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冬物商品最終消化のご参考に

★冬物商品の最終消化を考えよう!

2023年1月も、あと残り僅かとなりました。この1月は中旬辺りに、全国的に気温が高まったこともあり、春物商品の展開を前倒した組織も多くあるのではないでしょうか?しかしながら、この段階でも2022年AW商品が、残っている組織が殆ど筈です。私はこれまで、残したAW商品はアウトレット(以下OL)に回せば良いじゃん!的なことを考えるMDを、かなりの数見かけてきました。ですが、OLに商品を回したところで、担当MDが仕事の責任から逃れたというわけではないですし、組織全体で見れば、AW商品が残っていることに間違いはありません。ということで、今週は強烈な寒波も訪れるということで、冬物商品の最終消化についてを記事に纏めたいと思います。

今回は、以下のある事業部Aを、例に話を進めます。
(例)ある事業部A
①1月25日時点での、AW商品の末在庫が1500万。
②2月28日のAW商品販売終了日までに、AW商品の在庫を300万に圧縮したい!
③昨年の同時期(1月26日~2月28日)のAW商品売上は2000万円だった。
④1月現時点でのAW商品売上昨対は95%。現時点でのAW商品粗利率は48%。
⑤事業部Aの値入率は62%(仕入原価率38%)

以上が、事業部Aの設定になります。
因みに、上記の例②に残在庫目標の数字が掲げられていますが、残在庫の考え方は組織それぞれに違うと存じます。しかしながら、闇雲にOLに流せばよい!というわけではありませんから、残在庫に関する考え方は、以下の記事を参考として記載しておきますので、こちらをご覧ください。

残る在庫のことはどう考えたら良いの?①

★何も対策を講じなければ、2月末にどのくらいの在庫を残してしまうのか?

まず、この時点でMDが考えなければならないのは、このまま何の対策を講じなければ、2月末にどうなっているか?ということです。上記の例を見ると、昨年は2月末までに2000万円の売上を達成しています。しかしながら、現時点で昨対95%ですから、この数字を使って先の売上を予測すると。
→(2000万円(昨年同時期売上)×95%(昨対)=1900万円(今年の売上予測)
今後、何の対策を講じない!ということは、ほぼ同じ粗利率で推移すると考えられますから、粗利率は48%。売上原価率は52%とし、2月末までの売上原価を算出します。
→1900万円×(1‐48%)=988万円(2月までのAW商品の売上原価)
このことがわかると、何も対策を講じないと、2月末にどのくらいのAW商品が残るのか?が、算出されます。
→1500万(1月25日末在庫)-988万(2月末までの売上原価)=512万円(AW商品2月末在庫)
となり、上記の残在庫目標300万を大きく上回ってしまう!ということが理解できる筈です。

★残在庫目標を達成する為には、どのくらい価格を下げる必要があるのか?

次にMDが考えなければならないのは、どうすればAW商品の残在庫目標に達することが出来るか?このことです。当然のことながら、より強めのOFF施策で商品をなくさないといけません。
因みに、1月25日時点での粗利率と値入率を確認すると(粗利率48%。値入率62%)、OFF率は26.9%となります。(OFF率の計算方法は、私の過去記事や繊研plusの連載をご覧になって、チェックしてみてください。)では、どのくらい粗利を犠牲にすれば、在庫が目標に達するのか?また、どのくらいOFFを強める必要があるのか?を、上記の例から考えてみます。

まずは、末在庫目標を達成する為に、必要な売上原価の算出を行うと。
→1500万円(1月25日末時点在庫)-300万円(AW商品残在庫目標)=1200万円(1月26日~2月28日必要売上原価)
となります。
1月26日~2月28日までの売上予測は、上述したように1900万円になりますから、これらの情報を使い粗利益を算出すると。
→1900万円-1200万円=700万円(1月26日~2月28日粗利益高)
となります。更に、粗利率を算出すると。
→700万円÷1900万円=36.8%(1月26日~2月28日粗利率)
となります。すると、値入率が62%。粗利率目標が36.8%となりますから、このことから、1月26日~2月28日までのOFF率目標は、39.9%となり、かなり強めのOFFをしなければ目標に達しない!ということが、ご理解できると思います。また、このような数字の算出は、カテゴリー別等の分類単位で行うことが重要です。
上述したような粗利率ターゲットが定まれば、当然のことながら、商品単品ベースで再値下げ価格を設定しなければなりません。(セール対象外商品の対象も視野に入れるべき)また、この数字目標を基に、販売の現場(実店舗・EC)の中心メンバーや販促部門の方々と今後の販売施策を考え、実施に移す。このことが必要となります。

最後に、今回記事にしたようなことは、常日頃から丁寧な期中MD施策を行っていれば、そんなに焦って強いセール施策を行う必要がないのですが、この秋冬の店頭状況を見る限り、このような記事も皆様方の役に立つのでは?と思い、記事に纏めさせて頂きました。今回の記事は、以上で終了となります。次回も宜しくお願い致します。

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