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前回はコンセプトがEC運用においていかに重要なのか?をお伝えしましたが、今回はその下の階層である「シーズン」についてお話したいと思います。これも他業界からは意外と認識されておらず、
「今更、SS/AWとかまだ言っちゃってんの?古すぎるyo!!」
などとイキった言説を見かける度にストロングゼロを2本程度飲んだ次の日のような重苦しい気分になっているのは私です。
アパレルに勤務している人たちからしたら当たり前の「シーズン」という言葉。わかりやすいのは先述しました年間を2分割にしている「春夏(Spring/Summer)」と「秋冬(Autumn/Winter)」という分け方ですね。アパレルブランドの全てがこの分け方にしている訳ではなく、中には年間を4分割や8分割にしているブランドも散見されます。ひどい場合は「52週MD」といって毎週MDを変えるといったものまでありまして、元ワー○ドの方が必殺の呪文のように提唱しています。あまり意味の無いスキームなので提唱し過ぎると、このWebサイトの主である佐藤マサさんに小一時間はお説教される事請け合いでしょう。
話が逸れてしまいましたが、問題は区分の期間ではなく、ブランドによって分け方が違うのでEC運用の際にもこの区分によってアジャストしなければならないという事です。1シーズン1回は顧客にお買い物して欲しい場合、年間リピート率の目標設定やメルマガ配信の頻度も変わってきますからね。
アパレルECの代表的なサイトコンテンツの1つに「コレクションルック」ページがあります。過去からブランドビジネスをやってきた既存アパレル企業は、特に意識せず「当然必要でしょ」くらいの気持ちで作っているかと思いますが、たまにオンライン専業や卸主体でやってきた企業さんは重要視していない場合があり、サイト制作の際に「必要でしょうか?」と言われる事もあります。(なんだったらコンセプトページすら用意せずバナー一枚で済ませる場合も…。)しかしよく考えてみてください、ユーザーからするとECサイトで商品の購入を検討する場合、当然コーディネートはどうしたらいいか?は見ておきたいものです。店頭なら販売員さんもいるし、VPやマネキンのコーデ見て参考にもできます。しかしECの場合はそんな簡単にコーデ提案はできませんので、販売員スナップやシーズンルックはコーデを確認するのに非常に重要なコンテンツの一つなのです。
また、シーズンルックはそのMD区分の世界観を現す大切なピースなので、背景含めたスタイリングも重要です。シーズンが始まる前にちゃんと計画しておき、Instagramでの運用含めて見え方はイメージしておかなければなりません。何ならストーリーズで投稿→ハイライトで残しておき、Instagramユーザーにも訴求しながらECサイトへ誘導しておく必要もあります。
あと、たまにやっていないブランドがあるのですが、シーズンルックページにはちゃんと商品名と価格の記載、そして商品詳細ページへのリンクも貼っておきましょう。ブランドロイヤリティが高くなるにつれてシーズンルックのPVは伸びますし、そこからの買い上げ率は上がってきます。
このように、区分によってEC運用の計画が変わるだけでなく、シーズンルックが購買に強い影響を与えるケースもあるのです。これもMDへの理解が乏しいと失敗してしまう要因の一つでしょう。既存アパレルの従事者は当然のように扱っているコンテンツなのですが、それだけ長い間扱われてきているものというのは何かしらの効果があるという事です。業界外の方々におかれましては「古過ぎる」とバカにせず、何故それが今も残っているのかに注目して、その重要性を改めて理解してもらえればと思います。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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