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昨日、ツイッターのスペースにてお話した内容になるのですが、弊社の周りでも「SNSを活用した集客」というのは、ここ数年常にお客様からご相談があります。理由としては、
「自分たちで運用してみたものの、うまくいかない。売上アップにつながらない。」
「SNSのインサイトでどの数字を追っ掛ければ良いかわからない。」
などなど。instagramの運用代行や、インフルエンサーのキャスティング、広告代理店によるinstagram広告の出稿にも手を出される方も多いことでしょう。弊社も過去、2017〜2018年くらいはそのような方々にご依頼をしておりましたが、どうにも上手くいかなかった思い出があります。理由は様々あるのですが、一番の理由は担当者に「業界知識が無い」からですね。結果、
◯ターゲティングの精度が低い
◯施策立案まで導き出せない
というケースが多発。SNSの運用でも経験値の差が如実に出ることを痛感いたしました。(このあたりは対人マンさんにお話を聞いてください。)
そして、最近ではそこからECサイトへ流入を促進したはいいが、次はどうしたら良い?というご相談になってきます。当然ながら新規流入を促進し、認知拡大を図ったところでEC側の施策が稚拙だと売上アップにつながりません。では次にEC側で見ておくべき指標は何であり、そこからどう施策立案に結びつければ良いのでしょうか?
まずは基本中の基本。どれだけセッションを獲得できたか?ですね。(ユーザーでも可)SNSでフォロワーが増加したところで、セッションに結びついていなければ何の意味もありません。また、その中でも「新規流入」がどれだけあったか?をしっかり確認しておきましょう。ITPはあるにせよ、数値が伸びること自体はポジティブです。
いまさら聞けない「ITP」とは?~ネット広告に携わるマーケター必見!
続いてこちら。例えばSNS広告を出稿して、流入が大幅に伸びた!はいいが、そのユーザーは再訪してくれているのか?問題です。これを見たければ「コホート分析」を確認してください。
こちらのデータは、ある時期に流入したユーザーが翌週や翌月にどの程度再訪したか?を計測してくれるレポートになります。セグメント機能も使えますから、
Ex)4月にinstagram広告で流入したユーザーを週単位で3ヶ月先までの再訪率を確認
みたいなデータが出せます。もちろん、再訪させる為の施策をセットで実行しないと意味はありませんが、進捗はこのように追うことが可能ではあります。instagramにてオーガニックで再訪を促進するなら、フォロワーになってもらってから、いかにインタラクティブにやり取りができるか?ですね。この場合、ストーリーズが活用しやすいでしょう。
SNSで認知が取れても、そのまま直接購入に結びつくかどうか?は意外とハードルが高いものです。ラストクリックをSNSにしなければならない理由もありませんし、コントロールできないものを頑張ってコントロールしようとする必要はありません。ですが、ユーザーがSNS頻繁に見るようになりますと、購入に至るまでに活用される可能性は上がります。その場合、GA側の「コンバージョン経路」のデータを確認しますと、SNSが活用され出したかどうか?はすぐわかります。
それを数値で表示してくれるのがモデル比較ですね。どの程度、各チャネルが間接的に使われたのか?を数字で判断することが可能になります。GA4では「ラストクリック」「データドリブン ※1」「Google広告優先ラストクリック ※3」の3つでの判断になりますが。
※1 めちゃくちゃ雑に言いますと、機械学習から各チャネルの貢献度を割り当てる
※2 アクションを起こす前にクリックしたGoogle広告に全ての貢献度が割り当てられる
コンバージョン経路・モデル比較、双方ともに「ルックバックウインドウ」でコンバージョンの起点を90日間まで遡ることが可能です。アパレルの場合、商品の販売期間が限られておりますので、そこまで長期で検討されることもないでしょうからこの期間で十分ですね。
直接購入は狙わない、というお話をしておいてなんですが、それでも経由売上は見ておきましょう。SNSを集客のメインにしているブランドも多いので、その場合は尚更ですね。活用される確率が高くなればなるほど、ラストクリックでの購入は当然増えていきます。(メールマガジンやLINEを強化し出すと、ラストクリックはそちらに偏るケースもありますので、一番優先される指標ではないと考えておりますが。)
ブランドを認知しますと、続いて発生するのがブランド指名検索。instagramを開いて、プロフィール欄のURLが再訪する方もいらっしゃいますし、デバイスが変わればPCで検索行動を起こす方もいらっしゃいます。ブランド名が他のワードとかぶらない、または短い場合は検索行動も起こりやすいでしょう。こちらはGAよりsearch consoleの確認になりますね。
問題は「数が増えた後、どうしたら良いか?」なのですが、意外とここを見落としている方が多いです。もちろん、指名検索が増えれば売れる確率は上がってきますが、検索クエリも様々。店舗を探される「ローカル検索」などもありますので、検索ニーズごとに対応は必要ですね。
※対策はこちら→「アパレル・ファッションECのSEO対策はどうしたら良い?」
SNSの施策を実行し、そのセッション経由や当月に初回購入につながったユーザーがどの程度いたのか?もしっかりチェックしておきましょう。こちらは毎月集計されている方も多いでしょうし、カートの中の分析ツールで確認できるケースも多いです。問題はその次ですね。再訪からリピーターに繋がったかどうか?を確認しておきましょう。「F2転換率」と呼ばれるものですが、それだけでなく会員ステージでの管理や、年間の購買頻度で管理するケースもあるでしょう。アパレルの場合、購買頻度はMD区分に左右されることもありますので、自社のMDと、それに対するユーザー側へのプッシュは事前に確認が必須です。提案も無いのに、ただただプッシュして再訪を促しても意味がありませんので。
(こういうのもリピート対策の一つですね→「アパレルECの会員特典の設計はどうすれば良い?」)
また、再訪を促進する際に広告を使うケースも多いでしょう。リマーケティング広告のように、一度WEBサイトを訪れたユーザーに向けて配信するようなものですね。SNS施策とセットで実行するなら、キャンペーン経由で流入したユーザーをGA側でセグメントし、オーディエンスを作成。そのデータをGoogle広告に渡す、ということも可能です。直帰したユーザーを除外することもできますから、比較的興味関心が高いと思われるユーザーの再訪を促進できます。
SNSの為だけにここまで全て見ろ、という訳ではないのですが、普段からECの指標を確認している方でしたら、当然全て拾っている数字かと思われます。問題は、それをSNSでセグメントして見ているか?ですね。また、普段からECの数字を見る習慣が無いという方は、まずこれらの数字を確認しておいてください。見慣れてくると、変化があった時に違和感が出てきますので、そこから改善につなげるという流れで対策を取って頂ければ良いかと思います。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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