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アパレルECで間接効果はどんな時に見るのか?

GA4のご相談を受ける中でよく、「広告効果をGAで検証したい」と言われる事があります。ラストクリックの計測なら、

■セッションのデフォルトチャネル

■セッションの参照元/メディア

■セッションのキャンペーン

などを掛け合わせて確認。Shopifyなら、UTMパラメータ経由の売上は検出可能なのでそちらから確認しても良いでしょう。(新規かリピーターか?どんな商品を購入したか?まで追えてしまうのでとても便利です。)

※厳密にはGAはラストクリックがDirectの場合、その前のチャネルを引き継ぐ仕様です。

問題はこれ以外の効果ですね。所謂「間接効果」というもので、ラストクリックじゃないけど広告を経由したものや、広告が1秒以上表示された後、広告をクリックはしなかったけど購買に結びついたものなど…。これらを「クリックスルーコンバージョン」や「ビュースルーコンバージョン」なんて呼びますが、筆者が経験する限り、初対面のお客様でこのワードを知っている方がほぼ0です。(アナグラムさんの記事には詳しく書いてありますの内容はこちらをご覧ください。)

この「間接効果」と呼ばれるものはGA4でも確認が可能でして、「モデル比較」「コンバージョン経路」などのレポートを活用する事で検証できます。が、そこまで使用頻度が高くありませんので、今回はどんな時に使うのか?について書いておきたいと思います。

◯広告の検証

やはり一番は、冒頭でも記載しました通り、広告効果の検証をする際に間接効果を見ます。

こちらのレポートにて、広告のチャネルや参照元を選択。チャネルごとに間接効果のスコアが表示されており、そちらを確認する事で貢献度を確認します。問題は、「アトリビューションモデル」にて貢献度が変わってしまう事でしょうか。

[GA4] アトリビューションとアトリビューション モデリングについて

言葉の意味はGoogleのヘルプを見ると記載されておりますが、この中で「ファーストクリック」「線形」「接点ベース」「減衰」は23年9月に消えます。(何で作ったんや…)ファーストクリックと線形消すとかちょっと意味がわからない。

これでユーザーが少なくとも、広告を経由したか?を見る事ができますので、チャネル別の貢献度を測る事ができます。管理画面の「アトリビューション設定」から、

「他のすべてのコンバージョンイベント」を90日にしておくと、コンバージョンしたユーザーの行動を90日前まで追う事が可能です。そしてこちらのレポートと同様に、広告側のレポートは間接効果も含んでいるケースが大半なのです。例えばGoogle広告の管理画面には、

こんな感じでコンバージョン計測の画面に普通に説明が書いてあったりするのですが、代理店さんがあまり説明しないせいもあり、事業者側が知らない事が本当に多いです。(筆者の経験上、詳細に説明した上でレポートを出している代理店さんは0件です。)そんな訳でよく、

「広告レポートとGA側で売上に乖離があるのは何故か?」

とお客さんから聞かれるのですが、概ねこちらが原因です。ユーザーは購買に至るまで様々なチャネルを経由しますが、最後のチャネルのみ貢献としてカウントするラストクリックと、「経由」が発生して購買まで至ったチャネルまで含むとでは効果に差が出るのは当たり前ですね。経由して購買に至っているのですからもちろん貢献度が0な訳ではありません。とは言え、そちらをメインとしてカウントしてしまうとROAS(広告の費用対効果)が良くなりすぎてしまい、不採算かどうか?がわからないまま広告費をどんどん投下してしまう事も少なくありません。ひどい時は代理店さんから「何故GA4と広告レポートにこんな差が出るのか?」聞かれた事もあります。ちゃんと仕事しろ。

アパレルECの販管費で嵩みやすい勘定科目はどれ?

アパレルECの販管費で嵩みやすい勘定科目はどれ?

(これに関しては前回も軽く書いてますね。)

最終的に広告は「営業利益が増えたかどうか?」で判断するのが良いとは思うのですが、間接効果を見て貢献度を測りたいという場合はGA4側でも確認はできますのでぜひ使ってみてください。

◯SNSの効果検証

続きましてこちら。SNSの役割としては「認知拡大」の為に使われるケースが多いでしょうから、コンバージョンの起点になっているかどうか?は測っておきたいところでしょう。そんな訳で、こちらもコンバージョンに至るまで経由されたかどうか?をGAのレポートから確認するのですが、1点問題があります。

それは、多くのSNSはモバイルアプリで起動するユーザーが大半という点です。モバイルアプリで起動し、自店のURLをクリックされると「アプリ内ブラウザ」が起動します。GAのユーザー判定はCookieなので、ブラウザが変わると当然別ユーザーとしてカウントされます。普段、iPhoneのGoogle Chromeを開いているユーザーが、Instagramのアプリ内ブラウザを開くと別ユーザーが訪問したとしてカウントされるので、同一ユーザーだったとしても経由したチャネルはカウントできません。そんな訳でinstagramユーザーをコンバージョン経路で確認しますと、

IG → IG → Direct → Direct → コンバージョン

みたいなデータになる事が多いです。(その上、SafariだとITPの影響も受けます。)TwitterやFacebookならPCで開く方もいらっしゃいますので、経路を確認すると同一ユーザーが様々なチャネルを経由しているのがわかりますが、instagramをPCで開く方はごくごく少数なのでほぼデータに反映されません。そんな訳で、SNSの間接効果を検証するのは全然良いのですが、他のチャネル経由しているユーザーのデータ量が極めて少ないので、合わせて「指名検索」が伸びたかどうか?や、SNS経由での再訪率なども見ておきましょう。

◯検討期間が長いアイテム

アパレル、というよりは高級バッグ関連に多いのですが、とにかく検討期間が長いので、間接効果を常に見ておく必要があります。衣料品と違い、バッグや宝飾品は着用期間が季節によって縛られないのが大きな理由ですね。この場合、チャネルの特性というよりは商品特性なので、全チャネルで間接効果を見ておきましょう。衣料品なんて毎月展開変わりますから検討期間は長くても1ヶ月も無いケースが多いのですが(低価格商材なら尚更)、高級バッグは3ヶ月は平気で検討します。ファッション関連でも年齢層や商品特性によって検討期間に差が出ますし、それによって確認するレポートが変わりますのでご注意ください。

余談ですが、ファッション関連の商材は雑誌等のメディア露出が多いせいか、検索がコンバージョンの起点となる事が多いです。特に中価格帯以上のブランドは広告含むSNSでの新規獲得のハードルが一気に上がりますので、雑誌掲載で認知を取る事が多いです。そんな訳で、メディア露出→検索(or リスティング広告)という起点は把握しておいた方が良いでしょう。

 

今回は間接効果の検証についてでしたが、言葉の意味が難しく、どんな機能かわからないから使っていない事業者様が多いように感じます。「データドリブンアトリビューション」とかちょっと何言ってるかわからない。しかしその機能は、実は必要としていたのに知らなかっただけかもしれません。事実、形を変えて「広告効果を測りたい」「SNSの貢献度を検証したい」と聞かれるのですから、しっかり覚えておきましょう。特に広告効果は、代理店側がラストクリックでのコンバージョンを分けて出してくれるなんて事はほぼありませんのでお気をつけください。

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