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大手アパレル上場企業EC売上推移まとめ(2024年2月期通期)

先月から大手アパレル上場企業のEC売上をまとめておりましたが、

TOKYO BASEのEC売上はどう推移している?

バロックジャパンリミテッドのEC売上はどう推移している?

オンワードのEC売上はどう推移している?

今回は2月決算の企業を何社かまとめて書いてみたいと思います。決して1記事ずつ書くのが面倒になったからではありません。また、企業によっては直近でそこまで大きな変化が無い場合はありますので、

「昨年と書いている事変わらんやんけ」

みたいな内容もありますがお許しを。それでは早速見ていきましょう。

■しまむら

売上:6350億9100万円
営業利益:553億800万円
営業利益率:8.71%
EC売上:72億4000万円
EC比率:1.14%

昨年からトップラインが190億円程度伸びており、うち150億円はしまむら単体で伸びております。まだまだ好調を維持している同社ですが、「ファッションセンターしまむら」単体では店舗数は減少。(1418店舗→1415店舗)ECで売上を大きく伸ばした訳ではありませんので(昨年のEC売上は41億円)、既存店売上が伸びている模様。(ちなみに決算書では、「埼玉県」の売上にECが含まれており、そちらは昨年から30億円程度の伸びが確認できております。)

アパレル市場は店頭回帰・EC成長鈍化のトレンドですが、そもそもECをスタートしたのが最近なので当面は伸び代しかなく、SKUを担保する限りは成長鈍化はしばらく来ないでしょう。直近でECの型数数えてみましたがレディースALLで1519・メンズALLで1037・ベビー/キッズで408・寝具インテリアで165という内訳で、T/Lで3129型。昨年は衣料品のみで2000型弱程度でしたので、ややSKUは増えている模様。大きく売上伸ばしたいなら、単純に今仕入れいている商品をどこまでECでも展開するか?になるでしょう。インフルエンサー絡みの施策が多いですが、これは仕入れ元がインフルエンサーの企画ごと持ち込むという噂なので、広告宣伝費は抑えているかと推測します。店舗受け取りの比率は下げたくないでしょうから、EC上のSKU増やして一気に販促をかける、という手法は取らなさそうですね。店舗という強みがあるのですから、店舗を軸に来店されるお客様にECを使ってもらい、じわじわと売上が伸びていく、というのが狙いでしょうか。その店舗受け取りの比率ですが、今期は87.6%と記載。相変わらず9割近くを維持しておりますが、昨年の表記が「9割」だった事から、やや下がってきているのではないかと推測します。売上規模が大きくなれば下がるのは当然なので、こちらも計算通りなのでしょう。

やや懸念される点としては、店舗増えているのに売上がほぼ伸びていないバースデイやシャンブル。ここの成長が止まるようならトップラインは伸びにくいので、 新しい屋号のショップを開発するか、現在の屋号の中でブランド数を増やすか?になりそう。後者はしまむらの中でどんどんやっている感じではありますね。その他のSKU対策としては、コスメの展開でしょうか。

雑貨&ファッション シャンブル

こちらはまだECでは販売していないようなので、今後の展開に期待ですね。 他にも細々した展開は多く、

昨年秋冬にはアベイルでエゴイストコラボの展開。高価格帯ブランドの「CLOSSHI PREMIUM」が好調との記載もあり、粗利獲得の貢献度が高いようです。高価格と言えど、しまむらのPBなのでデニムが3000円を切る程度ですが。

あと余談ですが、店頭ではフォーマルなセットアップがめちゃくちゃ売れるらしいです。他ブランドと比較すると安価で買えるので重宝されるみたいですね。変わった取り組みでは SNSにてプラスサイズのみのInstagram運用なんかもスタートしていますね。

■アダストリア

売上:2755億9600万円
営業利益:180億1500万円
営業利益率:6.54%
EC売上:689億円(自社 367億6300万円・モール 321億3700万円)
EC比率:25.0%

アダストリアも相変わらず絶好調で、昨年からトップラインが330億円以上伸びております。EC売上が60億円以上伸びているにも関わらず、店頭の伸びが大きいせいでEC比率は昨年よりやや下落。店舗数は国内事業でトータル20店舗ほど増えており、相変わらずラコレでの出店が積極的ですね。(15店舗増加。)ラコレは売上が30億円ほど伸びており、創設から7年で売上100億を突破しています。来期も10店舗出店を予定しており、まだまだ伸ばしていく予定でしょう。

その他、店舗数が伸びていたのは珍しくグローバルワーク。こちらは別ラインの「スマイルシードストア」の店舗が増えているものと思われます。来期はさらに5店舗増やす予定になっているようです。

23年は暖冬だった秋冬のスタート時にやはり成長が鈍化していたようですが、昨対は取れております。月次速報では9月に既存店の客数のみやや減少していたようですが、それ以外の月はほぼ全て昨対超えとブランドの強さが垣間見られます。

ECは売上はモール・自社EC共に伸ばしており依然好調に推移。この規模になっても売上高伸ばし続けているのは凄いですね。昨年からモールで22億6000万円程度、自社ECは40億円以上伸びております。 オープンアンドナチュラル社の買収でペアマノンがドットエスティに参加したことも要因とのことです。(BUZZWITの売上が昨年から13億円増加しており、そちらの金額が該当してそうです。)

今後のECの課題としては、ラコレが成長鈍化した場合、代わりとなる成長エンジンは何になるのか?でしょうか。GMSのファウンドグッドは規模感的に期待できそうですが、こちらは在庫リスクがGMS側なので納品の段階で売上に計上=EC売上にはカウントされないでしょう。(恐らく卸扱いですね。)

FOUND GOOD

現在ECはZOZOのみで販売しているようですが、こちらもGMS側の管理と推測します。EC売上をわかりやすく伸ばしたいのであれば、ペアマノンのようなM&A・グローバルワークがやっているようなスピンアウト業態は積極的に実行するのが良さそうです。あとは現在も進めている他社商材の取り扱いなど。その他、アパレル以外での取り組みなど (コスメ・生活雑貨含め、ラコレでアパレル以外の商材の取り扱いは豊富)、どうSKUを担保していくかが重要になりそうです。

■TSI DD

売上:1553億800万円
営業利益:17億6000万円
営業利益率:1.13%
EC売上:397億円(自社 158億6000万円・モール 199億8000万円)
EC比率:25.5%

他社では店頭回帰からトップラインが伸び、EC比率がやや下がるという傾向が強いのですが、TSIは売上の伸びが小さく、EC売上も昨対割れ。(EC比率も下がっています。)売上はほぼ上がっていないですが、在庫は30億円程度増えており、キャッシュフローはやや悪化。

ブランド別のデータを確認しますと、それぞれ好不調の波が激しく全体で売上が伸びにくい、という要因がありそうです。特に直近で好調だったパーリーゲイツがゴルフ需要の停滞により、昨対で10億円近く売上減少。 ナノユニバースやHUFなどの主要ブランドも 昨対を割っていますね。暖冬の影響も大いにあるのでしょうけど。

好調に推移しているのがマーガレットハウエルで、売上が13億円増とピーク時の水準に戻りつつ粗利率も62.3%と高水準を維持。ナチュラルビューティーベーシックも売上は微増ですが、こちらも粗利率が64.2%と昨年より改善。現在の売上が111億円と、ピーク時の160億円程度販売していた時期から回復はしていないものの、粗利率は当時より良くなっております。(店舗数が相当減ったんでしょうかね。)

全体では営業利益率が昨年と大差は無いものの、1%台なのでやや懸念されますね。(純利益は改善。) 国内EC売上は2021年の407億円をピークに下がり続けており、直近では358億4000万円。自社EC・モール共に減少しており、特に自社ECは20億円以上売上が減少。

要因の1つとしてはスニーカー売上を含む、ストリートブランドの売上減少が挙げられていますね。NIKEの不調は様々なメディアでも報じられていますが、 その影響は受けているものと思われます。また、ストリート市場自体が過去と比較してシュリンクしてきているような印象はあります。HUFはわかりやすく数字が落ち込ん いますし、STUSSYに関してもピーク時より売上・粗利共に減少している模様。良い時は粗利率70%を超えていましたが、現在が63%程度にまで落ちています。

TSIの国内店舗はピーク時より半分以下になっておりまして、現在731店舗。(2015年時は1570店舗)店舗が減少しているので、ブランド認知や顧客が増えにくく、 EC売上高が増加しやすい環境ではありません。一方でTSIはウィメンズでそこそこ新しいブランドの開発が多く、ポップアップでもよく見かけます。また、雑誌媒体の掲載も多いので、今後これらが成長してくるとECも合わせて改善されるのではないかと。常設店の出店はまだそこまで目立っておりませんので、これらのブランドの成長が業績改善の鍵になっているのでは? と推測します。(YLEVE・LE PHIL・CADUNE・MECRE・CHAROLなど) とは言え、ピーク時に280億円を売っていたナノユニーバスが今や半分程度の142億円程度、100億円を超えていたローズバッドも30億円前後と推測されるので、この2つだけで200億円以上の マイナスなんですよね…。これらの穴を埋める(埋める必要もないのですが)ブランドを育てようと思うと、中々大変だなぁと。

 

文字数が多くなってきましたので今回はここまで。23年は春夏に数字が伸びやすく、秋冬は暖冬の影響でやや売上落としたものの、通期ではプラスで推移した企業が多かったという印象ですね。店頭回帰から企業全体で売上は伸びやすかったものの、やはり鍵となるのは引き続き成長ブランドをどれだけ保有しているか?になりそうです。直近では他社モールがやや不振、というお話もちらほら耳に入ってきており、EC売上を今後順調に伸ばしていけるか?は各社かなりハードルが高そうですね。また、23年の春夏は多くの企業でECが好調に推移していた事もあり、今現在の24年春夏にて昨対を取るのが中々難しい状況でしょう。EC比率も高止まりを見せておりますが、まぁそんな指標を見ずとも売上高をどう伸ばすか?の方が重要ですね。次回はUAやパルなど、今回まとめきれなかった企業をピックアップして書きたいと思います。

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