ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤

MENU

ファッションビジネス ・リテールMDアドバイス ・マサ佐藤

在庫は数字だけでなく質を見ろ

★在庫があれば売れる?という誤解。

この業界では、よく店頭から

”在庫があれば、もっと売れたのに!”

ということ声がよくあります。

 

そのことを鵜呑みにしたMDは、急遽メーカー等仕入先を回り、商品を発注して在庫を増やしたことに満足し、

”(俺は)店頭の期待に応え在庫を増やしたぞ!!”

と勘違いするMDがチラホラといます。

 

ですが、友人の南充浩さんもブログで指摘しているように、

「売上高を増やしたければ在庫を増やせ」は現在では通用しない


ただ、やみくも在庫を増やしても、売上は伸びずに在庫が増えるだけです。

MDには、冒頭の店頭の言葉をもっと深く考える必要があります。店頭の言葉を正しく通訳?すると?店頭はこう言っている筈です。

”もっと売れる商品の在庫があれば、売れたのに!”
これが真実です。

 

このことを深く考えず、上記のように緊急に仕入をしても、昨今メーカーは商品の在庫を殆ど抱えることはないですし、在庫があったとしても、そもそもフォローが少ない売れない商品と考えた方が妥当です。

冒頭に登場したMDのように
”在庫を増やしたから、お前ら売れよ!”的なMDは、この業界から追放すべきです。

 

★在庫の質を見極めることが重要

このような状態にならないためには、MDとして在庫の量ではなく、質を見極める作業が求められます。

 

在庫の質を見極めるには、常に顧客に近い位置にいる店頭に足を運ぶや、顧客ターゲットなるような人を常に観察すれば良いことです。

ですが、展開店舗の多さや、業務量の多さ?(ホントに多いの?)から、店頭に常に足を運ぶのが難しいとするならば、意外のことで在庫の質を見極める努力をすべきでしょう。

 

私は常々このブログでも言っているように、MDとして”気づく”能力が大事だと訴えてきました。
そして、気づくスピードが速ければ、場合によっては追加商品が功を奏することがあります。気づくスピードを上げるには、店頭に足を運ぶことを怠らないことが一番大事ではありますが。。。そのこともままならない方も、多くいらっしゃることでしょう。では、どのようにして在庫の質を見極めるべきなのか?を、以下簡単なことだけ述べていきます。

 

★新規商品の実力に早く気づくには??

例えば、新規商品の店頭入荷日の売上だけ見て、その商品が特別であるかどうか?を判断するには、売上構成比と在庫構成比をバランスを見ることも大事です。

 

例えば、ある組織の新商品が木曜日に10枚売れた。その商品の販売期間は3か月。在庫はまだ1,000枚あるから安心。更に在庫消化日数で言えば。

1,000枚÷10枚(1日の売上)=100日(在庫消化日数)

となった場合。

 

その商品の1日の売上構成比が、事業部全体で7%。在庫構成比が5%あるならば、その商品は圧倒的に足りていない可能性があります。

 

仮に、その事業部の木曜日の曜日売上構成が7%だっとすると?

10枚(売上)÷7%(木曜日の売上構成比)=約143枚。

1週間で約143枚の売上数が見込める商品です。

すると、商品を投入した週の、1日の平均売上枚数は、約21枚となります。

在庫数は残り1,000枚ですから。

 

1,000枚÷21枚=約47日

その商品は約47日でなくなる?という数字が出てきます。

しかしながら、実際は新商品ですから、これからさらに売れることが予想され、もっと短い期間でなくなる。この商品を軸に何かしら手を打つ!ということをMDは考えなければなりません。

★在庫がどの時期にどのくらい必要なの?というストーリー設計が大事

また、売上構成が在庫構成が上回れば、在庫が足りない?というわけではありません。

例えば、7月に半袖のシャツがそのような状態になっていれば、寧ろこれはOKだろう!という見方をするべきです。

そのことを見極めるには、事前の準備。MD予算設計をしっかりとしておく必要があります。

 

予算設計の際には、商品の品種を顧客の動向・心理がわかるようなものにしておく。(これに疑問を感じない人がこの業界には多い)

そして、どの時期に在庫をマックスに積み上げて、その後商品をどう無くしていくのか?その、ストーリーを事前にしっかり!計画するということが重要です。

 

前出の売上構成比・在庫構成比で言えば、半袖シャツは5月末に在庫構成比は売上構成比を大幅に上回る。そして、6月末には、在庫金額はマックスだけど、売上構成比と在庫構成比はイコールになるようにしておく。

そして、7月に一番高い売上がある!

但し、この辺りから在庫の金額を少なくしていくということを、事前に設計し、店頭の状態と併せて把握しておけ!ということになります。

 

このご時世。南さんがおしゃられているように、在庫金額を増やしただけでは売上は伸びません。

だからこそ、まずは店頭に常に足を運んで顧客の心理の変化を観察し読む。
そして、以外にも顧客の心理が読める商品分析コードやその見方。そして、測定可能なものとして、事前の準備をしっかりしておく。

在庫の金額だけでなく、質を見極め、顧客に喜ばれる商品の品揃えをするには、そのようなことが必要ではないでしょうか。

MSMD & Co.,Ltd
MSMD & Co.,Ltd Twitter
弊社への問い合わせ・仕事依頼はこちら

この記事をシェアする

RANKING POST

1

2020.07.07

大量生産と過剰供給は別物
2

2021.10.29

YouTubeは稼げるのか?!YouTube登録者1,000人のリアルな収益を発表
3

2020.04.27

EC・通販専業ブランドも標準店舗の概念が必要なのでは?

NEW POST

2024.12.10

秋冬在庫をチャンスに変える!OTB活用術

2024.12.05

TSI HD・しまむらEC売上推移(25年2月期上期)

2024.12.04

Meta広告でブランドが効率よく認知獲得する方法

2024.12.03

MD視点で読む決算資料~ユナイテッドアローズ編2~

2024.11.28

WEB広告で効果が下がっている際のチェックポイント

CONTACT US

小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

TRADINGPERFORMANCE

取引実績