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今一度、インバウンドについて考えたい

2020年のコロナ禍がスタートして以降、アパレルにかかわらず、日本産業の売上が軒並み落ちていたのは言うまでもありません。しかしながら2023年~今年にかけて、落ち込んでいたインバウンド需要が復活したとのニュースをよく見かけるようになりました。本日は、その「インバウンド」について自分なりに考えてみたいと思います。

 

①インバウンド復活?

私の住む山梨県では、特に富士山の麓「富士吉田地域」の観光業や産業は、大きくインバウンドに頼っています。とある花の調査で2024年2月「新倉富士浅間神社」と「忍野八海」に向かいましたが、このどちらもとんでもない数の観光客が押し寄せ、聞こえてくるのは外国語ばかりでした。

今はちょうど桜の季節ですから、とてもじゃないけど街を歩けるような状態ではありません。むろん、外国人にとっては美味いものが安く、極めて安全、そして清潔とくれば、日本が観光立国として優位にあるのは言うまでもありません。

新倉富士浅間神社(引用:好運日行

上図の場所は、確かに「THE NIPPON」という感じがしますが、地元の人達の中では「あ~なんかあるらしいね五重塔」的な扱いを受けており、わざわざ行くような場所ではありませんでした。

また、富士吉田市や西桂町は以前より絹織物が非常に有名な街で、富士に磨かれた水によって、その産業が発展してきたと聞いています。とある場所で、その生産者の方とお話をする機会がありましたが、2010年には売上の70%を日本人が占めていたのに対し、2023年は売上の60%近くをインバウンドに頼っている状況だと聞いています。

良質な傘や、ビジネスにもプライベートにも使えるシルクのネクタイ、夏に涼しいリネンのシャツなど「いいモノ」は日本の地方に溢れています。

 

②私も無関係でいられない

また、私が商品として販売する盆栽は、アパレルよりもインバウンド需要の拡大が顕著で、一大産地・埼玉県の生産者さんは、中国人バイヤーの数が極めて増加しており、みんな喜んでいるような状況です。

私が管理する盆栽の作業場(5000鉢くらいあるが、盗難の恐れがある為、場所は公開していない)にも、中国人のバイヤーが訪れ、「この苗木(クロマツ)を全部売ってほしい」と言われました。非公開なのに、どこから情報を仕入れてきたのか、恐怖を感じた出来事です。

もはや、国内産業は外国人の購買力に頼らなければ生き残れない、裏を返せばインバウンドの動向さえ見ておけば、生き残れる可能性があるということです。

 

③インバウンドという幻想

つまり、売上をあげ粗利益を増やすには「インバウンド」を少なからず考える必要があります。これはもう十年以上前から言われていたことです。従って、インバウンドを扱うファッションメディアでは、「中国人爆買い招く策」や「外国人観光客に狙って売る戦略」などのコンテンツばかりが書かれていますが、重要なのは「日本人に売る策」で、日本人が日本の魅力に気づかなければ、長期的なつまり半恒久的なビジネスは、どこかで破綻してしまうものではないか、と危惧します。

また、既に安売りNIPPONになりかけている現状もありますが、インバウンドのみに頼らない独自の施策を考慮したいところです。これ以上書くとややポリティカルな感じになって(笑)、大きな話(経済とか)になりそうなので、この辺りで終わります。最後までお読みいただきありがとうございました。(ワダアサト)

なお6月9日に河口湖で開催される大型マルシェへの出展が決定いたしました。むろん、インバウンド狙いです。詳細は今後発信されるSNS等をご確認ください。


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