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先日、以下の記事を見つけました。
上記の記事で、気になる文言がありましたので、以下にお伝えします。
「プロパー好調、セール低調」の傾向は年々強くなっており、先の百貨店もプロパーが売上高の過半を占めた。
上記の文言は、ここ何シーズンかは各マスコミで頻繁に報じられていますし、今回ご紹介記事は当てはまりませんが、セール商品の概況にはほとんど目を向けず、プロパー商品好調という部分だけに特化した報道も多いように感じます。私の個人的な見解では、このような報道は傾向として間違ってはいないと感じる一方で、担当者から聞いた話をそのまま記事にしたとも考えられるため、読者がこのようなマスコミ報道を鵜呑みにして、誤ったMD施策により過剰な在庫を抱える結果に繋がるのではないかと危惧しています。
一方で、上記記事には、以下の文言もありました。
一方で、セールニーズも根強くある。コートなど冬物セール品の目的買いは、セール開始当初の「オフ率」の少なさから購入に至らない事例が多かったようだ。
私自身は、こちらの方が本質であり、アパレル小売業の問題の根源はより深いように感じます。実際に、プロパー商品が好調という報道を受けて、店頭をリサーチしていても、前日まで店頭のほとんどがセール商品で埋め尽くされていたのに、翌日に足を運ぶと、新商品とプロパー商品で埋め尽くされていたという光景を、何度か目にしてきました。(このようなショップの販売員は大変だろうな。。。とも感じる)
店頭のほとんどを埋め尽くしていたセール商品が、翌日に突然新商品とプロパー商品に置き換わるということは、それだけセール商品の消化が芳しくないと推測できます。
では、なぜそのような現象が起こるのかというと、MDの視点から見ると理由は2つ考えられます。
1つ目の理由は、リードタイム(以下LT)以上の、将来の見通し(売上・粗利・仕入・在庫)を立てずに施策を立案していることが考えられます。例えば、LTが3か月ならば、向こう3か月の仕入は確定しています。加えて、直近の売上推移などを考慮して、向こう3か月の売上と粗利の見通しを立てることで、将来の在庫金額を算出することができます。これができていれば、目先の数字だけを見た「行き当たりばったり」な施策ではなく、ある程度の準備期間を設けた上で、適切な施策の立案・遂行が可能になります。適切なセール施策を打てていない組織は、このことが出来ていないと考えられます。以下、参考となる記事のリンクを貼っておきますので、ぜひご覧ください。
2つ目の理由は、セール売価設定の精度が低いことにあります。現状の商品の実力や残在庫、売り場の配置等などを考慮せずに、感覚だけでセール売価を設定すると、売上を損失するだけでなく、過剰な在庫を抱える結果につながります。セール売価設定にお悩みの方は、参考となる記事のリンクを貼っておきますので、ぜひご覧ください。
セール時期にプロパー商品の売上が好調であることをアピールすること自体は問題ありませんが、セール商品を軽視するような傾向には賛同できません。いくら新商品やプロパー商品の販売が好調でも、旬を過ぎたセール商品の販売を軽視するのは本末転倒です。「残った在庫はアウトレットに回せばなんとかなるだろう」「とりあえず、ECで販売し続けよう」といった姿勢では、組織の業績に悪影響を及ぼします。したがって、マーチャンダイザーは、新商品やプロパー商品にばかり目を向けるのではなく、旬を過ぎたセール商品の効率的な消化にも目を向けるべきです。つきましては、各マスコミには担当者から聞いた話をそのまま記事にするような薄っぺらい内容ではなく、消費者目線で本質を捉えた記事を数多く掲載していただきたいと願い、この記事を締めさせていただきます。
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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