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現状の課題は本当にECなのか?を見極める方法

先週Xで、

とポストしましたところ、様々なご意見・ご感想を頂きました。SNSでは日々、どのような経歴かわからない方々が真偽不明の情報を発信しておりますので、特にMDの領域に関しては影響が大きいと思い注意喚起した次第です。EC界隈でも、MDの知見が無いにも関わらず軽はずみに「売上伸ばします」と言ってしまう支援会社が散見されますが、ここの理解が無いのにECで売上を大きく伸ばすのは厳しいと感じております。なので、筆者の場合はご相談が寄せられた段階で事業者様に複数ご質問をさせて頂き「今、EC支援をしても効果が期待できない」と感じた場合は、まずはMDやその他の支援を受けられるようお勧めしております。

そこで本日は、現状の課題がECにあるのか?それとも先に別の領域を強化した方が良いのか?について、見極める方法を書いておきたいと思います。(支援会社と言いましても、WEB制作を生業とする会社は関係ありません。主に「売上・利益」に関わるサービスを提供している会社のお話になります。)

■既に見込み客がある程度いるのに売上につながっていないケース

EC支援を受けて「効果がすぐ出るケース」はこちらがほとんどではないでしょうか。要はECの運用について知見が無い為に機会損失している、という状況ですね。「見込み客がいる」という状況をもっと細かく噛み砕くと、

①卸ビジネスでそれなりに流通量がある

②指名検索がそこそこ発生している

③顧客リスト(LINE・メルマガ)がそこそこある

④SNSのフォロワーがそこそこいる

⑤ヒット商品が明確

(「そこそこ」とか曖昧な感じですみません…。)

などが挙げられます。

現時点で機会損失が発生している可能性が高い → EC支援で売上が伸びる可能性がある

という事です。目的買いの側面が強いECですから、まぁこんな感じにはなりますね。

こちら、それぞれ対策は変わりますが、①や②だと卸先との取り組み強化や検索対策、地方に向けての広告配信等で効果を高める事ができる場合が多いです。③や④⑤はコンテンツの作り込みやこちらの発信の切り口、プッシュ回数等が対策になるでしょう。

逆に言うと、①〜⑤に該当しないのにEC支援をお願いされて受けてしまうと、効果が出ずに誰も幸せにならない事態に陥ってしまう可能性があります。(支援側はお金もらいますが、支援失敗は後々悪評につながるので…。)

上記以外でよくご相談があるのが、

「流入は多いけど売上が少ない。」

「新規流入は多いけど新規獲得につながらない。」

は要注意です。これらは一見、すでに見込み客がいるように聞こえるでしょう。しかし、蓋を開けてみたら決してそんなことはなかったりもします。

と言いますのも、見込み客がいない・商品自体に問題があるのにWEB広告やSEO記事などでセッションを大きく伸ばしているケースがあるからです。この場合、興味関心の弱いユーザーを闇雲に流入させているので、サイト内の改善を実施しても売上につながるはずがありません。ターゲティングの段階で躓いているのですから。

また、GA側で新規ユーザーが多くいるのに、カート側では初回購入者数が増えない、なんてケースもよくご相談がありますが、safariは1st Party Cookieを1週間で削除するので、GA上では新規ユーザーのカウントは増えやすい傾向にあります。safariを除外したデータを確認したり、user_idを拾ったりして再度検証するのが良いでしょう。

アパレル・ファッションECのSEO対策はどうしたら良い?

卸をECに活かすにはどうしたら良い?

お客様に煩わしさを感じさせずECからのプッシュを増やそう

(こちら参考までに。)

■MDの支援が必要なケース

上記に該当しない場合、ECより先にMD強化か見込み客を作る事が優先されるでしょう。(もちろん規模感・型数にもよりますが)特にブランドコンセプトが明確でなかったり、それが現場に浸透していないケースは非常に危険です。

コンセプトが明確でない→品揃え・展開・販促計画に不備がある→広告効果が薄い可能性が高い

という感じになりやすいので。そもそも、小売の施策立案は店頭・ECに関わらず商品ありきです。アパレルはシーズンごと・月ごとに販売スケジュールが目まぐるしく変化しますし、気温の変化も大きく受けます。「トレンド」という曖昧なものの影響で売れるアイテムも変化するので、どのような計画があるか?が明確に決まらないのに効果的な施策立案は不可能です。

ちょうど今は2月に入ったばかりですが、春夏の新作が投入される時期です。そこで考えなければならないのは、

・その中でどのアイテムカテゴリーの何が強化品番で在庫が手厚いのか?
・販売期間はいつまでなのか?
・着用可能な期間はいつまでなのか?
・どのようなアイテムとコーディネートしやすいのか?
・2月のよくある着用シーンは?
・雑誌掲載等の販促は絡めているのか?

などなど。これくらい材料があれば、EC側でも施策立案はしやすいですが、それにはMD設計が必要不可欠です。これらを明確にする事でサイトコンテンツを充実させ、メルマガやLINEなどのプッシュ回数も担保できます。また、商品が投入されたタイミングでの初速を見て、広告をブーストするかどうか?も検討する必要があるでしょう。

そんな訳で、MDの理解が無いのにいきなり「WEB広告で集客」を提案してくる企業には要注意です。これで予算を溶かしたケースを何件も見てきましたので、「ここに該当しそうだ…。」という方はマサ佐藤氏にご相談ください。

■商品の良さに気づいてもらえない状況

いきなり広告の提案、の中には例外もありまして、

「商品は需要があるのにその良さに気づいてもらえていない」

みたいなケースは、仮に顧客リストがなくとも広告で見込み客見つけてブーストできる可能性はあります。アパレルの場合、個人的にはここはmeta広告一択だと考えておりますが…。(異論はたくさんあるでしょう。)アパレル・ファッション関連の商品の場合、認知の無いブランドはどうしてもビジュアルで見せる必要があるのですが、筆者の経験上、Google等のディスプレイ広告より、普段から画像を見る為に滞在しているmeta広告の方が効果が高い事が多いです。(ていうか、ど新規狙いで効果出たケースはmetaしか見た事ない…。メディア露出×検索広告ならわかるのですが。)

そんな訳で、自社製品に絶対の自信はあるが、なるべくコスパ良く新規獲得したい!という方は対人マンにご相談ください。(品揃え・展開計画を合わせて改善したいなら、並行してMDも強化した方が良いのは言うまでもありません。)

 

もちろん、これだけが支援に失敗するケースでは無いのですが、双方が事前に失敗を回避できる内容かと思います。お仕事を受ける前に、お客様の課題を的確に捉えた上でEC支援に手をつけるなら良いのですが、アパレルの場合はどうしても業界特有の課題が複雑なので、それがわからず出来る気になってしまう方は多いのではないかと。

そのせいで「アパレルの知見がある会社に支援して欲しい」と仰られる事業者が後を絶ちません。事業者側としては自衛するしかありませんので、今回の内容をチェック項目としてご活用頂ければ幸いでございます。

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