4%粗利率が低下します。

更に、3人に2人は商品を2点購入した場合(SET率1.67)、商品の約80%が10%OFFの対象となり、粗利率は約40%となり、約5%粗利率が低下し、思っている以上に粗利益を喪失します。(因みに全品10%OFFで、約6%の粗利率が低下。)

更に言えば、このような施策を行って在庫消化が促進されるのは?これまで売れていた商品であることの方が多い!というのが事実でしょう。そのことで、本来取れた筈の売上・粗利を喪失していることも多く、本当に在庫消化を促進させたい商品がそのまま残ってしまった_| ̄|○では、本当の目標であった筈の不振商品の在庫消化が思うようにいかなかった等ということになってしまいます。

 

★2点購入した方が、1点購入するよりも安くなる?

まだまだ、2BUY10%の弊害はあります。

例えば、シャツ1点10,000円の人気商品を購入しようと思ったとする。すると、ハンカチがセール価格500円で売られていることに気づいたとします。そうすると。

→10,000円(シャツの売価)+500円(ハンカチの売価)=10,500円(合わせた売価)

これで、2点購入で10%OFF適用となるので、

→10,500円(2点購入の売価)×10%=1,050円(商品2点の値引高)

→10,500円-1,050円(10%値引高)=9,450円(2BUY10%で2点買った場合の売価)

となり、欲しいシャツを購入する際に、シャツ+ハンカチで、商品2点購入した方が、シャツ1点を購入するよりも欲しいシャツが550円安く購入できる!ということが起こってしまいます。(私はこのことで過去何度か得をしました。)

 

★MDは楽な施策を取る前に、すべきことを考えてください

安易に2BUY10%OFF施策を取る組織は、”2BUY10%だとMDにも店頭にも負担をかけない(セール価格張替作業がなくなる)から楽でいいや!”と、考えている方々が多いのかもしれません。しかしながら、上記の例で示したように想像以上に粗利を持っていかれる上に、2点購入した方が、商品1点で購入するよりも安い!という、本末転倒なことも起こります。

また、アイテム・カテゴリー単位で見ても、更に10%以上のOFF施策が必要ではない!アイテム・カテゴリーも多い筈で、本来は、このような施策を安易に実践する前に、売れている商品は、むやみやたらに値下げをせず、動きの良くない商品にベターなセール価格を設定し、出来る限りの粗利益を確保しながら、在庫消化を促進することが、本来MDのすべきことです。
このことには、正しいMD数字の知識・並べ方で組織の状態を可視化する必要があります。(更に言えば、日々店頭に足を運び、実際のお客様の反応を見ることが重要。)
そのことは、私の他の連載にも常々記載しておりますので、ご興味のある方は下記の連載も併せてご覧くださいm(__)m今回のブログはこれで終了です。

売上・粗利・仕入・在庫表を活用してみよう①

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