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普段からソーシャルを閲覧しファッション業界の動向をチェックしている筆者ですが、今だに「D2C」というワードが飛び交うのを毎日見ております。数年前から出てきているはずなのに、皆さん飽きもせずこのワードに飛びつく始末。(お前もやん)
D2C支援を名乗るサービスも乱立し出し、何が正しい情報なのかも錯綜しています。一番簡単なのは成功している人に聞きにいく事なんですが、どのブランドが成功しているかなんて外側からだとちょっとわからなかったりしますね。その結果、赤字垂れ流している企業が発信している情報を鵜呑みにし「勉強になります!」と感想をつぶやいている人たちを見る度にゾッとしているので、良かったら皆さん「企業名 決算公告」で一度検索してみましょう。筆者と同様、ゾッとする事請け合いです。
筆者の周りには小規模ながらD2C(と呼んでいいかわかりませんが)で上手くやっている人が比較的多いので、先日も上記のような記事を書きました。前回は「展開」についての内容でしたので、本日は「発注」について書いてみたいと思います。
数年前からソーシャルの反応を見て発注数を決める、といったやり方を始めたアパレル企業がちらほら散見されました。その際の指標になるのがInstagramのライク数や保存数でしょうか。サンプルをいくつか投稿しておき、そのエンゲージメントを見ながら発注数を決めるといった手法ですね。
しかし、現在ライク数が非表示になっている事もあり、この手法が使いにくくなっています。もちろん、それ以外にソーシャルでの反応は見れるものの、これだけを頼りに発注数を決めるのは難しいところもあるようで。では具体的な点数はどう決めているのでしょうか?
先日も書きましたが、小規模のD2Cブランドは型数の展開を極力絞ります。1週間に3型までが多いですね。こちらの発注数をどうするか?なのですが、初回の販売がテストマーケティングのようになっています。
まずは最初の1型を売ってみる事で自ブランドの実力を確認します。もちろん、商品が発売される前から事前にストーリーズ等でサンプルを紹介したりこだわりを伝えたり…。この時点での反応を確認しながら手応えがある商品のみを発注。つまり、反応が薄い場合はドロップする事もあり得るのです。
初回1型を50点積んでおき、これがどのくらいの時間で完売するかどうかが目安です。早い人は10分で完売するのですが、数時間もかかっている場合はこれ以上発注数を増やしたりしません。
ちなみに及第点は3時間で100点が完売。これが出来て初めて年間3000〜5000万円を在庫を残さず運営できるブランドになります。ここでも仮に100点販売して、5時間で完売した場合、次回は50〜70点程度の発注数に抑えるそうです。お客さんにちょっとでも「あのブランド、急がなくても買える」と思われてはいけないのです。これは既存ブランドの流通コントロールと同じ考え方ですね。お客さんの飢餓感を煽る事で「早く買わないと無くなる」という心理状態にさせる。それによってブランドの息が長くなるといった具合ですね。
100点を完売させる力があるかどうかの指標はフォロワー数で判断します。2000フォロワーの5%が100人なので、ブランドアカウントのフォロワー数が2000を超えた時点でテストマーケティングするのが良いようです。これで売り切れないなら、フォロワーのエンゲージメントが低いという事になります。ただ、それ以上フォロワーが増えても1型あたりの在庫は100点が上限です。型数を増やしすぎてもMDの難易度が上がるので、ここから規模拡大していく時が一番ハードルが高いでしょう。
これって既存ブランドに落とし込むと、ソーシャルは顧客管理と販促を司っている訳です。フォロワー数がちょうど顧客名簿だとすると、それで販促打った場合にどの程度売れるのか?は実店舗でも計算している事でしょう。結局、ブランドがダメになる時って自ブランドの実力以上に仕入れを行った場合なので、そう考えるとこの発注方法は非常に合理的ですね。個人店が顔の見える顧客の為に仕入れする際にMDのスキルがそれほど必要無いのと似ています。D2Cは指数関数的に売上が伸びる、なんていう話もありますが、MDも考えずに売上が伸びた先にどんなツケを払わされるかは知っておいた方がいいんじゃないでしょうか。
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株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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