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https://senken.co.jp/posts/masasato-seminer-fall18
今回は友人の南充浩さんのブログを引用させて頂きます。
この記事によると、ダウン・ウール等の価格が高騰し、来年以降は、そのような商品の値上がりが避けられない。ということに触れられています。
この記事は特に消費者。また現場で仕事に日々従事している販売員の方々にとっては有意義な情報ですし、それ以外の情報も私含め多くの業界人に参考になるものです。
しかしながら、このことは多くのアパレル小売業の経営陣・MD・バイヤーにとっては由々しき問題です。しかも、かなりのインパクトです。
では?この由々しき問題とアパレル小売業は今後どう向き合って行けば良いのか?以下考察していきます。
私の独断と偏見で言わせて頂ければ、アパレル小売業が取ることになるであろう方法は大きく考えて以下3つです。
①商品の値上げ。
②混率の変更等素材を変える?
③原価率は上がっても値段・商品はそのまま。
①に関して言えば、私は値上げ自体は別に”悪”だとは考えていません。無理に値上げせずに売っていても”粗利”は下がり経営が行き詰まる可能性が高くなります。しかし、値上げを断行すれば、当然のごとく客数の減少に繋がり、売上が下がる可能性が高まるので、中々決断の難しいところでしょう。事実以下のグラフのように値上げと客数の減少は相関関係にあります
(以下ジーンズメイトの2012年からの売上等の推移)
しかしながら、やむを得ない値上げの場合は、PR等と戦略を練り、顧客に値上げに対する理解を深める、戦略を練り実践すべきです。
②に関していうと、”商品のクオリティを下げろ!”という意味ではありません。
コンビニの弁当のように、しれっと同じ価格でも量を減らしたりとか、お菓子の量を減らす等の意味とは違うものです。
例えば、ウール100%のニットを混紡素材に変更するようなことは、この業界ではよく行われています。しかしながら、顧客の視点に立てば、寧ろ混紡素材の方が洗濯等が便利で助かる!ということもよくあることです。
デザイン面・利便性等で付加価値をつけられれば、顧客から認められる
可能性も十分にあるということです。
(しかしながら、この業界では原料が高騰すると、価格はそのままで商品がしょぼくなる傾向が強いが。。。)
最後に③です。このことはこの業界では、まだ見直せる余地はあるということです。仮に(原価高騰で)仕入原価率が上がっても、最終の売上・粗利率が昨年と同様。それ以上になっていれば良いということです。要はセール施策の抑制ということになります。
それには以下のことが必要になります。
A MD予算設計の精度を高め、期中の管理・運用を緻密にする
B アイテム数を削減し、1アイテム辺りの数量を増やす
これらのことが考えられます。Aに関していうと、MDの最重要の仕事の一つとしてMDにおける予算設計があります。予算は次期へ向けての”意志”と”仮説”を数字で表現することです。
この”意志”と”仮説”の精度が高ければ、予算は期中での”羅針盤”の役割を果たし、行き当たりばったりのOFF施策をとる必要性が狭まります。
(しかしながら、現状は予算設計の重要性が理解出来ていない組織が多いようですが。。)
また、Bに関して言うと。この業界の多くの組織は”店頭の鮮度重視”という強迫観念から、やたらと多くの商品を店頭に投入しています。更に言えば、売れ筋商品はすぐになくなり。売れない商品はいつまでたっても売れないという現象が起こっているということです。
このことを見直し、商品アイテム数自体を削減すれば、1アイテム辺りの数量が増え、多少原価にも影響を与えることができるということです。
来年以降の原料価格高騰は、アパレル小売業の経営・MD・バイヤーにとって頭を抱えることです。しかしながら、まずは自分たちの組織の長所・短所を具体的に割り出し、鑑みて、できれば、そのことを数値化し、わかりやすくした上で、来るべきときに備え事前に想定・準備をしておく。このことが重要なのではないでしょうか。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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