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すみませんMDもECも全く関係ありませんが、最近よく目に付くこれらの話題にちょっと首を突っ込もうかと思います。
筆者はファッション専門学校の非常勤講師を始めて今年で8年目。現在は3校の専門学校にて講義をしています。時には服飾専門のみならず、通信制高校の学生さんたちにファッションの基本をレクチャーするような講義も行っており、毎年100名を超える学生さんと触れ合ってきました。若者の今のファッションに対する気持ちや動向はお仕事にも非常に役に立ちますので、毎年のように「好きなブランドは何か?」などのような様々な質問をさせて頂いております。
そんな筆者ですが、よくメディアで踊る「若者の○○離れ」をはじめ、様々な若者の今の消費動向について、それらしく語られた記事を読む度に「普段、絡んでいる学生さんと全く違う…。」という感想を抱いていしまいます。そこで本日は、筆者が普段から触れ合っております若者に実際に聞いた内容と、メディアで目にする記事とで大きく乖離があったものをいくつかピックアップしてみたいと思います。
これは様々なメディアで報じられているやつなので見た事がある人は多いんじゃないですかね。筆者の感覚からすると、このお話は相対的にまずありえません。いや、そういう若者もいるというのはわかりますよ。しかし、毎年定番で聞いております「好きなブランドは?」でユニクロと記載する若者が割りと多いんですよ。特にファッションに興味関心の薄い若者がこの回答をよくするのですが、そもそも「好きなブランドが無い」場合にこの回答が多いのです。なので、とりあえず知っているブランド・買ったことがあるブランドの名前を挙げるんですね。他にも、
若者(〜25歳くらいまで?)のユニクロ離れについて質問です。代わりに何買ってます?
— 深地雅也 (@fukaji38) July 15, 2019
以前、こんなアンケートやってみましたが、僕の教え子たちは見事にほぼ一番下を選んでましたね。誰や、「嫌われてるだけでしょ。」と思った輩は。
上記の「ユニクロ離れ」の原因のように語られる理由がこちらでしょうか。若者はソーシャル起点でブランドを認知するから、instagram等で拡散されているブランドを好むのだとか何だとか。これも毎年、「どこで好きなブランドを認知したか?」をヒアリングするのですが、
1位 店舗
2位 友人・知人の紹介
3位 SNS
って感じですね。誰やねん、ソーシャルでしかブランド認知しないって言うた奴…。
筆者はよくECの現場でも「店舗に注力してください」と言うことが多いのですが、これが理由です。確かに、SNS広告でブランドやショップを認知し、そこから購入に至るケースもよく聞くようになりましたし、データ上存在するのはよくわかります。それでも若者にヒアリングしたら大体こんな感じです。あと、意外と若者はAmazonをよく使っているというのも驚きでしたね。使ってるのはおじさんばかりだと思ってましたので。
これがディーゼルの新パクリブランド。商品名が
「ディーゼルメカニックギフトパワード愛国心が強いアメリカ国旗 Tシャツ」
ですって。本物と思って買ってる人おらへんかこれ…。 pic.twitter.com/ixYPs2yOmq
— 深地雅也 (@fukaji38) September 2, 2021
余談中の余談ですが、Amazonにはディーゼルの偽物「ディーゼルメカニックギフト」なるブランドが横行しておりますので、ディーゼル好きの方はお気をつけあれ。
エシカル・サステナビリティやSDGsがバズワードになって数年経ちますので、このワードを知っている若者がたくさん増えましたが、それでもこのような内容に興味関心が強かったり、実際に服を買う動機としてこれを挙げる若者はほぼ見た事ありません。教え子にも未だかつていません。若者どころか、同年代もいません。え、筆者の周りが意識が低いだけですって?ぐぬぬぬ…。
冗談はさておき、セグメントがたまたま違っただけなのと、このあたりに興味関心のある若者、筆者の経験上では高学歴の大学生に多い気がしています。(N数5くらいなので当てになりません。)大阪のそこそこ偏差値の高い大学でも「エシカルコレクション」と題してファッションショーが開催されたり、「将来的にファッションを通して社会貢献したい!」という高学歴の若者からの相談を受けたり…。皆さん素晴らしい意識だと思うのですが、好きなブランドを聞くと大概ハイブランドが多かったですね。それグリーンウォッシングな組織では
そんな若者たちにはファッション業界のトレンドの仕組み(既存トレンドを陳腐化させ、買い替え需要を促進)を説明したり、ロットの説明をざっくりとしてあげるようにしています。皆さん、見事に二度と連絡してこなくなります。
いくつか筆者のほんのちょっとの経験談をお話してきましたが、こんな感じなので某メディアでエシカル消費なるワードを見かけますと「???」となるのです。いや、環境に配慮するのは素晴らしいことだと思いますし、啓蒙していくのも良いと思います。ですが、若者が服を買う理由ってそんなところにあまり無いんじゃないかと。あと、本当にそれが環境に良いブランドなのかどうか?も考えた方が良いでしょう。最終的に在庫余らせまくってたとしたら、どれだけ環境に配慮した商品だろうとゴミを生み出しているだけなのですから。結局は、自分たちの生産した在庫に責任を持つ、という点が一番サステナビリティにつながるかと思われます。他業界から参入するのも結構な事ですが、MD設計を知らずにブランド運営やっちゃうとサステナと逆行するブランド生み出す事に加担するかもしれませんよ。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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