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こんにちは。2月の頭くらいからコロナに罹患し、現在も不調のワダです。これで二度目になってしまったのですが、今回の方がキツかったように思います。発熱による恐ろしい程の寒気、いわゆる悪寒というやつが凄すぎて、眠れませんでした。皆様もどうぞお気を付けください。
さて、そんなことはさておき、以前から頭にあったアパレル業界の「自腹システム」について、少し真剣に考えてみたいと思います。
お客様にとって、最もそのブランドと接する機会が多いのは言うまでもなく「店頭」です。無論店頭以外にも様々なチャネルを利用して、お客様とコミュニケーションをとり続ける必要がありますが、お客様が直接服を触り、そのブランドあるいはショップの世界観に触れられるのは店頭のみです。
そしてその店頭の世界観や価値観を象徴するのが、販売員さんであり、いわば彼らはブランドのアイコンとなります。故にウェブ上のコンテンツでも、スタッフさんのコーディネート企画のようなものが組まれることもあり、スタッフさんのスタイルは「お客様にとって最も参考にされるものの一つ」と考えても差し支えないでしょう。
だからこそ、基本的に「A」というブランドのスタッフさんは「A」の服を着ていた方がいいですし、一昨年販売された服よりも、今期の服を着ていた方が売り上げに貢献するわけです。
というのが、社員が自社の服を着なければならない「建前」となります。
以上の建前を以てして(個人的には理解できる部分もかなり多い)、アパレル業界では様々な「便宜上制服制度」が旧態依然とした形で残ってきています。そのほとんどが「制服手当」や「制服貸与」、「デザインの指定」などになるのですが、最も多いのは「社販制度」だと感じます。
こちらは、スタッフさんに対し、「ショップの服をプロパーではなく、割引価格で提供する」ものです。私が知る限りでは、10%~50%の割引率に設定されていることが多く、このシステムによって、販売員の本来あるべき可処分所得は減少します。平均的にみると、およそ月3万円ほどが「自社の服を買うため」のお金として消えていくのです。
もちろん、そもそも定価が高いショップや、半ばカルトのようにデザイナーを信奉する企業では、この金額が一気にぐんと伸びます。にもかかわらず、毎日店頭に立つショップスタッフの給料は、かなり低い場合が多く、あまりにも販売員が軽視されていると考えるのは、極めて一般的な感想といってもいいでしょう。
しかしながら、このシステムは「いや、あなたが望んでうちの会社に入ったんでしょ?あなたがうちの服を好きだから、安く買えてラッキーでしょ?」という、一言で片づけられてしまう問題です。故に、この社販制度はあまりに根深く、上の立場の人にきっちりと考え直してもらいたい問題でもあります。
中には、月の売上金額に満たない場合は自腹を切ってノルマをクリアする、という販売員さんもいるわけで、売れた時の成功報酬はないのに、売れなかった時の責任を被らなければならない、というのもどうかと思います。
いずれにしても、新卒一年目の人が、本部や上司に闊達な意見を言えるはずもないので、是非とも偉い方一人一人で、きっちりと現実に向き合って考えてみてほしいな、と心から思います。ただの小童の一意見でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。(ワダアサト)
OMOTE TO URA代表。文化服装学院グローバルビジネスデザイン科卒業。EXHIBITION NEW SHOCK・CULTURE BREAK MARKET主催。
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