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MD目線で決算書を読む方法を教えます?④

 


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★UTの原価率が50%ならば、ST事業部の粗利率は高くなる。

前回、ユナイテッドトウキョウの商品の原価率は50%で、UT事業部の年間OFF率が20%だと仮定すると。(実際は、もっとOFF率が高い感じはするが。。。)

UT事業部の粗利率は37.5%になり、ST(ステュディオス)事業部の粗利率は59.3%という高い粗利率が必要になると、お伝えしました。

 

そこで、決算書が読み取れる数字と、経験からくる推理から、

”本当にユナイテッドトウキョウの原価率は50%なのか?”

ということを考察していきます。

 

★買い付け商品の掛率(仕入原価率)は高い?

まずは、前回お伝えしたように、ST事業は、基本。国内デザイナーブランドオリジナル商品の2本柱で成り立っています。

過去の決算関連資料を読み込むと、大体売上構成は50%ずつであると記載されていますので、今回は売上構成は50%ずつと仮定致します。

 

まずは、国内デザイナーブランドです。前回もお伝えしましたが、セレクト系が買い付ける商品の掛率(仕入原価率)の相場は50%以上である。ということをお伝えさせて頂きました。

でないと。デザイナーブランドもビジネスとして成り立ちません。

 

上場するくらいの規模ですから、一般的なショップに比べれば、掛率(仕入原価率)も低く設定されているとは思いますが、強引な掛率(仕入原価率)交渉は、トウキョウベースが掲げる、国内デザイナーブランドの育成?という理念とも掛け離れているとも感じますので、今回は50%とさせて頂きます。
また、年間OFF率の設定は、前回もお伝えしたように一般的なセレクト系のOFF率は20~30%と考えられることから、今回は20%にいたします。

 

★ST事業のオリジナル商品は仕入原価率が低い??

すると💡ST事業の国内デザイナーブランドの粗利率は、37.5%となります。

→国内デザイナーブランド売上構成50%×粗利率37.5%=18.8%

→上記の計算から、想定されるST事業の粗利率59.3%-18.8%=40.5%

 

STオリジナル商品の売上構成50%設定ですから、

→40.5%÷オリジナル商品売上構成50%=81%

 

ということになり、ST事業部のオリジナル商品粗利率は81%という高い粗利率が必要となります。ということは?仕入原価率は19%以下でなければなりません。

 

ST事業のオリジナル商品の年間OFF率も20%であると設定すると?
(1-OFF率20%)×(1-粗利率81%)=15%

*(1-粗利率)=売上原価率

ST事業のオリジナル商品の仕入原価率は約15%であるとなります。

 

★ユナイテッドトウキョウの商品が原価率50%ならば、ST事業のオリジナル商品の仕入原価率が低くならざる得ない!

以下、ユナイテッドトウキョウの原価率の50%。トウキョウベース全体の年間OFF率が20%と。仮定した場合の数字を纏めると。

 

・ST(ステュディオス)事業

 

・売上構成63.7%。

・粗利率59.3%。

・売上構成→国内デザイナーブランド・オリジナル商品共に50%と仮定

・想定仕入原価率→国内デザイナーブランド50%。オリジナル商品15%

 

 

・UT事業・その他

 

売上構成36.3%。

・粗利率37.5%。

・想定仕入原価率50%

 

 

となります。皆さんいかがでしょうか?流石にST事業のオリジナル商品の仕入原価率15%は無理がないでしょうか?

しかも、今回のOFF率の設定は20%です。実際店頭を見ていると、そのOFF率はもっと高い筈です。そうなると?更に仕入原価率が低くないと、決算書の通りの粗利率はいかない!ということです。

 

これがもし本当の数字に近いのであれば、彼らのいう原価率高い=良い商品という論理では、ステュディオスのオリジナル商品はアカン商品!という論法になります(笑)

流石にここまで、仕入原価率は低くはないでしょう?きっと。。。

 

ということは💡ユナイテッドトウキョウの仕入原価率は、もっと低いであろうと仮定する方が、合点がいくということです。

 

そもそも、数量スケール等に左右される原価は、原価率高い=良い商品。という訳ではありません。

また、原価率が低かろうが、顧客がその商品に付加価値を感じれば、商品の原価率が低いからダメ!というわけではないのです。

 

今後トウキョウベースの成長戦略を考えると、UT事業の原価率が高いままでは、店舗展開を拡大しても、収益アップの見込はないに等しいものです。

(本当は、仕入原価率50%もない筈だが。。。)

 

ということは?原価率自慢などしても、何の意味もなく、事業を拡大し、仕入原価率を押し下げなければ、掲げている成長戦略を達成するのも困難になります。

 

商品の原価率の高さ以外の付加価値を顧客に提供することが、今後トウキョウベースが進むべき道である。のではないでしょうか。

 

次回は、決算関連資料の粗利率の推移から見える、MD目線でみる考察をお伝えします。お楽しみに(@^^)/~~~

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