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アパレルECでinstagramの効果を検証する方法

Twitterでは何度もツイートしている内容ですが、今回はまとめてブログにしてみました。今も其処彼処にて「instagramのフォロワーを◯◯人増やした方法!」なんてお題で情報が拡散されており、それがEC支援側だったりすることに眩暈がします。

筆者のようなアラフォーのおじさんは「まだその方法使えるんだ?」と懐かしい気持ちにもなったりするのですが、初めてその情報に触れる方々からすると有益であると勘違いするのも致し方ないのかもしれません。なるべく被害者の数を減らしたいと思い、ECを運営する際のinstagramの効果検証について簡単に記載しておきたいと思います。これで明日から、横文字をまくし立てる謎の広告代理店からの営業トークに惑わされることはありません。

 

◯GAからinstagram経由の効果を検証

まずはGoogleアナリティクスにてinstagramからやってきたユーザーの効果を検証します。GA4の場合ですと「レポート」にて、

ライフサイクル → 集客 → トラフィック獲得

をクリック。

上記のような画面が出てきます。instagramのオーガニック投稿の効果は「Organic Social」という項目に格納されておりますので、これだけだと他の数字も混じっています。(SNS広告を配信する際に、「参照元 – ソーシャル サイトのリストに一致」且つ「メディア – 正規表現に一致 – ^(.*cp.*|ppc|paid.*)$」をパラメータに設定するとPaid Socialとしてカウントされます。)この場合はプルダウンメニューにて「セッションの参照元/メディア」を選択してください。

ここでは全ての参照元データが含まれておりますので、instagramだけを抜き出します。Campaign URL Builderにて特殊な参照元の文字列を設定していない場合は、「instagram」という文字列か、「IGshopping(shopnow機能)」という文字列がそれに当たります。ユニバーサルアナリティクス(UA)の場合、ストーリーズ経由の流入は、

集客チャネル → Socialをクリック

で「instagram stories」という表示がありましたが、GA4の場合はこれが見当たりません。最近はストーリーズにてリンクスタンプで直接ECサイトへ送客するケースも増えておりますので、リンクを設置する際にパラメータを付けておき、ストーリーズ経由の流入をしっかり計測できるようにしておきましょう。

(こんな感じです。)

このデータにて、instagram経由で集計期間内にどの程度のセッション・購買が発生したのか?エンゲージメントは高かったのか?などが確認可能です。フォロワーが増えてもここで購買が発生していなかったり、「そもそも流入が無い」「直帰が多い」なんてこともたくさんある訳ですね。その場合、獲得したフォロワーのターゲティングが間違っていた可能性があるのです。

 

◯instagram経由でどのページに流入したかを計測

続いて、instagram経由のランディングページを確認します。送客したページはそもそも最適だったのか?どのページから流入すると効果が高かったのか?などのデータを見ることで、次回の施策立案に活かします。これはGA4の探索レポートを使うのが簡単ですね。

GA4でアパレルECの検索対策の検証をする方法

GA4でアパレルECの検索対策の検証をする方法

(ランディングページのレポート作成は上記記事にて記載しています。)

探索にて「ランディングページ」のレポートを作成するのは上記をご参照ください。記事中では自然検索のデータを抽出しておりますが、ここからinstagram経由のデータだけをセグメントするには「セッションセグメント」にて、

セッションの参照元 → 「(instagramの参照元を含む文字列)」
※複数ある場合は「OR」で絞り込む。

を入力。こちらでinstagram経由のセッション→ランディングページの効果を計ることが可能です。商品詳細ページから直接流入している場合は、大概がshopnow機能ですね。施策としては例えば、

・コーディネートの更新通知をストーリーズにて投稿 → コーディネートページ一覧 or 詳細ページへ送客

・特集記事の更新通知をストーリーズにて投稿 → 特集ページへ送客(その後、ハイライトへ追加)

などを実行した際、効果検証が可能です。ECサイトへ流入する前に見せるコンテンツと、その後送客するページがしっかりと連動しているか?は見ておきたいところですし、もしかしたらページ側に問題があって購買に至っていない可能性もあります。

 

◯間接効果も合わせて確認

ラストクリックだけの効果検証でなく、どれだけ経由して最終購買に至ったのか?も確認しておきましょう。GA4では「広告」という項目になっていますね。こちらでコンバージョンを経路を選択した後、右上にある「比較データを編集」をクリック。

ディメンションにて「セッションの参照元 / メディア」を選択し、ディメンションの値にてinstagramの参照元を全て選択。これでラストクリック以外でのinstagram経由の間接効果を計ることが可能です。あくまで筆者の経験上のお話ですが、instagramを活用してそのまま直接一直線で購買するケースは比較的少ないです。認知につながったのか?購買に貢献したのか?も見ておかなければ、その貢献度を正しく計ることはできないと考えます。

余談ですがGAの仕様では、ラストクリックのチャネルが「Direct」の場合、その直前のチャネルが貢献として引き継がれますので、そこも加味しながらデータをご確認ください。shopify等のカートからも参照元別のデータは確認できるのですが、ラストクリックのみのデータになりますし、GAのような仕様がありません。この場合、結構な割合でDirectがラストクリックの効果として出てきてしまい、逆にチャネル別の効果検証がやりにくくなってしまいます。なので、GAのこの仕様はチャネルの貢献度を計る上で重宝します。

 

◯instagramのインサイトデータも合わせて確認

もちろん、instagram側から取得可能なデータも合わせて見ておきます。特に見ておくべきは「保存数」「WEBサイトへの移動」あたりでしょうか。これらの一覧の流れを確認することで、instagramの投稿からどの程度フォロワーを獲得し、保存やWEBサイトのクリックが発生したのか?そこからの流入でどの程度のセッションと購買が発生したのか?の一連の流れを見て、効果検証します。instagramはユーザーがメンション付きで投稿するとストーリーズならDMに、フィード投稿なら「タグ付けされている人」に履歴が残ります。日々の流入と照らし合わせながら、それらも相関があったのか?を確認してください。ライブに関しては終了後に延べの視聴者数が出ますが、平均してどの程度来ていたのか?の動向を確認。ライブ専用のクーポンを活用することで、ライブ経由での売上も確認することは可能でしょう。

 

◯データを見るだけでは施策立案までは出てこない

データを確認した後は施策立案をしなければなりませんが、データを確認するだけではここが出てきません。データはあくまで「どこの問題があったのか?」を導き出すものであり、改善箇所が見つかった後は担当者が自分自身で施策立案をしなければなりません。ここに正解はなく、ブランド個別の解決策になるでしょう。定量的に判断できるのは「プッシュ回数」くらいでしょうか。また、ファッションブランドのinstagramアカウントを育てる際、広告配信は必須でしょうから、広告を設定する際に、ECサイトに直接流入させる場合は先述しましたパラメータを付けて効果検証をしてください。広告配信→instagramのプロフィール欄へ誘導、の場合はプロフィール欄のURLをクリックされるケースが多いので、Organic Socialとしてカウントされるでしょう。他の投稿と効果が混ざってしまうので検証はし辛いですが、毎日計測しながら何が効果が高かったか?をしっかり見極めましょう。

ここまでやって初めて効果検証だと思うのですが(最後に指名検索が伸びたかどうか?も見ておくと良いかもです)、これが出来ていないのにどうやってピンポイントで施策立案ができるのかはちょっと謎です。アパレルに限らずinstagramをECサイトの売上アップで運用するなら、正しく効果検証しておきたいものですね。

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