メールマガジンを登録していただくと、セミナー・イベント開催のお知らせやブログの更新通知をお届けします
アパレルECでは先にMDを緻密に設計しておけば、運用面について困ることは少なくなってくると何度かこちらのブログでもお伝えしてきました。筆者はアパレル小売・卸の現場を経験してきましたので、「MD」と聞いても何となく頭の中でイメージができるのですが、現場経験の無い方々からするとこれがなかなかイメージし辛いようで、「MDを設計してください」とお話しても伝わりにくいことがしばしばあります。EC担当の中には現場を経験していない方々もいらっしゃいますから、ここでつまづく事も少なからずありますので、筆者がお勧めするトレーニング方法について記載しておこうと思います。
昨今、ECメインで販売しているブランドはinstagramを起点に集客をかけることが多く、instagramに張り付いておけば販売スケジュールを何となく理解することが可能です。例えば、
Ameri VINTAGEではinstagramのプロフィール欄に商品を販売するタイミングが記載されています。(火曜日と金曜日のお昼12時)こちらがきっちり決まっていると、例えばインスタライブで販促をかけるのも「販売スタートする直前」と予定が決まります。販売スタートした後は、ストーリーズやフィード投稿で再度リマインド。などなど、「どのタイミングで何を売るか?」を事前に決めることで日々の運用スケジュールが自ずと決まります。もちろん、ここまでしっかりとルールを決めているブランドはそれほど多くありませんが、このようなブランドをベンチマークしておき、日々のルーティンをチェックしておくと、自社の運用の参考になります。D2Cと呼ばれるブランドはこのあたりの販売スケジュールがしっかり決められている印象があります。
EC担当者なら大概の方が実行しているであろう、他社ブランドのサイトコンテンツのリサーチ。これが実はMD設計を理解するのに役立ちます。例えば、
特集ページの一覧。特集などの記事コンテンツでプッシュするのは「その時期に売りたいアイテム」であったり、「コラボレーション」や「セール」のようなわかりやすい販促です。つまり、ブランドとして、ショップとして「何を売りたいか?」や、それらを「どうブーストしているか?」などが確認しやすいのです。
最近ではライブ配信も増えてきていますので、こちらも見逃せません。全てのライブのアーカイブ動画を見ていると時間がいくらあっても足りませんので、さらっと目を通すだけでいいかと思いますが、それだけでも施策の理解は進みます。(ベイクルーズはミュージシャンのライブまでECサイトで公開していますが…)更にこれを競合他社で複数横断して見ていくと、似たようなブランドが実行する施策の共通点なども見えてきます。掲載雑誌なども似通っていますので、スタイルもイメージしやすいですね。自社がメディア露出する際の参考になりますし、「自ブランドならどういった見せ方をするか?」をシミュレーションしてみるのも良いでしょう。
これらは一年通して見ると、どの時期にどんなアイテムをプッシュしているか?プッシュする際の切り口はどうか?まで追いかけることができますから、メモ帳に記載しておくと、年間の強化品番とそれに連動する販促施策を作成することも可能です。それを自社流に落とし込むだけで、ざっくりですがEC担当用のMDマップが完成します。
当然ながら、マサ佐藤さんが書かれているようなMDの専門的知識はこれだけでは習得できません。それらは全く別の知識・技術になりますので、習得したければマサさんの個人講座を受けることをお勧めします。しかし、EC担当レベルで理解しておくMDのイメージは、このトレーニングでそれなりにくっきりとしてくるのではないかと。そして、このトレーニングの副産物は「企画内容の切り口」の勉強です。記事コンテンツを作成しようと思うと、その切り口がどうしても必要になりますし、それがサイトコンテンツの更新の際に高いハードルになります。他社の物真似で全てがうまくいくことはありませんが、参考にしているといつの日か「自ブランドならこういったやり方があるのでは?」というインスピレーションが湧いてきます。筆者もサイトコンテンツ企画を考える際は、ファッション雑誌に目を通したり、他社のサイトコンテンツをリサーチしたりしていますが、その方が良いアイデアが浮かぶことが多いです。「MDが課題」と認識されているアパレルEC担当者の方々は是非一度、このトレーニングを試してみてはいかがでしょうか?
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。