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先日、繊研新聞さんの記事で以下のような記事を見つけました。
”ライトオン 夏・秋苦戦でMD修正 季節対応、トレンド品強化”
https://senken.co.jp/posts/righton-191121
ライトオンは、このシーズン突出して業績が低下していますから、MDを改革するという姿勢は、別段疑問は感じませんが、ただこの記事の中で、気になる文言がありました。
”シーズンMDを細分化し、季節対応を強めるほか、手頃な価格帯の商品を再拡充する。トレンド対応や雑貨も強化する。”
この文言です。
シーズンMDを細分化し、季節対応を高める!というのは、一見響きが良いように聞こえますが、このことで、ライトオンの業績が復活するのか?というと、私はそのようには思いませんし、寧ろ更に、迷走するのでは?と睨んでいます。
以前、私は以下のような記事を書きました。
この記事では、シーズン区分とMDにおける予算設計をくっつけて説明しています。
例えば、梅春・春・盛夏・晩夏・初秋・秋・冬。このように、シーズン区分しシーズンMDを設計すると、単純に考えても。。。
365÷7(シーズンMD)=約52日。52日で商品の販売期間を終了し、新しいシーズンMDの商品と入れ替えるということになります。
まあ、ライトオンで言えば、厳密には年間置いてある商品もあるでしょうし、すべての商品の販売期間を短くするわけではないとは思いますので、52日で商品を入れ替える!ということにはなりませんが。。。
また、前述しているシーズン区分がただの商品コードして存在し、実際のMDの販売期間に影響を与えていない組織も多く存在します。
そのような季節商品コードの定義が明確に存在をしないままに、多くの季節コードが存在する組織は、過去データを調べてもデータの信憑性が低いばかりか、コードが多いことに乗じて、投入商品アイテム数も増加し、店頭で出しきれない商品が多く存在し、在庫が増えていく組織も、この業界には、多く存在すると考えていいでしょう。
また、ライトオンの例で言うと、前述したように、1年中販売する商品等の販売期間を長くとることができるベーシック商品が多く陳列されていると推測されるので、販売期間の短い商品を多く投入する場合、きめの細かいMD設計を行わないと、ただただ現場が混乱するだけで、思惑通りにはいかない筈です。
要は、シーズンMDを短くするメリット・デメリットを事前によく考えなければ、寧ろ現状よりも悪い結果に終わることも多くある!ということを、認識しておかなければならない!ということです。
また、シーズンMDを短く考える!ということは、多くの商品を海外生産に移行している現状では、商品の追加発注する!という行為は不可能になりますから、(商品の販売期間を延長しても大丈夫な商品ならいいが。。。)商品発注の精度が高くないと、売上の低下を招きます。
更に言えば、商品企画の増加等の仕事の負担が増えます。
現状の組織構造を顧みないまま、改革を行っても、1人1人の作業量が増加するだけで、商品そのものの出来に悪影響を与える恐れもあります。
大事なのは、自分たちのブランドコンセプトをまずはしっかりと再確認すること。そして、自分たちの持ち駒である、仕入方法のことを良く理解しておくこと。(LT・値入率・メーカーのざいこあるなし等)
そして、何よりも現場に足を運び、現状の自分たちの何が顧客に支持を得られていない!のかを深く考え、その考えを組織として共有すること。
このことを再確認しないまま、安直な反省に基づく。。。
ということだけでは、そのMD改革は永遠に成功をすることはないでしょう。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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