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MDが定点観測を行う際に、意識するポイントとは?

★私がショップの定点観測を行う目的

マーチャンダイザー(以下MD)に限らず、アパレル・ファッション小売業の仕事に携わる方々で、競合店に指定したショップ・ブランドをリサーチ・定点観測を実践している方は多くいらっしゃると存じます。今回の記事は、MDアドバイザーという仕事柄、ショップリサーチを行うことが多い私が、リサーチ・定点観測を行う際に、どのようなことを意識しているのか?を、勝手に皆さんにお伝えします。

私がショップ・ブランドの定点観測を欠かさないのは、弊社のお客様のMDの精度を向上させる為でありますので、基本は読者の皆様方と違い、お客様のショップ・ブランドを定点観測させて頂くことが殆どです。しかし、時にはお客様の競合店を定点観測させて頂くこともあります。そんな私のショップの定点観測を行う目的は?顧客の消費動向・傾向を長期にわたって観察することで、先のマーチャンダイジング(以下MD)の精度を上げる為です。さらに言えば、どの時期にどんな商品を多くのお客様に提供しようとしてるのか?そして、MDが多くのお客様に提供しようとした商品は、お客様に支持されていたのか?されていないのか?等を掴むことで、何故、そのような結果になったのか?の要因を探ります。このことで、MDにとって必要な能力である仮説を立てるを力を養うことも、私が定点観測を行う目的です。特に、売れているショップの定点観測を1年続けていくと、そのショップのMD MAPが見えますし、MDにおける長所を学ぶことも出来ます。

★ショップの定点観測を行う際のポイント

では以下、私が定点観測を行う際に、実践・意識していることをお伝えします。
まずは、ショップのどの場所を見ているのか?という点です。先述しましたように、私は基本、MDが数を多く売りたい商品の動向を探っています。ですので、ショップのVP(ヴィジュアルプレゼンテーション)に該当する部分とパンツコーナー等、同アイテムで纏められているコーナーを観察しています。因みに、VPという言葉は、VMD用語になりますが、端折って説明致しますと、VPは売りたい・売れる商品を置く場所に該当し、ショップの目につきやすい場所、入口近辺に設定されている場合が殆どです。また、同アイテムでコーナー展開されている場所を観察する際は、自分の目線10センチ下という一番見やすい場所に、どのような商品が置かれているのか?を、観察しています。何故ならば、その場所に多く・長く売りたい商品が置かれている場合が多いからです。

次は、定点観測をする頻度です。私はレディースならば基本月2回。メンズならば、基本月1回のペースでショップに足を運びます。何故ならば、アパレル小売業の場合、レディースの方がメンズよりも、商品の販売期間の設定を短くしている場合が多いからです。(明確な販売期間を設定しない組織も多く存在するが。。。)逆に高頻度で足を運ぶと、ショップの商品の変遷を掴みにくいケースがありますので、定点観測をする頻度は、ほどほどにした方が、個人的に効果が高いと考えています。

★ケーススタディ

これまで述べた点を意識して、商品の販売期間設定が平均2か月の架空のメンズショップのVPを、定点観測した場合のケーススタディを以下お伝えします。ケーススタディは以下の通りです。(月1観測想定です。)

①1か月前とVPの商品が同じ。色・サイズが揃っている
②1か月前にVPにあった商品が、ショップの後ろに置かれており、色・サイズが揃っている
③1か月前にVPにあった商品が、ショップの後ろに置かれており、色・サイズが欠けている
④1か月前にVPにあった商品が店頭から消えている

以上の4ケースです。では、それぞれに見ていきましょう。

①1か月前とVPの商品が同じ。色・サイズが揃っている

このような結果だった場合、その商品はMDの思惑通り売れているケースが殆どです。何故ならば、仮にこの商品が大して売れていなかった場合、ショップはVPを変更している可能性が大きいからです。また、在庫もある一定の数量はショップに存在している可能性が大きく、売れ筋が切れないという観点から、ショップも助かる筈です。しかしながら、この商品が次シーズンや来期も多くの数量が売れるのか?というと、そうでない可能性が高い!と、MDは疑いの目を持った方が良いですし、このような商品から先に繋がるヒントを得るのは、難しいと考えた方が妥当です。

②1か月前にVPにあった商品が、ショップの後ろに置かれており、色・サイズが揃っている

これは、MDの思惑通りに売れなかった可能性が大です。理由は①でお伝えした通りです。このような商品を発見した場合、何故このショップのMDは、この商品の数を読み間違え、多くの在庫を残しそうな結果に終わったのか?、そのMDに成り代わって失敗の要因・心理を探ることで、自身のMDの仕事の精度を上げることに繋がります。

③1か月前にVPにあった商品が、ショップの後ろに置かれており、色・サイズが欠けている

これは、MDの思惑以上に売れている可能性が高いです。ショップの店長に成り代わって心理を探ると、もう色・サイズも欠けていて、在庫のない商品を、VPに展開し続けても、ショップの売上低下する可能性が高い!と判断したのでは?と、読み取ることができます。MDの仕事でみれば、商品の発注数量が足りなかったので失敗ともいえますが、違う視点みると、その商品は次シーズンや来期も売れる可能性を残しているとも捉えられます。このような商品は、次に繋がる可能性が高いので、漏れなく掴んでおくようにしましょう。

④1か月前にVPにあった商品が店頭から消えている

③の考え方でいえば、この商品は売れている可能性が高いといえます。しかしながら、今回のケースでいうと商品の販売期間が2か月以上経過していれば、店頭から商品を下げられている可能性大です。また、極端に売れず短期間で商品を下げられているケースがあります。このことをしっかりと見極める必要があります。仮にその商品が売れてすぐになくなったと判明した場合は、その商品がもつ(お客様にとっての)付加価値を探ることが重要です。この行為こそが、今後のショップ・ブランドのMDを大きく向上させるきっかけとなる可能性が高まります。

★最後にお伝えしたいこと

最後に、これまでお伝えしたことは、ECの定点観測を行う際に十分通用する考え方だと、私は考えています。実店舗とECとでは商品の売り方の手段の部分では違いますが、お客様が欲しい商品を購入する場である!という点で、本質的な部分に違いはない筈です。ですので、ECの定点観測を行う際も今回述べたことを参考にしていただければと存じます。
また、今回の記事を読み進めて頂いたことで、気づいた方もいらっしゃるとは存じますが、今回記事に纏めた定点観測を行う際のポイントは、ショップで販売の仕事に従事されている皆様方ならば、日々を行う業務に直結しています。販売員の心理に立てば、他ショップの商品陳列を定点観測すれば、私なんかよりも多くのことが読み取れる筈です。このことも、私が販売の仕事に従事されている方々が、MDの仕事に一番向いていると考える理由となりますので、販売の仕事に従事されている皆様方で、MD志望の方がいらっしゃいましたら、実践していただければ幸いです。今回の記事は以上で終了です。次回もよろしくお願いいたします。

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