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今回の記事は、私がマーチャンダイザーになる前の店長時代の話。約20年前の春ごろ。私は、都心ではないショップの店長に着任することになりました。そのショップは当時住んでいた場所から電車で1時間半くらいかかる場所の上、オープンが10時なので、9時過ぎには出勤しなければならず(今なら苦にならないが)、辛かった思い出しかありませんが、そのときのショップの両隣が、当時販売員の個人ノルマや声出し等の厳しさで有名だった企業のショップでした。私がいた会社は販売員の個人ノルマなどなかったので、そのとき初めて「販売員に個人ノルマがある」ということを知りました。当時出勤すると、そのときには大きな声で挨拶訓練をしている光景を見たときは、「自分だったら1日で辞めるな~」なんて感じたのを、今でもよく思い出します。
そんなこんなで1か月もすると、そのうちの店長の1人と良く話をするようになり、仕事終わりには飲みにも出かけていました。当時、その店長に「マサさんは金髪だし、いつも自由そうで羨ましいです。」なんてことをよく言われていましたが(本当はよく本部の人と喧嘩していたので、全然気軽な状況ではなかった_| ̄|○)、どちらかというと「どうしたら、もっと売れるようになるんですかね??」という業務的な相談が多かったように記憶しています。当時のショップの場所は都心に比べると、入店数も少なく、どのショップも大した売上ではなかったので、同じフロアの店長同士で「今どのくらい売れていますか?」「レジ開きました?(レジ開かない=売上0ということ)」等のやりとりを、休憩室等でよくしていました。しかしながら、先述した両隣のショップは必ず1週間に1回くらい、本部のエリアマネージャー?が来て、店長を詰めている??声が、ショップのバックヤードで作業をしているときに良く聞こえてきました。自分がその立場だったら、エリアマネージャーをぶん殴るなぁ~と思うくらいの罵声も飛んでいるときもありましたが、そのようなこと状況でも、その店長はつらい顔を見せず、スタッフを良くまとめショップを運営していました。(他のスタッフから話を聞くと、その店長は休みの日も出勤していたようです・・・)
また、その店長のショップの売上が厳しそうな日にショップを覗いてみると、まだ売上が0の段階で売上が喉から手が出るほど欲しくても、決して無礼なふるまいをするわけではなく、お客様にため口を訊くのではなく、例え買わなくても、笑顔でお客様をお送り出していました。私は売上がよくないとすぐに顔に出るタイプだったので、その店長の姿勢から学ぶことが多かったように記憶しています。(私自身は、その店長のような振る舞いができるようにならなかったが_| ̄|○)
しかしながら、ある日突然、ショップから店長の姿が見えなくなりました。そこでスタッフの方に「店長を最近見ないけど、異動されたの?」と質問してみたら、その店長は、過労とストレスが原因で胃に穴が開き入院したのち、そのまま会社を退社されたとのことでした。あれだけ、真摯に仕事に打ち込み、お客様のことを常に考え、ショップを運営していたその店長が退社したことは、私にとっては大きな衝撃でしたが、やはり店長という仕事は、”売上”という数字の結果を出さなければ、組織や周囲に評価されないのだなということを、当時痛感させられました。あれから20年経った今も、その店長のこと思い出すことがあります。
今も昔も、アパレル小売業の評価対象は売上が一番といってよい状況です。例えば、外的要因と内的要因を分類したうえで、評価基準を具体的に設定し、売上以外の項目も細かく評価対象に設定しているような企業・組織は、アパレル小売業では、まだ多くはありません。ですから、目先の売上の大小を大きな判断基準として、組織・人は評価されます。アパレル小売業の仕事というのは、顧客に真摯に向き合い、真っ当に仕事をする組織であっても、商品が売れず売上が低迷する場合は多々ありますし、常に努力を怠らず、真摯に仕事しても成果を上げられない・(他者からの)評価が上がらない不器用な人は、この業界に多くおられることだと思います。しかしながら、弊社は不器用ながらも真摯に仕事に取り組む組織・人の役に立つことができるよう、今後も努力精進し続けたいと思いますm(__)m
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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