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先日、あるファッションメディアの記事を読んでいると、在庫回転率の数式を以下のように記載している識者がいました。
それは。。。
”在庫回転は期初/期末在庫の平均を原価率で除して売価還元し、期間売り上げを割って算出する。“
このこと自体は、基本的に間違い?なわけではないのですが。。。
改めて、在庫回転率の数式を以下に簡単に記載すると。
”在庫回転率=(期間)売上÷(期間)平均在庫”
となります。
この数式であてはめれば、先ほどの識者の場合は、売上は売価(セールで売ったものを含む)。平均在庫は、この識者がいう原価率は、仕入原価率のことを指しているのでしょうから、この計算をすると元売価在庫の平均。ということになります。
因みに、在庫回転率の算出をする場合。上記の基礎式に点数をあてはめるのが、一番実態の近い数字が出てきます。
何故ならば、売上点数・在庫点数というものは、誤魔化しようのない事実だから!ということになります。
一般的には、在庫回転率の計算は、点数の次に誤魔化しようのない、売上原価・在庫原価(評価減のルールを採用すれば、原価も変えられるが。。。)で計算することがベターです。売価計算する場合は、
”私。セールしないので”
という組織であれば、それで構いませんが、この業界の多くの組織が、常にセールをしているのですから、その売変分を加味すると、上記の識者の言う、在庫回転率の算出の方法では、実態と大きくかけ離れた数字が出てくる可能性が高い!ということは、おわかりいただけるでしょう。
(このようなことを深く考えずに掲載するファッションメディアの姿勢は、如何なものなのでしょう。そもそも、仕入原価率を公開している組織など少ない上に、上記のような計算をするのであれば、原価率ではなく、売上原価率で除してと記載すべき。)
また、平均在庫の算出方法についても、世間では当たり前のように、
平均在庫=(期首在庫+期末在庫)÷2
ということが言われていますが、これもあくまで平均在庫を算出する、ベターな手段であって、絶対ではない!ということも理解しておかなければなりません。
このように、多くのアパレル・ファッション小売業では、敢えてややこしい数字管理を用いたり、その指標の本質。そして使用する目的を、末端までに教育しないまま業務を行っているところが多く存在します。
このようなややこしい数字管理の指標や、その指標を使用する目的を教えないままに業務を行っている組織の現場では,パワハラを産み出す可能性が高まります。
これは、何故かというと、辻褄の合わない指標や数字の実態が大きくかけ離れるような数字管理の方法をとっていると。。。
例え現場(店頭)から、
”今の本部の施策は間違っている!”
という声が上がっても、そのことを現場側が、根拠を持って証明できる可能性が少ないため、結果的に上層部に齟齬にされ、上層部の都合の良い解釈での数字を利用され、マウンティングされるからです。
そのことが行き過ぎれば、その組織全体にパワハラが横行します。
そのような組織に、今後若い人材が集まることはないでしょう。
企業の数字に関するルールは、基本会計学に基づくべきです。そして、そのことを若い人材に教育する!このことが重要です。
このことが理解できず、未だにややこしい数字指標を用いたり、数字管理がいい加減、都合の良い解釈が横行する組織の未来は、暗いといって間違いないでしょう。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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