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昨今、このアパレル業界は厳しい状況にあるといわれています。日々流れてくるニュースを読んでいても、あまりいいニュースは流れてきません。
以前の記事にも書いたように、この状況を「どう捉える」かで、今後その企業・組織がもつ可能性・伸びしろは決まってくるでしょう。
(私はこの状況をむしろ正常と捉えた方が、可能性は広がってくると感じています。)
とはいっても、現在の経済状況。日本の人口減少時代におけるこの業界の現状を考えると、今後アパレル・ファッション小売業の淘汰は避けられないことです。
その中で今後、更に企業による、企業の買収。M&Aの増加がしていくのは間違いないでしょう。
一言に「M&A」と言いましても、決して悪いことではなく、資本主義社会ではごく普通のことで、M&Aによって相乗効果にとり、業績を上げた企業はごまんとあります。
また、買われる企業にとっても、オーナーの判断の遅れで、倒産するのならば、買収によって、今まで知り得なかった知識・手法を吸収することで業績が回復すれば、既存の社員にとっても良いこと方が多いでしょう。
しかしながら、この業界のM&A事情を振り返ってみると、相乗効果を上げた例は極めて少ないと言わざるえません。一体、それはなぜなのでしょうか?
この業界のM&Aを見ていると、正直に言って「何を目的にしているのか。」極めて不透明な面があります。
安易に「隣の芝生は青く見える」的な発想で、M&Aしているケースが多いように思えてなりません。
アパレル企業をM&Aする際の特徴を、独断と偏見で分類してみるとこんな感じではないでしょうか。
・華やかに見える。→自分たちにない客層(マーケット)を持っている。
・売上・粗利益率だけ見ると、効率がよく見える。→1品単価・客単価が高い。
・ネームバリュー→宣伝・販促効果
等、どちらかというと「見た目」「名前」だけみて判断しているケースがほとんどではないでしょうか。
要はしっかりとしたデューデリジェンスができていない!ということです。
”デューデリジェンスとは?
→M&A等の取引に際して行われる、対象企業や不動産・禁輸商品などの資産の調査活動。要は、その買収対象企業の調査をすること。”
この業界、とくに小売り側は、一見同じような仕組みに見えて、かなり会社によって手法・手段が大幅に違うケースが多くあります。
例えば、粗利益率の高さだけに興味を示し、もう一方の目。粗利益率が高いということは売上原価が低い。
→もしかして商品の消化が悪く、在庫が多いかもしれない?等、M&Aする際に、「複眼」で物事を判断せず「見た目」だけで判断すると、あとで高い「のれん代」を支払わなければいけなくなるだけです。
そうはいっても、この業界。様々な問題はあるが、それ以上の“強み”があり、真摯に商売している企業もたくさんあります。
そういうケースも想定し、その組織の“強み”にまず目を向け、その“強み”を消さない「改善計画」を具体的に策定する。
そして、人材は残したうえで、相手先の短所である、独自ルール。特に在庫コントロールや、人的仕組みの弱さ。労務環境他を時間をかけて改善を具体的に実践する心構えがなければ、M&Aしたところで、元々そこにいた社員も、買った企業側も誰も得しません。
得するのは、企業を売って現金を手にした、創業者だけです。
今後は、このような「誰も得しない」M&Aではなく、長いスパンで考えお互いにとって「ウィンウィン」になることのできるM&Aを期待したいものです。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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