ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤

MENU

ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤

MD目線で決算書を読む方法を教えます?⑪

★トウキョウベースの2019年2月期を考察する。

前回までのブログでは、2018年2月期の粗利率低下の要因を、決算関連資料から考察してきました。

MD目線で決算書を読む方法を教えます?⑩

そこで、今回は、2019年2月期は、2018年2月期の反省を踏まえ、現状どうなっているのか?ということを決算関連資料から考察していきます。

 

まずは、前回もお伝えしましたが、2019年2月期の上期を、トウキョウベースがどう総括しているのか?ということを、2019年2月期上半期決算説明会資料からみてみると。。。

 

”総在庫金額抑制の一環として春物商品の仕入れを抑えたが、商品の品揃え鮮 度を欠いた事により上半期は苦戦 ”

 

と書かれています。

事実、前回使用した下記の図でもそのことは見て取れます。

2019年2月期の第1・2Qの売上の前年比は103,3%。2019年2月期のSS商材の仕入と推測される、2018年2月期第4Qと2019年2月期の第1Qを合わせた仕入金額の前年比は、97.7%と仕入を削減したことが見て取れます。

 

これが、前期の残在庫の内容等。計画がしっかりした上での仕入削減は、問題ないのですが、目先の数字だけを見た仕入削減は、当然のことながら売上に悪影響を及ぼします。

 

★2019年2月期SS商戦は大苦戦というのは、決算資料にも記載されている。

事実、2019年のSS商戦は、想像以上に不調であったとみて取れます。
決算短信には、2019年2月期上半期の既存店昨対の数字が、以下のように記載されています。

 

”既存店舗の当第2四半期累計期間の売上前年同期比は全社では88.6%となり、業態別ではSTUDIOUS業態 が83.0%、UNITED TOKYO業態が103.1%となりました。”

 

と記載されています。

私は前回までのブログで、2018年2月期のSS商戦も失敗と考察していますから、そう考えるとステュディオス(以下ST)業態は、前前年に比べ、だいぶ既存店昨対が下がっていると推測され、ST業態に関しては、かなり深刻な状況では?と捉えることができます。

 

★2019年2月期AW商戦もかなり厳しい?

では、2019年2月期のAW商戦はどうだったのか?というと?

現時点、第4Qまでの数字が入った、決算資料がない段階で、私はこのブログを書いています。

 

第3Qまでの数字は出ていますので、まずは売上の前出の図で確認すると、第3Qの売上前年比は、110.6%です。そして、仕入金額を確認すると、2019年2月期AW商戦に当たる、仕入金額は第2・3Qになります。
前年比は、114.5%です。

しかしながら、AW商戦の繁忙期に当たる、第3Qだけの仕入金額を見ると、前年比124.9%になっています。

 

おそらく、2019年2月期SS商戦の、仕入削減しすぎた!という反省から、仕入を無理に削減するのは、止めたのでしょうが、今度は寧ろ多すぎるような気がしてなりません。

事実、下方修正(上期決算説明会資料に記載)した数字を当てはめ、第4Qの予測を出すと。

 

売上は前年同時期97%。粗利率は四半期単位では、過去最低の47.6%になります。

 

しかも、この秋冬は暖冬で、多くの組織が苦戦した!というのが現状です。そのような中、仕入金額を増やし過ぎれば、どのような結末を迎えるのか?これは、誰しもが想像できることでしょう。

 

そして、2019年2月期第3Qの決算短信には、以下のような文言があります。

 

“当第3四半期会計期間(平成30年9 月1日から平成30年11月30日)の既存店舗の売上高前年同期比は94.6%となり、第2四半期会計期間(平成30年6 月1日から平成30年8月31日)に対して3.8%増加し、STUDIOUS業態が88.4%(同2.6%増)、UNITE D TOKYO業態が108.2%(同4.1%増)となりました。 “

 

ややこしい書き方です(笑)
しかし、ST事業の不振の深刻さは、最早隠しようのない事実です。
上記の文言では、第3Qの数字が上がっているように感じますが、既存店の前年比が88.4%で2.6%増。ということは💡前年の前年比は85.6%だったということです。

 

この結果。今期第3Qの数字は前前年ベースでみると、ST事業の既存店の前前年比は、75.8%まで落ち込んでいるということがわかります。

 

UT事業は、売上を伸ばしてはいますが、売上構成の6割は前後はST事業であるのが、トウキョウベースの実態です。そう考えると?第3Qの仕入金額の増加は、前述したように、2019年2月期の決算に悪影響を与える可能性が高いと言えます。

 

では、次回がこのシリーズの最終回。MD目線で見る決算分析から、トウキョウベースはMDやその他こと。どのようなことを改善していけば、いいのか!ということを考察していきます。

次回もお楽しみに。

MSMD & Co.,Ltd
MSMD & Co.,Ltd Twitter
弊社への問い合わせ・仕事依頼はこちら

この記事をシェアする

RANKING POST

1

2020.07.07

大量生産と過剰供給は別物
2

2021.10.29

YouTubeは稼げるのか?!YouTube登録者1,000人のリアルな収益を発表
3

2020.04.27

EC・通販専業ブランドも標準店舗の概念が必要なのでは?

NEW POST

2024.12.10

秋冬在庫をチャンスに変える!OTB活用術

2024.12.05

TSI HD・しまむらEC売上推移(25年2月期上期)

2024.12.04

Meta広告でブランドが効率よく認知獲得する方法

2024.12.03

MD視点で読む決算資料~ユナイテッドアローズ編2~

2024.11.28

WEB広告で効果が下がっている際のチェックポイント

CONTACT US

小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

TRADINGPERFORMANCE

取引実績