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この業界では、よく店頭から
”在庫があれば、もっと売れたのに!”
ということ声がよくあります。
そのことを鵜呑みにしたMDは、急遽メーカー等仕入先を回り、商品を発注して在庫を増やしたことに満足し、
”(俺は)店頭の期待に応え在庫を増やしたぞ!!”
と勘違いするMDがチラホラといます。
ですが、友人の南充浩さんもブログで指摘しているように、
ただ、やみくも在庫を増やしても、売上は伸びずに在庫が増えるだけです。
MDには、冒頭の店頭の言葉をもっと深く考える必要があります。店頭の言葉を正しく通訳?すると?店頭はこう言っている筈です。
”もっと売れる商品の在庫があれば、売れたのに!”
これが真実です。
このことを深く考えず、上記のように緊急に仕入をしても、昨今メーカーは商品の在庫を殆ど抱えることはないですし、在庫があったとしても、そもそもフォローが少ない売れない商品と考えた方が妥当です。
冒頭に登場したMDのように
”在庫を増やしたから、お前ら売れよ!”的なMDは、この業界から追放すべきです。
このような状態にならないためには、MDとして在庫の量ではなく、質を見極める作業が求められます。
在庫の質を見極めるには、常に顧客に近い位置にいる店頭に足を運ぶや、顧客ターゲットなるような人を常に観察すれば良いことです。
ですが、展開店舗の多さや、業務量の多さ?(ホントに多いの?)から、店頭に常に足を運ぶのが難しいとするならば、意外のことで在庫の質を見極める努力をすべきでしょう。
私は常々このブログでも言っているように、MDとして”気づく”能力が大事だと訴えてきました。
そして、気づくスピードが速ければ、場合によっては追加商品が功を奏することがあります。気づくスピードを上げるには、店頭に足を運ぶことを怠らないことが一番大事ではありますが。。。そのこともままならない方も、多くいらっしゃることでしょう。では、どのようにして在庫の質を見極めるべきなのか?を、以下簡単なことだけ述べていきます。
例えば、新規商品の店頭入荷日の売上だけ見て、その商品が特別であるかどうか?を判断するには、売上構成比と在庫構成比をバランスを見ることも大事です。
例えば、ある組織の新商品が木曜日に10枚売れた。その商品の販売期間は3か月。在庫はまだ1,000枚あるから安心。更に在庫消化日数で言えば。
1,000枚÷10枚(1日の売上)=100日(在庫消化日数)
となった場合。
その商品の1日の売上構成比が、事業部全体で7%。在庫構成比が5%あるならば、その商品は圧倒的に足りていない可能性があります。
仮に、その事業部の木曜日の曜日売上構成が7%だっとすると?
10枚(売上)÷7%(木曜日の売上構成比)=約143枚。
1週間で約143枚の売上数が見込める商品です。
すると、商品を投入した週の、1日の平均売上枚数は、約21枚となります。
在庫数は残り1,000枚ですから。
1,000枚÷21枚=約47日
その商品は約47日でなくなる?という数字が出てきます。
しかしながら、実際は新商品ですから、これからさらに売れることが予想され、もっと短い期間でなくなる。この商品を軸に何かしら手を打つ!ということをMDは考えなければなりません。
また、売上構成が在庫構成が上回れば、在庫が足りない?というわけではありません。
例えば、7月に半袖のシャツがそのような状態になっていれば、寧ろこれはOKだろう!という見方をするべきです。
そのことを見極めるには、事前の準備。MD予算設計をしっかりとしておく必要があります。
予算設計の際には、商品の品種を顧客の動向・心理がわかるようなものにしておく。(これに疑問を感じない人がこの業界には多い)
そして、どの時期に在庫をマックスに積み上げて、その後商品をどう無くしていくのか?その、ストーリーを事前にしっかり!計画するということが重要です。
前出の売上構成比・在庫構成比で言えば、半袖シャツは5月末に在庫構成比は売上構成比を大幅に上回る。そして、6月末には、在庫金額はマックスだけど、売上構成比と在庫構成比はイコールになるようにしておく。
そして、7月に一番高い売上がある!
但し、この辺りから在庫の金額を少なくしていくということを、事前に設計し、店頭の状態と併せて把握しておけ!ということになります。
このご時世。南さんがおしゃられているように、在庫金額を増やしただけでは売上は伸びません。
だからこそ、まずは店頭に常に足を運んで顧客の心理の変化を観察し読む。
そして、以外にも顧客の心理が読める商品分析コードやその見方。そして、測定可能なものとして、事前の準備をしっかりしておく。
在庫の金額だけでなく、質を見極め、顧客に喜ばれる商品の品揃えをするには、そのようなことが必要ではないでしょうか。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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