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マーチャンダイザー(以下)の仕事は、「お客様の欲求・要求に適う商品を適切な数量・価格・タイミング等で提供すること。」とされています。更に言えば、適品・適時・適所・適量・適価からなる5適を、常に意識して仕事をしなければなりません。そして、上述したMDの仕事は、売上・粗利益高をより多く獲得することが、仕事の目的であり、成果として見られる部分であります。(在庫回転もKPIとして入れた方がよい)しかしながら、MDの仕事の目的を、MDの力だけで達成することは、至難の業と言わざるえません。当然のことながら、作り手側である商品企画・生産管理・パターンナーとの連携は欠かせないだけでなく、商品を販売する側である実店舗の販売員やEC担当者との連携・コミュニケーションは、特に大切になってきます。言い換えれば、ショップの実店舗の販売員やEC担当者とのコミュニケーションを密にし、同じ目標を共有することが、MDの仕事の目的を達成させる近道です。
ですので、MDは商品を販売する側に対して、具体的な情報をキチンと与えるべきである!と、私は考えています。その情報の中で、特にMDが重要視して欲しい情報は、「(各商品の)発注数量の意図を、商品を売る側に対して、しっかりと伝えること!」このことです。何故ならば、(商品の)発注数量が多い少ないは、MDの意志であり、発注数量の精度が高いか低いかで、未来の(組織の)売上の50%前後は確定したともいえるからです。((例)売れる商品の発注数量が少なければ、取れたはずの売上を喪失する等のこと)
以下、MDが商品の発注数量の意図を、商品を販売する側に伝える際に、必ず伝えてほしいこと3点をお話いたします。それは。
①(商品の)上位ベスト●●位で売上構成(予算比)の何%を獲得する予定なのか?
②(売上上位品番は)1店舗あたり、日・週でどのくらい売れば良いのか?
③販売期間。販売終了日。
以上の3点です。それでは、以下順を追って説明いたします。
まずは、この情報です。MDに限らず、アパレル小売業で仕事に従事されている皆様方は、週・月単位で、単品商品別の売上ランキングをチェックしているはずです。その際に、是非ともチェックして頂きたい点は、売上ベスト○○で、売上構成比が何%とれているのか?ということです。当然のことながら、各ブランド・ショップによって数字の出方は、全く違ってくるのですが、その上位ベスト○○位の売上構成比が、通常よりも低かった場合、そのショップやブランドは、売上が低迷している可能性が高いといえます。何故ならば、薄く広く満遍なく売れるということは、別の視点でみれば、ヒット商品が生まれていないからです。
ですから、MDは販売する側に、この目標値をしっかりと提示する必要があります。MDが出す目標値よりも構成比実績が高ければ、売上予算達成の可能性は高まりますし、低ければ売上低迷の可能性が高まります。その結果を鑑みながら、MD側と商品を売る側が更にコミュニケーションを深めるとよりよい効果を発揮するはずです。
(以下は参考図となります)
次はこのことです。1日あたり・1週あたりどのくらいの数量を売れば良いのか?ということを具体的に伝えることが必要です。また、①の件ともリンクしますが、「この数量が達成されれば、売上予算の○○%はとれるよ!」ということを知らせることも重要です。ショップやECに「このくらい売れるだけで、こんなに売上が行くんだ!」と、商品を販売する側に感じてもらうことも、MDの腕の見せ所となります。
またこれらのことが、ショップがどのくらいの在庫をショップに積めばよいのか?という判断材料を与えることともなります。更に言えば、提示した数量以上に売れていれば、ディストリビューター(以下DB)も、該当ショップの基礎在庫を積み増す必要があるでしょう。(補足ですが、ある程度のショップ数がある組織は、上記の図のように、売上規模別にショップを分類し、数量を算出すると、ショップ側は更に具体的な数字が掴みやすくなります。)
最後はこのことです。これまで多くの組織と、弊社は仕事を行ってきましたが、商品の販売機関や販売終了日をお伝えしていない組織が多々ありました。これではいけません。当然、商品が入荷する前にもこの情報を、商品を販売する側に伝えることが重要ですが、同時に、週・月単位の商品の単品別ランキング表にも、この情報は記載するべきです。更に言えば、販売終了日と在庫消化日数を併せて見られるようにすることで、ショップのVMD戦略に重要なヒントを与えることになります。
最後に、今回お話した情報以外にも、商品を販売する側が必要とする情報を、随時提示することがMDの仕事の目的への近道です。MDが日々の業務に忙殺され、商品を販売する側とのコミュニケーションが疎かになってしまっては、元も子もありません。今回の記事が、商品を販売する側とコミュニケーションを密にとることも、MDの重要な仕事である!ということを、肝に銘じて頂けると嬉しく存じます。今回の記事はこれにて終了です。次回もよろしくお願いいたします。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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