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昨今、この業界の在庫問題がなんだかんだと騒ぎ立てる人がいますが、まあそういう騒ぎ屋はおいといて、今回は在庫の溜まる要因ともなりうる、MDの予算設計の話を簡単にしたいと思います。
マーチャンダイザーにとっての一番重要な仕事と言えば、もちろん”売れる商品”を開発・仕入。そして品揃えすることですが。。。
MDは”商品計画””品揃え政策”というくらいですから、当然のことながら、そのことを予算設計することが、上記以外の仕事で最重要な仕事と言ってよいくらいのことになります。
在庫が残る要因は、様々な問題がありますが、この業界のMD予算設計が稚拙すぎる!というのも一つの要因です。
予算が根拠に基づいていない”根性論”売上予算だったり、売上予算はあるけど、粗利や仕入。そして在庫の予算がなかったり、仕入予算の根拠が”意味不明”だったり。と。この業界におけるMD予算設計は、かなり稚拙な部分が多いと。皆さんも薄々は気づいていることでしょう。
また、予算があっても全く仕入予算を守らないオーナーがいる!などもこの業界あるあるです。
マーチャンダイザーにとってのMD予算設計は、その組織。ブランド・ショップの、次の期における”意志”であり”仮説”です。
そしてそのことが、羅針盤・計器として機能することによって、期中における、売上に対しての粗利・仕入・在庫コントロールが精度の高いものとなります。
MD予算設計の考え方・作り方は組織によって当然違って当たり前のことです。
例えば、”ワンプライスで絶対にセールしない”なんていうブランド・ショップは予算設計に多くの時間をかける必要などありません。
しかしながら、この業界で多くみられる問題は、今。自分たちの組織で行っているMDに関する予算設計や管理等の手段に疑問や疑いを全く感じていない!ということであり、寧ろ自信さえもってしまっているところです。
例えば、世間でいうセレクトショップは、MD予算設計が本来複雑になります。(感性を自負するセレクトショップほどザル勘定多いが!)
なぜならば、品揃えそのものが多い上に仕入取引先が多く、商品によって全く仕入原価率(値入率)が全く違うからです。
そんなセレクトショップでMD予算設計をする場合。予算設計の順序が問題になります。以下簡単な例を挙げると。
今回は敢えて売上だけを端折って例とさせて頂きましたが、皆さんならどちらを選択しますか?はっきりと申しますと正解はありません。
しかしながら①を選択した場合。メーカーありきで予算が組まれるので、必要性が希薄になってしまったメーカーやトレンドと合わないメーカーにも予算がついてしまい、仕入しなければならない!という事態になります。結果、売れず在庫が残るという可能性も高まります。
②の場合のカテゴリー別売上予算を策定の場合は、今年のトレンド。また顧客の気分・傾向の仮説を数字として表現しなければなりません。
すると、小売業の本質・目的と近いところで、自分たちの組織の”意志””仮説”である予算に顧客の心理が反映させやすいということではないでしょうか?
しかしながら、”弊社は①の方法で今まで売れてきたので、予算設計など見直すつもりは1ミリもない!!”といった自分たちの組織の手段に”疑問”を微塵にも感じない姿勢は、更なる業績悪化を招くだけです。
また、違うケースで言うと、MDの予算設計の一つで、この業界でよく言われる”たこ焼きMD”なるものがあります。このことを開発?した某大手アパレル小売りは、論理的なMDの仕組みを構築した先駆者です。
(簡単に言えば、月・週別のアイテム・SKU設計。投入計画)
しかしながら、現状は、この”たこ焼きMD”の手段の部分だけが先行し、その”たこ焼きの鋳型”に商品を放り込むことが仕事の主となるディレクター・バイヤーが増産され、商品は陳腐化し、顧客からそっぽをむかれる現状に陥っています。
これはMDの職務の分業化が招いている現象でもありますが。。
(職務の分業自体は悪いことではない。)
たこ焼きの鋳型→要はアイテム・SKU設計が、MD予算設計の川上から、どのような順序を経て決まったのか?という意味を、ディレクター・バイヤーに伝えなければならないですし、それは仕事の手段であって目的ではない!と教えるべきです。
また、ディレクター・バイヤーは”数字は私の仕事じゃない~!!”などのアホ丸出しの姿勢をみせる連中は即刻その職務を辞するべきです。
”たこ焼きMD”の構造や仕組みさえ理解出来ておけば、状況に応じて、そのことを無視・超越し、1型金太郎飴勝負!みたいなこともできるのです。
これも手段でしかないものにまるで疑問を感じず、永遠に同じことを繰り返し、気づけば業績が悪化したという一つの例です。
(しかも未だに手段でしかないものを目的にように啓蒙活動する連中がいる。)
先述したようにMD予算設計はマーチャンダイザーにとって最重要の仕事の一つです。
まずはMDの目的。予算設計に目的を理解する。MD数値基礎さえ、しっかりしておけば、その手段は無限にあります。
だからこそ、今一度自分たちの組織のMDにおける予算の作り方というところを一度疑い・見直し、そのことが顧客に求められるものと乖離しているようであれば、手段でしかないものは、すぐに変えればいいだけのことです。
しかし、何故そのことがすぐに実践できないのか?それは
小売業の目的を見据え、現状の手段・手法に”疑問に感じる””疑う”姿勢を持ち得ていないのが、アパレル小売業界だからなのでしょう。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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