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先日、事務所用の壁掛け時計を買いに、事務所近くの某雑貨屋に足を運びました。気に入った時計があったので、その時計を購入しようとしたところ、店舗には(基本的に)在庫を置いていないということで、「QRコードからECで購入してください!」と、店舗スタッフから告げられました。私は購入した時計をすぐに持ち帰り、事務所に時計を飾りたかったので、納得いかないところもありましたが、店舗スタッフの方がとても丁寧な方だったので、その場で携帯から商品を購入しました。
このショップは、昨今の流行りである”売らない店””ショールーミングショップ”なのでしょうが、特にそのような看板を掲げていたショップではなかったので、モヤモヤした気持ちになりましたが、企業側の視点に立てば、自社ECの会員を増やし、ECでの販売を促進することが目的なのだろうと推測出来ます。
上記のように”売らない店”のメリットとしては、ショップにバックヤードのスペースを取る必要がないこと。スタッフが在庫関連の仕事に忙殺されることがない!等の在庫関連のこと。更に言えば、在庫削減に繋がる!ということが考えられ(必ずしもそうはなりませんけど。。。)、組織全体で見れば、販管費削減出来るということもあるのでしょう(ホンマかいな)。しかしながら、最大のデメリットとして考えられるのは、今回の私のように、「すぐに欲しい!」「すぐに使いたい!」というお客様に対応が出来ない!ということです。(在庫を持っていないのだから、実店舗の売上など立つ筈もない)
ここで少し話を変えまして、昨今、小売業とって欠かすことの出来ないと言われる”OMO”。以下Wikipediaから引用させて頂きますと。
”OMOはOnline Merges with Offlineを略した言葉で、直訳すると「オンラインをオフラインと融合する」という意味になります。顧客がチャネルの違いを意識せずにサービスを受けられるよう、オンライン・オフラインを分けずに一緒のものとして、マーケティング戦略を構築していく考え方を表した用語です。”
とあります。
私のような田舎(大分)で育った者から考えると、これまで東京、あるいは主要都市でしか購入できなかった商品が、気軽にECで購入できる。そして、ショップ側の視点で見れば、出店地域以外で自ショップのファンを増やすことが出来る等、デジタル技術の発達により、お客様にとって商品を購入する選択肢が増えた!ということは、間違いなく良いことです。
しかしながら先述したように、お客様にとっての「(商品を)すぐに欲しい!」「(商品を)すぐに使いたい!」という欲求心理は、お客様の(商品の)購買動向において、大きなウェイトを占めている!と、私は考えています。でなければ、大手ECモールが即日配送などというサービスを拡充する筈もありません。にも拘らず、「売らない店!」と看板を掲げ、ショップに直接足を運んだお客様に、ショップにとって必要最低限さえの在庫も揃えず、商品をわざわざECで購入させることが本末転倒に思えてなりません。
実際、先述したOMOが、お客様が実店舗やEC等の購買チャネルの違いを意識せずにサービスを受けられる!ということであるならば、実店舗に来店したお客様。そして、すぐに商品を持ち帰りたい!という、実店舗としてごくごく当たり前の良いサービスが出来るように、ショップの必要在庫は、きちんと用意することもOMO推進の為には必要なのではないでしょうか?
先述したように、デジタル技術の発達で購買チャネルの選択肢が増えることは素晴らしいことです。しかしながら、上っ面のデジタル用語・施策に捉われ、デジタル活用推進自体が目的になってしまっては、買い物を通じて”お客様に喜んでもらう!”という、小売業の組織が本来目指すべき目的を見失ってしまいます。だからこそ、お客様が(商品の)買い物をすることの本質を捉えた、チャネルごとの丁寧なサービスを行うことこそが、真の”OMO”と言えるのではないでしょうか。
この度は、記事を読んで頂きありがとうございます。次回もよろしくお願いいたします。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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