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アパレル・ファッション小売業で販売の仕事に従事されている方は、日々売れ筋商品の在庫がなくなっていないか?を気にされていることだと思います。しかしながら、1週間でどのくらいのペースで売れたら、その商品が売れ筋商品になるのか?を、具体的に把握出来ているでしょうか?当然のことながら、これは各ショップ・ブランドによって、全く数字が違いますし、同じ組織の異なるショップでもその数字は変わります。今回の記事は、販売の仕事に従事されている皆様方へ向け、架空の組織を例に、この売れ筋が売れるペースについて考えてみます。
以下が、今回設定しました架空の事業部Xになります。
(ある架空の事業X)
・実店舗20店舗 EC1店舗を運営
・売上予算6月で3億円
・売上予算内訳 実店舗2.1億円 EC9000万円(EC売上構成比30%)
・(販売期間は6月1か月)売れ筋商品パンツA12000円 発注数量1750点。5月の売上構成比の7%
・(販売期間は6月1か月)売れ筋商品TシャツB4800円 発注数量3125点。5月の売上構成比の5%
そして、上記の事業部Xの売上上位・下位店の6月の売上予算は以下の通りです。
●事業部Xの売上上位店A
・売上予算6月 1250万円
●事業部Xの売上下位店B
・売上予算6月 500万円
では、それぞれに売れ筋商品の売れるペースを考えてみましょう!
→1250万円(6月の売上予算)×7%(売れ筋商品Aの売上構成比)=875000円(売れ筋商品の6月の売上想定金額)
→875000円÷12000円(売れ筋商品パンツの元売価)≒73(売れ筋商品パンツ6月の売上想定点数)
→73点÷31日≒2.3点(1日あたりに売れる点数)→1週間で約16点
となり、この売れ筋商品パンツは1日2点以上のペースで売れれば、売れ筋商品となるわけです。次は売れ筋商品Tシャツを見てみましょう!
→2500万円(6月の売上予算)×5%(売れ筋商品Aの売上構成比)=625000円(売れ筋商品の6月の売上想定金額)
→625000円÷4,800円(売れ筋商品パンツの元売価)≒130点(売れ筋商品パンツ6月の売上想定点数)
→130点÷31日≒4.2(1日あたりの売上点数)→1週間で約29点
となります。ここで注意しなければならないのは、売れ筋商品売れるペースだけでみると、売れ筋商品Bに目が行きがちです。何故ならば、売れ筋商品Aのほぼ倍のペースで売れるからです。しかしながら、金額ベースで見ると売れ筋商品Aの方が、売上貢献が高くなります。ですので、売れるペースが早い売れ筋商品Bばかりに目がいかないように注意しましょう。次は、売上下位店のBです。Bの計算は端折りまして。
→1日1点弱売れるペース。→1週間で約7点弱ペース
→1日約1.7点売れるペース。→1週間で約12点弱ペース
となります。これが本部のMDが想定している売れ筋商品の売れるペースだということです。このことを本来、MDはショップ側に対して、ある程度の粒度で伝えるべきではありますが、それでも個々のショップごとに伝えるのは、なかなか難しいことだと存じます。ですので、店長はMDが出せれた数字に対して、自分自身でも上記のような計算を行い、MD・本部が企図する売れ筋商品のペースを把握してください。因みに上記のケースだと、ECは売上上位店の7.2倍のペースで売れなけばいけません。
各ショップで(MD・本部が企図する)売れ筋商品のペースが把握した後、実際の売上ペースが想定よりも良い場合は、想定よりも低い店から在庫を廻してもらう等のことも考慮しなければなりません。上記の例で言いますと、売れ筋商品Bが、売上上位店Aで1日平均の売上が3点ペース。売上下位店Bで1日平均2点ペースだった場合、6月中旬すぎには、売上上位店Aから売上下位店Bに在庫を店間移動をしなければならない可能性が高まります。このようなことも店長自身が把握しておけば、店の日々の売上貢献に繋がることでしょう。ということで、今回の記事はこれで終了です。次回もよろしくお願いします。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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