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今回の記事は、時期的にはあまり関係がないことですが、過去シーズンの検証(反省等)を行う際に意識して欲しいことを簡単にお伝えしたいと思います。商品計画における過去の検証において、多くの組織で行われているであろうことを、以下独断と偏見お伝えすると。
A 商品そのものの検証
→デザイン・サイズ・色等、お客様目線でみた不備
B 数字の検証
→売れた要因・売れなかった要因等、適品的な視点と適時的な視点で検証する
他にも多くあることとは存じますが、この2つの検証が主ではないでしょうか?また、上記に掲げた2つの項目をそれぞれ別に検証するのではなく、商品と数字を併せて検証・分析することで、検証の精度は更に上がる確率が高まります。ですが、更に検証の精度を上げ、先の商品計画(MD)の精度を上げるには?
・売上だけでなく、粗利(率)・仕入・在庫の数字を追うことで、適品が適時に投入されていたのか?
・数字の推移から(当時の)現場のイメージをすること
このことが重要となります。
先述した検証を行う上で、重要となる指標は?
→末在庫翌月売上比率=当月末在庫原価÷次月売上原価
です。
例えば、昨年の9月末の在庫原価が1,000万円で、10月の売上原価が500万円であれば?
→1,000万円÷500万円=200%
となります。簡単に言えば、9月末の時点で、10月の売上に必要な分の2倍在庫が持てている!ということです。(因みに各月すべてが200%だとしたら、年間の在庫回転は6回転になる)この指標と当時の現場を結び付けて検証を行ってほしいのです。
以下、簡単に末在庫翌月売上比と現場を結びつける見方をお伝えします。下記の図は、あるレディースショップの昨年の9月~11月の数字です。
このショップは、検証として以下のことを掲げています。
① 商品の納期遅れが痛かった
② 9月の前半は売上が良かったが、9月後半から10月は売れ筋商品の不足で売上が下がった。
③ 11月に対応した売場ではなかった
上記のことと図の数字を結び付けて考えると、どうなるでしょうか?
①の納期遅れが数字に表れている部分としては、9月末の在庫状況と10月の仕入原価です。9月末在庫の翌月売上比をみると、100%を割っています。アパレル・ファッション小売業のレディースショップは、メンズに比べれば在庫回転が良い場合が多いですが、翌月売上比に対して100%を割った場合は、売場がスカスカの場合が殆どです。(翌月売上比が1か月を割って売上が目標通り達成出来れば、在庫回転が年間12回転以上になる。リードタイムが長いとされるアパレル・ファッション小売業で、年間12回転以上いっている組織はほぼ皆無なので、上述したケースでは店頭がスカスカな場合が多い。)
ということは?①の商品が納期遅れした!という結果が、この項目で数字に表れていると言えます。また、②の件ですが、9月は仕方ないにしても、10月は納期遅れした商品が入荷し、このことで仕入金額が9月の10倍に増えています。しかしながら、10月は売れ筋商品不足と記載されていますから、10月の仕入が功を奏さなかった!ということになるでしょう。これは、恐らく納期遅れが要因で、商品の”適時”を逃してしまったということに他ありません。このように、納期遅れが出た場合は、在庫の翌月売上比が極端減った→翌月の仕入がどっと増えた!という数字の推移になっている場合が多いです。話を戻し、このような結果、11月の粗利率が下がっていますから、時期を逃してしまった在庫を11月でセールせざるを得なくなり、寒くなる11月という時期に適した売場にならなかった!ということが、数字の推移から裏付けられています。
以上、現場で起こった出来事と数字を結び付けた例を上げましたが、現場で起こったことが数字としてどう表現されているのか?ということを、常日頃からチェック・検証することをオススメして、今回の記事を終了します。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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