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今回は前回のブログの後編になります。前回のブログは下記よりご確認ください。
前回。問題提起した点は下記の点でした。
ということでした。
しかも、その20億という在庫原価金額の水準は、年間売上200億。粗利率50%。年間在庫回転率5(在庫回転日数約73日)という組織が必要な在庫水準です。
しかしながら、この事実だけを見ても、おそらく信者たちは反論することでしょう。以下反論が来そうなことを記述すると。
① PB商品用の資材分だろ!
② 買取事業・ZOZOUSEDの在庫が単純に増加しただけだろ!
ざっくり考えてこのことだと推測されます。以下その推測される反論にお答えします。
①の疑問に関してですが、2017年期末から2018年期末にかけて在庫が約10億円。2018年期末から2019年期第2Qまでの間で約10億円在庫が増えています。
しかしながら、前回のブログで指摘した通り、これは棚卸資産の増加でなく、商品の増加分です。
事実、決算書の営業キャッシュフローの棚卸資産の増減を調べると、2018年期末から2019年期第2Qまででは、約14億の棚卸資産が増加しています。商品との差異は約4億円です。
ということは?この差異分が、オーダースーツ等の資材金等に当たると考えた方が自然です。
また、2018年期末まで数千万円程度でしか推移してなかった買掛金が、今期に入ってから突如約16億円に増加しています。
買掛金とは一般的には仕入金額の未払い分になります。
この半期で16億増加ということは?商売の特性を考えても、ZOZOUSEDの買掛金の急な増加はありえませんから、この金額はPB関連の資材を含めた仕入未払金というのは明白です。
(また、仕入先に対しての入金条件が異常に厳しいのでは?とも推測できる。)
②の疑問に関してです。
2018年期の在庫増加の要因はZOZOUSED等買取事業のみの在庫増加であると考えられます。
(買掛金の異常な増加も2019年期からなので、これは間違いない。)
理由としては、2018年期は、粗利率が過去数年よりも高いことから、仕入金額に見合ったセール施策が出来ておらず、在庫が倍増したと考えるのが妥当です。現に、2018年期の推計在庫回転日数は約86日。売上原価÷仕入原価→消化率は約89%です。
(2016年期も同様の理由で在庫が倍増している。推計在庫回転日数91日。上記の消化率で87%)
そして、2019年期からの在庫増加は、PBと思しき商品の在庫増の可能性が高いと言えます。
確かにZOZOUSEDの売上も増えています。
(2018年期前年比約123%。2019年期第2Qまで前年比約116%)
但し、2018年期は前述したように、買取関連事業は在庫が倍ほどに膨れ上がってしまいました。
ということは💡今年は在庫を減らしにかかる年になります。仕入も抑制気味になるでしょう。
事実第2Qまでは、売上原価が上がり昨年の同時期より7~10%ほど粗利率が下がっています。結果、商品を安くして売上点数が大きく増える分、在庫は増えにくくなります。
しかし、2019年期は僅か半年で在庫が約10億増えています。
仮に2017年期の高めの在庫回転(この年も粗利率が低く、期での推計在庫回転日数72日。売上原価÷仕入原価→消化率が100%)を2019年の買取関連事業の在庫算出に使用すると、以下の表の在庫金額になります。
すると、PBと思しき在庫原価金額は、第2Q時点で9億円以上という金額になります。
この金額が正解かはわかりませんが、2019年期の買掛金約16億は上記でも触れたように、ほぼPB関連の仕入未払金と考えられるので、PB関連の在庫が存在することは最早隠し難い事実でしょう。
これまで、2回に渡って決算書からみる分析をMD的な視点で試みてきました。その結論は?
”この商品の在庫金額増加は、ZOZOUSED等の在庫金額増加を加味しても、PB(ジーンズ・Tシャツ等)のオーダーではない既製品の在庫と捉える方が自然ではないか。”
という結論に達します。
その理由としては
・ZOZOスーツで測定し、ジーンズやTシャツを注文すれば、2・3日で商品が届くという証言を多々得ているということ。
・渋谷で”ジーンズの無料お試しクーポンの配布”がSNSに話題になったが、”在庫が多く残っている!”と仮定すると、その施策は合点がいくこと。
・今期に入ってからの買掛金の異常な増加。
・前期、在庫が倍増したZOZOUSEDの在庫は、必ず減らしにかかる。最低でも増えないように意識する。現に今期は売上原価が上昇し粗利率が下がっているということ。
・前澤社長はZOZOスーツは“広告宣伝費”で計上すると、過去に発言していて、在庫計上している可能性が限りなく低いこと。
以上の理由から上記の結論に達します。
このことから、現在アプリで運用されている企業秘密の新技術いうのは、まだ完成などしておらず、
”サイズ展開・在庫が豊富にあるから、身長・体重・性別等入力するだけで体型にあった既製品がすぐに届く!”
と考えるのが一番自然です。
(だからオーダースーツ等は運用出来ていない)
事実。ある工場関係者によると”ZOZOのジーンズは800SKUある既製品”との証言もあります。
最後に、仮に私の推測が当たっているとして、PB(ジーンズ・Tシャツ等)1点辺りの商品原価を1,500円だと仮定すると??
”約9.4億÷1,500円=約63万点”
もの商品が倉庫に眠っていると推測されます。
もしも、このことが事実なのであれば、
ZOZOスーツは在庫問題を改善するためのものではなく、寧ろ”新たな在庫問題”を引き起こすだけのものでしかなかった!”
と言えるのではないしょうか??
決算書を分析する限り、私の目にはそう見えます。
このことで、“いやそれは違う!”“ZOZOのPBに商品在庫なんてない!”“社長を信じている!”
と言われる信者も、まだまだ多々おられると思います。
だとすれば、そのような信者。また株主・顧客の為にも、得意の企業秘密などとの発言を連発せず、上場企業として、透明性のある情報を開示すれば良いだけの話ではないでしょうか?
(11月12日。追記)
ZOZOがパターンオーダーだと明言しているものは、大量のSKUの作り置きがある既製品だということが判明しました。自ら認めています。(笑)
今後のエベレストほど高い、PBの売上目標を考えれば、更に仕入を増やさざる得ず、在庫の増大が懸念されます。
このことで資金繰りの悪化。多大な評価損の計上などでの損益悪化も懸念され、見た目の派手さとは違い、今後会社組織の危機に陥る可能性も高いと言えるでしょう。
繊研新聞社主催で12月14日。(株)stylepicks代表深地雅也さんと弊社代表マサ佐藤で「ECにおける在庫問題を解決する5つの手法」というタイトルで、トークショー開催します。ご興味のある方は是非ご参加ください🙇♂️https://senken.co.jp/posts/inventoryinecbusiness-seminar?fbclid=IwAR1hPgrGB9Bn1QKNDEBGjVfMTYBi2FkF3hIEf5drr121RKC0BfaZUh7Ymy4
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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