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在庫回転(日数・率)だけ切り取って論じても意味がない?

★しまむらがUNIQLOよりも在庫回転が良いのは当たり前?

先日、弊社サイトでもお馴染みの深地さんが以下のツイートを、X(旧Twitter)で上げておられました。


個人的には、しまむらとユニクロの在庫回転率を比べるという見出しのつけ方がおかしいと感じましたが、記事の内容をみる限り、この記事で取り上げられているコンサルの方も見出しの付け方がなぁ〜。。と感じられているかもしれません。(記事の内容に興味のある方は、下記のリンクからご覧ください)
しまむら、高収益企業へ変身の秘密…在庫回転日数の短さはファストリを凌駕

話を戻しまして、深地さんがツイートされているように、販売期間の設定を長くとるユニクロと販売期間を短くとり売り切り御免、追加発注は行わないしまむら(最近は長い販売期間をとり、追加対応している商品も増えていると推測される)の在庫回転日数を並べて比べることは、本末転倒のようにしか思いません。しかしながら、販売期間を長くとる場合と販売期間を短くとる場合のメリット・デメリットはそれぞれにあります。事実、上述した記事にも以下のような記述があります。

23年12月15日付け日本経済新聞記事によれば、直近通期決算の在庫回転日数は31日であり、ファストリや良品計画より短いという。だが、品揃えの頻繁な変更は客離れにつながらないのだろうか。

ファッション小売のプロが携わる記事で、この記述を使用するのは如何なことかと存じますが、上述されている懸念は販売期間を短く設定するデメリットとなります。ということで、今回は販売期間を長くとる場合と販売期間を短くとる場合のメリット・デメリットを、できるだけシンプルにわかりすい表現で読者の皆様方にお伝えできればと存じます。

★販売期間の設定が短い・長い!それぞれのメリットとは?

先ずは、販売期間の設定が短い場合と長い場合のメリットを考えてみてみましょう。

【販売期間の設定が短い場合のメリット】
・店頭の鮮度が保てる→新商品の入荷が続々とあり、お客様を飽きさせない。
・1アイテムあたり平均数量が少ないので、平均在庫が減り、在庫回転が向上する可能性が高まる。

他にもありますが、この2つが販売期間の設定が長い場合の代表的なメリットです。

【販売期間の設定が長い場合のメリット】
・売れ筋商品の売り逃しの可能性が減る。(商品の追加発注対応可能等の理由)
・1アイテムあたりの平均数量が多いので、サイズ展開を拡げられ、サイズによる売り逃しの可能性が下がる。
・上記と同様の理由から、ミニマムロットを達成しやすい。

他にもありますが、このあたりが代表的なメリットです。

★販売期間の設定が短い・長い!それぞれのデメリットとは?

次はデメリットです。

【販売期間の設定が短い場合のデメリット】
・1アイテムあたりの平均数量が少ないことでミニマムロットがこなせない、原価が上がる可能性が高まる。
・上記と同様の理由でサイズ展開を拡げにくい。
・(店舗への)投入アイテム数が多いので、店舗のVMD作業が大変になる。
→場合によっては店に出し切れない商品が多く発生する可能性がある。
・店舗間移動が多く発生するので、物流コストが増大する可能性がある。

等が考えられるでしょうか?上述した販売期間の設定が短いデメリットの中に、ミニマムロットのことが出てきますが、しまむらの場合は展開ショップ数が多い上に、価格設定が低く、多くの商品点数を必要としますから、その点は当てはまりにくいでしょう。また、しまむらの場合は商品の仕入先さんとの関係性も良好でしょうから、更にその可能性は低いと言えます。話を戻しまして、次は販売期間の設定が長い場合のデメリットです。

【販売期間の設定が長い場合のデメリット】
・1アイテムあたりの数量が多いので、平均在庫が多くなりやすい→在庫回転が悪化しやすい。
・上記と同様の理由でキャッシュフローが悪化しやすい。
・商品の品揃えが変わらない期間が長い。
→お客様が飽きてしまう可能性が高い。
・(リードタイムが長い場合)気温対応がしにくい。
→多くの在庫が残る懸念から過度なセールを強いられる可能性が高まる。

他にもあると存じますが、上記のようなことが考えられます。

★販売期間の設定は、自分たちブランドのコンセプトや顧客ターゲットを鑑みて

これまでで販売期間の設定が短い場合と長い場合のメリット・デメリットみてきましたが、一概に販売期間の設定を短くすることで、在庫回転率を高めることが、絶対的に必要だというわけではありません。事実、ユニクロ要するファストリテイリングは、しまむらより遥かに在庫回転率は低くなります。要は、自分たちブランドコンセプトやコンセプトから見る顧客ターゲットを鑑み、販売期間の設定をすることが重要となります。例えば、広い客層に商品を売りたいのであれば、サイズ展開を拡げることが必要となってきますから、販売期間の設定の長くとらざるえません。また、メンズはレディースよりもサイズ展開を拡げないと、売上が上がらない可能性が高まりますから、必然的に販売期間の設定を長くしなければなりません。(販売期間の設定を短くし、サイズ展開を拡げると仕入オーバーで在庫過多に陥る)逆にレディースの場合は、メンズよりもトレンドの展開が早く、店頭の鮮度が必要となる場合が多いですから、販売期間の設定を短く設定した方が良いケースがあります。その場合は、顧客ターゲットを明確にし、サイズ展開を減らす努力をしなければなりませんし、商品にもウェストゴムの商品を展開する等、サイズ展開を減らしながらサイズ対応の幅を拡げる等の工夫が必要となってきます。

今回の記事は、販売期間の設定を長くすること短くすることのメリット・デメリットを考えてみましたが、短絡的に、ある指標だけを切り取ってアパレル小売のブランド運営の良し悪しを判断しても、本質は何も見えてきません。大事なことは、自分たちのブランドやショップのコンセプトや顧客ターゲット等を具体的に設定することで見えてくる、商品の販売期間の設定・在庫回転率の予算化が重要です。短絡的なネット記事に踊らされる前に、この記事が、改めて自分たちのブランドやショップの商品の販売期間の設定を考えるきっかけになれれば嬉しく存じます。

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