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アパレル・ファッション小売業界であるあるでよく見かける光景は、
”最新のテクノロジーやシステムの導入で、効率が上がり売上や利益が増える!”
といった光景です。
しかし、穿ったものの見方しかできない私は、いつもそのような論調に疑いをもち、このブログの中でも、システム等の導入だけでは、売上。利益に上がることに直結しない!と言ったような記事を多く書いてきました。
最新のシステムやテクノロジーは、世の中の色んなものを便利にし、その便利を享受することによって人々の生活は激変しました。
しかしながら、アパレル・ファッション小売業界では、世に言われるほど、最新のテクノロジーやシステムが、何かを大きく変えた!ということは少ないように思えます。
ここで、視点を変え、そもそもアパレル・ファッション小売業界の場合。何故そのような最新のテクノロジーやシステムが必要になるのか?その目的とは何なのか?ということを私の独断と偏見で考えてみると。。
① (実務者の)作業負担の軽減
② 顧客の購買心理・動向を探り、先に活かす
この2点だと考えられます。
①については、この業界でもかなり進化しているように思えます。かつては、在庫状況を一つ探るのも大変でしたが、現在ではクリック一つで店舗・倉庫のリアルタイムに近い在庫を探ることが可能になりましたし、システムの活用がうまくいっている企業・組織では、会議用の資料作成等の負担も軽減されています。
また、店頭ではRFIDタグでの導入での棚卸作業の負担の軽減や、タブレットを活用した情報の取得等、私が販売の仕事に従事していた20年前とは、だいぶ状況も変わりました。
(しかしながら、新たなシステムの導入で逆に負担の増している組織も多くあるが。。。)
しかしながら、②に関して言うと、これは最新のテクノロジーやシステムを導入すれば売上や利益を上げる!ということには直結しません。
このことを多くの経営者・上層部は勘違いしているように思います。
元々の商品管理や、自社の商品分析コードの定義・活用が曖昧。でたらめな組織が、そのことを改善しないで、最新のテクノロジーやシステムを導入しても、それは”豚に真珠”にしかなりません。
そもそものデータ分析の目的は、顧客の心理・動向を探り、この先の商品や品揃え計画に活かすことにあります。
ですが、その目的を忘れ、考えようともしない組織が、最新のテクノロジーやシステムを導入しても、結果。現場がますます混乱し、なんの費用対効果も得られない!このようなことになります。
最新のテクノロジーやシステムの導入で、その便利さが時代や仕事を変えるのは、今後も変わらないでしょう。
しかしながら、そのことを導入する前に、組織の目的を考え、人が決めるルール。手法等も見直し・改善することが、最新のテクノロジーやシステムを導入することよりも先にくるべきことです。
テクノロジーやシステムは、あくまで人が行うことの補完的な要素しかなく、人や組織が元々の目的を考え、決めたこと。そして、そのこと自体が、目的や時代に沿ってなければ、機械ではなく、人自身がそのことを変化させること。
このことが理解できない限り、この業界の最新のテクノロジーやシステムは、”豚に真珠”になり続けることでしょう。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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