ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤

MENU

ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤

色・サイズ展開と販売期間と在庫の関係

★在庫に影響を与えることとは?

以前、販売の仕事に従事されている皆様方へ向けて、以下の記事を配信致しました。

自分たちのブランドの販売期間の設定を知っていますか??


今回の記事も、販売の仕事に従事されている皆様方へ向けて、在庫の話をできるだけわかりやすくお伝えできればと存じます。

アパレル・ファッション小売業において、在庫の多い・少ないに影響を与えることは?(商品そのものが売れないことを除いて)以下の通りです。

①リードタイム(以下)の長短→長いと在庫をもたざるえない
②ミニマムロット(納品対応できる最小の製造点数)
③セールを絶対にしない
④販売期間の長短
⑤標準店舗の面積(展開商品数量)
⑤色・サイズ展開→SKU数の多さ

代表的な例はこれらのことになります。今回の記事は、⑥の色・サイズ展開→SKU数の多さについて、話を進めさせていただきます。(以前も似たような記事を書いていますが、また書きますm(__)m)

★色・サイズ展開を増やすのは、機会ロスを防ぐため?

色やサイズ展開の多い業態と言いますと、UNIQLOに代表されるベーシックカジュアルブランドやメンズのビジネス系のショップ。そして、ジャンルは多少変わりますが、靴屋さん等が代表的な例として挙げられます。また、上記に掲げたブランド・ショップは、総じて在庫回転が悪いのが特徴です。在庫回転率の計算式は?在庫回転率=期間売上(原価)÷期間平均在庫(原価)となりますから、在庫回転の計算式から考えても、上記に掲げたブランド・ショップは平均在庫が多い!と推測されます。

では、何故上記に掲げたブランド・ショップは、展開SKU数を増やすのか?のでしょうか?これは、このブログの読者の皆様ならお分かりだと存じますが、それは、サイズ展開の少なさによる機会ロスで、売り逃しに繋がる!という理由になります。ということは?トレンドを意識したレディースのブランドも色・サイズ展開を増やせば、もっと売れるのでは?ということになるのですが、無闇に色・サイズ展開を増やすと、ベーシックカジュアルブランド以上に在庫が増加します。何故ならば、トレンドを意識したブランドの場合、④の販売期間の長短が、色・サイズ展開を増やせないことと密接に関係しているからです。
以下、例を上げます。

★販売期間が短いショップが色・サイズ展開を増やした場合、どうなるのか?

〇ショップAの特徴
・(半期)売上予算5000万円
・店舗の標準展開SKU数200(1SKUにつき商品1点展開)
・1点単価平均12000円
・若年層向けのレディースブランド→販売期間30日。LT2か月
・1アイテムあたり、3色4サイズ展開(1アイテムあたりのSKU数12)

このようなショップがあるとします。先ずは、ショップAの半期における商品投入アイテム数を算出します。
→200(標準展開SKU数)×(182.5日(半期)÷30日(販売期間))≒1200(半期における投入SKU数)
→1200÷12(1アイテムあたりのSKU数)=100(半期おける商品投入アイテム数)
となり、ショップAの半期における商品投入アイテム数は、100となります。
このショップの売上予算(半期)は、5000万円になりますから。
→5000万円÷100=50万円(1アイテムあたりの売上金額)
となります。これを、ショップAの1点単価12000円で割りますと。
→50万円÷12000円≒42点(1アイテムあたり平均売上数)
更に、この数字を1アイテムあたりの平均SKU数12で割ると、どうなるのでしょうか?
→42÷12(1アイテムあたりのSKU数)≒3.5(1SKU数あたりの平均売上数)
となります。

一見、上記の数字を見れば特に問題がないように思えますが、実際のMD業務は、全ての商品を平均数量で発注するわけではありません。平均数量以上の商品は問題ありませんが、上記の平均数量の半分で商品発注したい場合、1SKUあたりの平均数量は約1.7まで下がります。また、当然のことながら、カラーによって数量の差をつけますから、カラーによっては、4サイズ展開出来ないものが出てきます。例えば、平均数量の半分で商品を発注した場合は21点の発注数量となります。A色12点・B色7点・C色3点と発注すると、C色のサイズは揃いません。また、サイズを揃えることを目的として、カラー別の発注数量をフラットにすれば、売れ筋カラーの機会ロスによる売上低下を招き、売れないカラーの在庫は動かず、新商品入荷とともに積み上がり、効率の悪い商売となっていまいます。

★色・サイズ展開の多さ少なさと販売期間の長短は、密接な関係がある

今回の話を纏めますと、(商品の)販売期間の設定を伸ばして、1アイテムあたりの平均数量を増やさなければ、(商品の)色・サイズ展開を増やすのは、なかなか難しいということです。見方を変えれば、メンズのベーシックカジュアルブランドやビジネス系のショップは、長く販売することが前提の商品が殆どです。唯一の例外は、ブランド・ショップの1点単価を低く設定すれば、必要売上点数が増加しますから、その場合は、販売期間を短くとっても、色・サイズ展開を増やせる可能性が高まります(粗利の確保等、別の問題が発生するが)。ですので、販売の仕事に従事される皆様方には。

販売期間の長短と色・サイズ展開多い少ないは、密接な関係がある!

ということを覚えておいて頂ければ、嬉しく存じます。
マーチャンダイジング関連のサービスは、以下のリンクをクリックしてご確認くださいm(__)m

SERVICE

MSMD & Co.,Ltd
MSMD & Co.,Ltd Twitter
弊社への問い合わせ・仕事依頼はこちら

この記事をシェアする

RANKING POST

1

2020.07.07

大量生産と過剰供給は別物
2

2021.10.29

YouTubeは稼げるのか?!YouTube登録者1,000人のリアルな収益を発表
3

2020.04.27

EC・通販専業ブランドも標準店舗の概念が必要なのでは?

NEW POST

2024.04.23

MD視点でみる決算資料~バロックジャパンリミテッド編~

2024.04.18

TOKYO BASEのEC売上はどう推移している?

2024.04.16

話題の企業の在庫を調べてみた!~MD視点でみる決算資料~

2024.04.12

今一度、インバウンドについて考えたい

2024.04.11

卸をECに活かすにはどうしたら良い?

CONTACT US

小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

TRADINGPERFORMANCE

取引実績