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現在、円安が進行しています。(5月4日現在で、1ドル130円)衣料品の生産は、その殆どが海外生産でありますから、1ドル=100円のときは、20ドルの商品は2,000円で仕入可能でしたが、円安が進行した現在では、同じ20ドルの商品でも2,600円で仕入しなければならない!ということになります。(更に生地値や付属品等。そして燃料価格高騰による物流コストの値上がりもある)
先述した商品を例に話を進めますと、(仕入)原価率35%設定のアパレル小売の組織の場合。
(1ドル=100円の場合)2,000円÷35%≒5,700円(元売価)
(1ドル=130円の場合)2,600円÷35%≒7,400円(元売価)
となり、原価率の設定を堅持するのならば、約1,700円もの値上げを断行しなければなりません。これは、MDとして重要な仕事である、”適正な価格設定”という仕事に大きな影響を与え、現状の元売価設定が維持できない企業・組織も多く出る!ということが予測されます。
(円安の影響等で)商品を値上げすることに、私個人は反対の立場ではありません。このことで、客数が減少し、売上が下がる恐れがありますが、仮に値上げをしなくても、大幅に粗利が低下することになりますので、値上げはやむを得ないと感じています。しかしながら、値上げする際に「お客様に(値上げしたことが)バレなければ問題ないやろ!」という、”しれっと値上げ”には、反対の立場です。
確かに、(商品の)値上げを告知せずに、商売を続ければ、商品の値上げに気づかないお客様も多くいらっしゃる筈ですので、値上げによる客数の低下は、バカ正直に商品の値上げを告知した場合より防げる可能性が高いと言えます。(告知した場合は、消費税の税率アップ後のときのように、需要が大幅に下がることに近い現象が起こる可能性が高い)
それでも長期的な視点で見れば、私は商品の値上げをお客様に正直に告知した方が、値上げによる客数の減少を防げる可能性が高いと感じています。先述したように、MDの重要な仕事の一つに”適正な価格設定をする”という仕事があります。何故、この仕事が重要なのか?と言いますと、お客様の視点で見れば、「このショップ・ブランドの商品は、どのくらいお金を出せば変えるの?」という、イメージを持ってもらうことが、ファン獲得の為に重要なことだからです。その重要な仕事であることを、お客様に告知もせずに商売を続けることは、お客様に対する真摯さを欠く行為である!と、私個人は考えています。
少し話しは変わりますが、私も自身の会社を運営する際の信条として、(お客様に対して)弊社が出来ること・出来ないことを、具体的かつ正直にお伝えする!ということを大事にしています。何故ならば、目先の金に目が眩んで、出来もしないことで仕事を受けると、お客様にご迷惑をおかけするばかりか、弊社に対するお客様からの信頼も失われるからです。
話を元に戻して、お客様と直接触れ合う機会の多いアパレル・ファッション小売業こそ、お客様に対しての真摯な姿勢が必要ではないか?と考えています。繰り返しますが、「(お客様に)商品の値上げがバレなければ、問題ないよね~」という姿勢こそ、お客様に対する真摯さを欠くばかりか、誠意のない対応だと言えるではないでしょうか?
今回の商品の値上げに関する私の所感は、あくまで私の独断と偏見の考えでしかありませんが、商品を値上げすることに関しての、お客様に対する真摯な姿勢・対応とは、何なのか?ということを、今一度考えてもらうきっかけになれば嬉しく存じます。
この度は、記事を読んで頂きありがとうございます。次回もよろしくお願いいたします。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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