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こんにちは。6月になり、いよいよ天気の安定しない日が増えてきました。あの忌々しい梅雨がいつもと同じように来るようですが、本日は「気温と服装の関係」と題して、記事を書いていきたいと思います。
以前のブログでも書いたことですが、マサさんの本記事を参考にして、私もMD日記というものをつけています。細かいことを書く気が起きない時でも、その日の最高気温と最低気温、湿度は必ずメモするようにしています。
これを書くようになってからある程度時間が経ったのですが、そういったデータが蓄積されていくにつれて、いくつかの法則や関係などが見えてきたので、今日はその概要をさらっと書きます。
※私の住む山梨と都内、他地域では気温差等があり、一概に「こうである」とは決めつけられません。予めご了承ください。
まずMD日記をつけはじめて分かったことは、「夏は半袖、冬はダウン」などのいわゆる一般的な指標、考え方は、その日の気温、湿度、天気、行く場所などによって大きく変動することがある、ということです。少なくとも、MD日記をつける前までは、そういったことを意識下に置くということをしてきませんでした。
しかし、この数か月間MD日記をつけてみて”人々の服装を意識して見る”ということができるようになり、今まで「こうだろう」と思っていたことが大きく変わりました。また、自分の生活の中でも、「半袖を着た日」「アイスコーヒーにした日」などを意識するようになりました。
MD日記に限らず、日々の気付きを言葉にして記録するということは、本当に大切なことです。
気温は多くの人が意識しているにせよ、無意識にせよ、考慮していることかと思いますが、意外にも重視されていないのが「湿度」という観点です。例えば昨年の【10月28日】にはそのシーズンの最低気温7℃が記録されました。最高気温は19℃でした。7℃というのは、通常「ニット」や「コート」などが推奨される気温です。
しかし、湿度は80~90%をうろうろしていたために、私の肌感覚としては「暑い」と感じる日でした。街でもコートやブルゾンを着ている人はあまり見かけない日でした。また10月はイメージ上では「秋」という感覚ですが、最高気温が20℃を優に超える日もあり、場所によっては熱中症の危険もあるくらいです。
故に、いわゆる”一般的な”アパレル関連企業が参考とするシーズンを通した計画は、気温と湿度によって破綻することが多く、極めて繊細なMD計画と実践が必要になると実感した次第です。
また、冬になると毎日のように乾燥注意報が気象庁より発令されますが、実はこの「乾燥注意報」も、地域によって基準が異なります。例えば茨城では湿度40%を下回れば発令されますし、山梨では20%を下回ると発令されます。
これも大切な指標となり、特に素材におけるアプローチの仕方には参考になるものです。
男性と女性では(あくまでも生物学上の性における)同じ気温なのに服装が変わるということがよくあります。
例えば昨年【11月4日】は東京で木枯らし一号が吹いた日です。最高気温は17℃、最低気温は4℃、湿度は28%でした。この日、私はスーパーマーケットに買い物に行っていますが、そこでの服装は明らかに男性よりも女性の方が厚着でしたし、コートを着ている方もおられました。
今年の【5月4日】は最高気温26℃、最低気温は7℃でした。この日は、半袖の男性を多く見かけましたが、半袖の女性はほとんど見かけませんでした。
このように実体験としてその差異を目にすると、例えばTシャツ一枚を販売するのにも、また違った戦略が必要とされますし、セット率を考慮した戦略も練られるようになると思います。
私の住む山梨では、鉄道がほとんどありませんので多くの人が車を持っています。恐らく、無ければ生活できないものなのですが、故に10月よりも11月の方が薄着ということがあります。
というのも、11月は気温がぐんと下がり、車内ではヒーターを使用する為、厚手の衣服を必要としない場合があるということです。10月は暑い日、肌寒い日が入り混じることが多く、寒い日でもヒーターをつけるほどではありません。
私がマサさんに倣いつけてきたMD日記は、思わぬところで発見と驚きを与えてくれました。そして、強く思ったのは、定石に則った戦略も大切ですが、最も重要なのはそのブランドや店舗がターゲットとする人々のリアルな生活の在り方です。Tシャツは決まって7月に販売しなければならないということもありません。あくまでもコンセプトとターゲットに即した、販売側の柔軟な考え方が必要だと思いなおした次第です。
最後までお読みいただきありがとうございました。(ワダアサト)
OMOTE TO URA代表。文化服装学院グローバルビジネスデザイン科卒業。EXHIBITION NEW SHOCK・CULTURE BREAK MARKET主催。
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