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ECの売上計画はどう立案したら良い?

3月、4月はアパレル企業にとって新年度スタートの企業が多く、この時期になると「新年度の計画を立てて欲しい」というご連絡をよく頂きます。流石にPLを作るとなると売上原価や販管費を見せて頂くことになりますので、相当がっつり取り組んでいるお客様以外は対応しておりませんが、簡単な年間計画はよく立てることがあります。その際、弊社で計画立案する手順について簡単に記載しておこうかと思います。

◯売上目標を決める

まずどの企業でも決まっているのは年間の売上目標やそれを各月に落とし込んだ月別目標。会社全体の年間計画からそれぞれの部署別に振り分けられるのですが、店舗がある企業は全体の売上計画はあっても、ECでどの程度取れるか不明、なんてところもあったりします。その場合、過去データを確認しましょう。特に計算しやすいのは顧客の売上ですね。例えば、

・年商 5,000万円を目標

・客単価10,000円

・昨年リピーターの年間購入金額は平均35,000円

・リピート率は15%を目標

という条件だった場合、500人のリピーターに年間3.5回購入してもらえば1,750万円の売上。残り3,250万円の売上が必要ですから、3250人の新規購入がいればリピート率は15%程度になります。(500÷3,250×100=15.4%)

このような計算から、自社で現実的に獲得できそうな売上目標を設定。前年実績があるようでしたらそれに沿って月ごとに落とし込みます。ここの段階で無茶な目標を立てられることもしばしばありますが、ECはブランドの実力以上に売れませんし、実力は「顧客名簿の数(SNSフォロワー・LINEの友達数・メルマガ会員数含む)」と「指名検索数」である程度決まりますので。

◯売上目標から全体のセッション目標を決める

次にやるべきは必要なトラフィックの算出ですね。月間の売上目標が400万円、客単価が1万円で予想されるCVRが1%の場合、

4000,000 ÷ 10,000 = 400

400 ÷ 0.01 =40,000

40,000セッション必要になります。CVRを日々改善していくという方針はもちろん実行した方がいいのですが、WEBの施策のみでCVRが大きく改善するケースは少ないです。ブランド全体の取り組みや商品力、顧客の数、広告宣伝や店頭での接客などがECの売上や買い上げ率に密接に関わってきますので、優先的に担保すべきは入店客数=セッションが望ましいと考えております。

◯チャネル別に落とし込む

次に全体のセッション目標をチャネルごとに落とし込みます。事前にMD設計が必要になるので準備しておいてください。商品の展開・販促計画を元にチャネルごとのタスクを確認。

ファッション雑誌は掲載しても効果が無いのか?

(こんな感じのものですね。)

そこからチャネル別の数字を予測することになります。

検索流入やダイレクトからの流入など、予測するのが難しいものに関してはあくまで前年実績からの期待値の計算になりますが、広告やSNS、メルマガ等はこちらからプッシュするものですから、比較的予測はしやすいでしょう。もちろん、完全に正確な数字の算出など不可能ですが、ざっくりとした予測を立てることは可能です。実際に走りだした際に数字が足らない、という状況になった場合はプッシュ回数を増やすことで補填することも可能です。

販促やイベント開催時にチャネルごとに数字が跳ね上がるケースも多々あるかと思いますが、これも過去データを元に推測します。雑誌掲載やWEBメディアの活用などは、過去データからどの程度数字が上がるかは意外と読みやすいのでハードルはそれほど高くありません。

◯広告予算を決める

チャネル別の数字にて、オーガニックの対策だけではどうしても足らない…、という時には広告を活用しましょう。これはWEB広告だけでなく、雑誌掲載等のメディア露出なども含みます。むしろ、新規獲得はWEB広告よりもこちらの方が促進しやすいでしょう。昨年実行した広告施策のデータがあれば、それを元に今年度はどの程度の広告予算が必要かもECでは定量的に計算しやすいです。冒頭で計算した「新規獲得」の目標に到達するには「どの程度の費用が必要か?」をあらかじめ算出しておき、月ごとの施策に落とし込んでください。

手順としてはこのような感じでしょうか。企業によってルールはそれぞれ違うでしょうが、チャネル別の予測をしておくとそれほど大きく読み間違えることもありません。また、売上目標を決めた後、どの程度のトラフィックが必要かを算出していなければ、どこを強化したら良いかがわかりにくく、場当たり的にセールやクーポンを乱発する、といった売上対策ばかりに偏重しやすいので注意が必要ですね。データが取りやすいECだからこそ、過去データをしっかり活用して次の計画に活かしていきたいものですね。

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