メールマガジンを登録していただくと、セミナー・イベント開催のお知らせやブログの更新通知をお届けします
前回のブログでは、2018年2月期トウキョウベースの粗利率は1.9%前年より低下している。粗利率の低下は、セールによる在庫処理を与儀なくされた?
そのことを客数・客単価から見てみると?ステュディオス(以下ST)事業の実店舗の(買上)客数が前年の93.5%に下がっており、これは意外に深刻なことでは?と記載致しました。
但し、このことだけでは、限界があります。そこで、決算短信の数字を活用してみることにしました。
決算短信は、四半期(3か月)単位で報告されており、損益計算書の売上。粗利率を3か月単位で繋げてみることで、その組織のMDの良し悪しが解るのでは?と感じ、2017年2月期から、2018年2月期までの、売上・粗利率を四半期ごとに並べた図が下記の図です。
まず、このことを見てすぐに気づくのは、秋冬商戦の依存度の高さです。
2017年2月期の第3Q第4Qの売上構成比は、61.4%あります。2018年2月期は、56.6%です。この数字は、既存店の数字ではないので、一概に鵜呑みにして良い数字ではありませんが、よく秋冬一本足打法と揶揄されることの多い、UNIQLOに比べてもその秋冬商戦の依存度は高いと言えるでしょう。
次に粗利率の推移です。第2QはSSのセール時期。第4QはAWのセール時期に当たるため、当然その時期の粗利率は、低くなります。
しかしながら、粗利率が53.1%だった2017年期は、第2Q・4Qとも粗利率は、50%以上の水準を維持していますが、2018年2月期の第2Q・4Qの数字は、50%を割り込んでいます。
更に気になるのは?2018年2月期の第3Qの粗利率が、前年同時期よりも、2.5%も下がっているのは?何故?ということです。
第3Qは、時期としては9月~11月に当たります。上記で述べたトウキョウベースの特徴を考えると、一番粗利率を稼ぎたい時期に当たる筈です。
しかしながら、粗利率が前年より2.5%下がるということはどういうことなのか?考えられることは、2018年2月期SS商戦のMDの失敗です。
9月の平均気温は6月末~7月上旬の気温とさして変わりません、ということは?
2018年2月期の春夏商品の在庫が多く余ったのでは?と推測されます。
実店舗はどのような施策を打ったのかは、定かではないですが、前回のブログで述べたように、トウキョウベースのEC事業はアウトレット機能も有しているのでは?と推測され、9月・10月に2018年2月期のSS商材が多くECで売れたのでは?推測されます。
そう考えると、本来単価が良い秋冬商品を売りたい時期に、持ち越したSS商材がセールで多く売れ、2018年のSTのEC事業の客単価が、前年比78%にまで下がったことに影響したのでは?とも推測できます。
しかしながら、この情報だけでは、まだ仮説としての精度が低いのも事実です。
そこで💡冒頭申しました、決算短信には貸借対照表(BS)も記載されています。BSには、棚卸資産が記載されています。しかしながら、棚卸資産には、仕掛品や資材も含まれます。
ですが、トウキョウベースのBSを見ると、商品と記載されています。これは、商品在庫と考えても間違いありません。
そこで、次回のブログでは売上・粗利の情報の他に、在庫をくっつけて考えてみて、2018年2月期のトウキョウベースの粗利率減の要因は何なのかを、もっと具体的に検証しています。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。