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簡単にはアウター依存からの脱却はできない?

★暑い冬?

例のごとく今年も暖冬です。まだ、詳細は不明ですが、ここ10数年でも一番の暖冬の可能性が高い筈です。

そして、ここ数年よく言われるのが、

アパレル・ファッション小売業の”アウター依存からの脱却!””アウターの売上構成比を低めろ!”という声です。

昨年の12月。レディース・メンズ・高価格帯。低価格帯の様々なショップを巡りましたが、どこのショップも充実しすぎたアウターの品揃えになっていましたし、11月くらいからアウターのレジにて何%OFFという施策も多くのショップで見られました。

このことからも、この業界の”アウター依存からの脱却!”という声は正しいように感じます。

 

★アウターの売上構成比を低く見積もれば、状況は打破できるの?

現状、この業界の多くの組織が、冬の時期に高いアウター売上構成比を誇っていますが、多くの識者が言うように、そんな簡単にアウターの売上構成比を下げれば、状況が変わるのか?

と言えば、私はそうは思いません。

何故ならば?薄手のアウターを多くしたところで、売上が伸びる!とは限りません。また、軽衣料の構成比を増やしたところで、客単価が下がるばかりか?場合によっては、工場・仕入先・取引先などの見直しも必要となってきます。

そのようなことが、この業界の多くの組織が簡単にできるのか?と言えば、そうではありませんし、気温変動による安易なMDの見直しは、多くのリスクを伴う!ということも考慮に入れなければなりません。

 

★この状況を打破する方法はあるのか?

では、このような状況の中。今後、どのような施策を取れば良いのか?ということを私の独断と偏見で考察してみます。

私は、このような状況を少しでも多くの組織が打破するためには、以下のようなことが必要となってきます。
それは。。。

① アウターの品揃えの質を上げる。
② MD予算を設計・管理の精度をより上げる。

他にも、すべきことはあるとは思いますが、この2つです。

まずは①です。

昨年の12月。多くの店を見て感じたことは、アウターを売ろうとしすぎて品揃えが拡がっているな!と感じたことでした。

簡単に言えば、ショップのキャパシティーに対して、投入商品アイテム数が拡がりすぎている!ということです。
常々、このブログでも申し上げていることですが、一つのヒット商品がそのショップの局面を打開する!ということが、小売業では良く起こります。

しかしながら、そのような商品を開発・仕入するのは、運だけでなく多大な努力が必要となってきます。

必要以上の商品数を品揃えする!ということは、一つの商品に対しての開発・顧客を見据え考える時間が減少する!ということです。

このことが、”隣の芝生は青く見える”的な発想に繋がります。そのような商品が増えれば、本来”顧客が欲しい!”商品も、店頭で埋もれがちになります。

そのことで売上が下がるくらいならば、思いっきって投入商品を減らし、MD・バイヤーが一つの商品にかける時間を増やすことが、アウターの品揃えの”質”を上げることに繋がるのではないでしょうか?

次に②です。

これは現在。私が繊研新聞社さんで連載している

算数で極める達人MDへの道《第2講》

でMD予算設計の話を書いています。

この予算設計・管理の精度を上げる!ということも重要なことです。

上記に書いたような、投入アイテム数を減らす!という行為は、MD・バイヤーにとっては怖いことであるのは確かです。

しかしながら、このことがしっかりと数字で理解できておけば、売れそうな商品。実験的に売る商品の数量を把握することができます。

また、単純な話をすれば、商品アイテム数を増やせば、売れ筋商品はすぐになくなり、売れ残り商品が店に多く残り、店頭の見え方も、顧客から見ればどうなるのか?ということは、容易に想像がつく筈です。
(多くの店が、アウターの売上構成比以上の売り場の品揃え構成比に見える!のは、このことが要因?)

また、この業界の多くの組織。特にレディースは、10月くらいからアウターの売上構成比が上がり、11月には20%を超える(ショップによっては30%超える)組織が多くあります。

そして、女性と男性の体感は、全く違ったものでもあります。そのようなことを、しっかり可視化・分析し、同じ売上構成比をとるにも、品揃え内容をどのように変化させるのか?ということを具体的に記し、MDに反映させなければなりません。

実際、アウター依存の売上構成を変える!という割には、この業界の多くの組織が、MD予算設計の精度。そして、期中での運用・実践が未熟なのも事実です。

”アウター依存からの脱却!”と声にするのは簡単ですが、まずは、自分たちのブランド・ショップコンセプトを踏まえる。そして、自分たちでできることを深く考えた上で、今後の気候変動に対応したMDを構築していく、このブログがそのきっかになれれば、幸いです。

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