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弊社は現在、マーチャンダイジング(以下MD)を中心とした業務を請け負っています。年が明けると会社を設立してから10年となりますが、これまでアパレル・ファッション業界に限らず、他の業種の企業様から仕事を請け負ってきました。この場を借りて御礼申し上げます。そんな小売業を中心としたお客様が、弊社に仕事を依頼する理由は様々あります。以下、箇条書きでお伝えいたしますと。
①MDの人材育成
②事業部ごとにバラバラのMD運用を共通化する
③MD分析(OTB分析)→MDにおける問題点を抽出し改善案の提案
④商品分類・管理ルールの等のMDルールの確立
⑤在庫が多く残らない仕組みを確立
⑥新規事業立ち上げにおけるMDの確立
こんなところでしょうか。
MD業務に関する仕事を生業とする弊社が、お客様からの仕事を請け負う上で特に意識していることがあります。
それは、「お客様の長所を見極め、長所を活用する!」ということです。
同業者に近い方々の中には、自身の自己顕示欲と金銭欲を満たすことを最優先とし、上から目線での手段の押し付けを、目的とするような方々がおられますが、弊社は基本、(ある一定の期間)継続している企業や組織は、必ず長所が存在する!という見方で、仕事に臨みます。何故ならば、長所を無視したMDの業務改善は、その組織の業績悪化を更に加速させる可能性が大になるからです。
例えば、上記に掲げた弊社への仕事依頼②のケースで説明致しますと、同じ会社組織ではあるのだが、各事業部によって、MDに関する帳票がバラバラ。数字の見え方も全く違い、中には実態が見えづらい事業部さえ存在する!こんなケースがあります。このようなケースで、MD運用の共通化を求められる場合、間違えやすいのは?
①良い事業部を基準に、売上・粗利の目標を合わせようとする
②販売部門の強みを考慮せずに、MDの原理・原則を無理やり当て込もうとする
他にもありますが、上記に掲げた2点です。以下、それぞれのケースで説明いたします。
これは、よくあるパターンなのですが、良い事業部を基準に、売上・粗利目標を与えるケースです。売れている事業部の長所を活用することは、当然のこととして組織全体で実践すべきことではありますが、顧客ターゲット・価格帯・店舗数。また、商品の調達先等の違いで、当然のことながら目指すべき目標数字は、違って当然のことです。予算設計のベースは損益予算になりますから、それぞれの事業部の現状を鑑みたうえで、売上・粗利の目標設定を行う。そして、各部署が目標数字を達成するための、行動計画を策定し実践する。このことが大事です。
共通化させるべき部分は、MD数字も含めた会社全体の予算・実績等の見え方・帳票を共通化を、まず行うべきであり、良い事業部を基準に、数字目標を近づけることを優先してしまっては、「事業規模に見合わない商品調達先を無理矢理教養されてしまった!」等の、各事業部が持つ長所を消してしまう結果となってしまう可能性が大だといえます。
次はこのケースです。このケースの弱みは、販売部門が力が大きく、販売部門がMDにも影響を与えてしまっているところです。簡単に言いますと、同じショップ・ブランドの屋号でありながら各ショップの品揃えが大きく違うことで、商品の品番数が拡がり、在庫が増加する。このことが弱みといえます。このようになってしまう要因は、各ショップの売る力が強い(接客力が高い)為、ショップ側にバイヤーのような権限を持たせていることです。しかしながら、見方を変えればこのようなショップの接客力は長所です。その長所を鑑みず、セントラルなMDを導入することを目的とし、ドラスティックなまでに品揃えを同じにすると、おそらくその事業部の売上・粗利は一気に低下することでしょう。実際に、コンサル等を起用したリブランディングがうまくいかない要因は、このことが大きいのでは?と推測されます。
このケースでは、販売部門からのヒアリング・コミュニケーションを密に取りながら、MD改善における目標設定を行い、目標達成までの過程を可視化し、実践することが大事となってきます。また、販売部門とコミュニケーションをとる際は、なるべく詳細なデータをもって臨み、議論が抽象的にならないようにすることが重要です。
最後に、ブランド・ショップが不調に陥り、その改善をしなければならないとき、回りの情報や声に影響されすぎて、自分たちが培ってきた本来の長所を見失うことがあります。しかしながら、苦しくなったときこそ、自分たちが培ってきた長所。そして、その本質を掴むことがなによりも重要です。今回の記事が読者の皆様方のお役に立てれば幸いでございます。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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