メールマガジンを登録していただくと、セミナー・イベント開催のお知らせやブログの更新通知をお届けします
アパレル業界には、小売りと卸売を両立して行っている組織が多くあります。
商品のミニマムロットや直営店を増やすリスクを考えれば、このような方針は間違いではありません。そして私自身も、そのような組織から仕事を受ける場合があります。
小売りと卸売を両立している組織の特徴を、以下私の独断と偏見で簡単に記すと。
・小売専業でオリジナル商品を展開しているところより発注タイミングが早い
・年2回~6回程度の展示会ベースでのMD設計
・卸売と小売り(直営店)の商品の売れ筋の傾向が異なる
他にもあるとは思いますが、こんなところでしょうか。
このような組織でよく見られる傾向は、
このような組織は、先に卸売の売上が確定しまうわけですから、卸売の売上が良かった場合には、上述したように、自分たちの仕事の成果に対して満足してしまうようになります。言い換えれば、(卸先の)バイヤー・MDに商品を多く受注してもらうこと!が、仕事の目的である!と勘違いするようになります。
そして、この組織の小売り(直営店)の売上が芳しくなかった場合には、店頭・販売の現場を責めるようになり、
と、責任を転嫁するようになります。
しかしながら、卸先のショップコンセプトは、当然のことながら、その組織のブランドコンセプトとは違います。商品をバイイングする際のMD・バイヤーの特徴として。
① 単純にその商品が売れるか売れないか?
② その商品が存在することによって、他の商品と相乗効果を生み、全体の売上が上がるか?
ということを考慮しながらバイイングしている筈です。
ですから、特に②のような理由で、卸先のバイヤーからの受注が多くついたからといって、自社の直営店で売れる!とは限らないのです。
また、昨今。特にセレクトショップの店頭など見ていると、バイヤーがズレた発注をしている!ということは、明白です。例えば、セール時に過度なセールをしているブランドの商品の側で、同じブランドの新商品が多く展開されているという光景を良く見かけます。その程度の目利きしかないバイヤーからの評価を鵜呑みして、自分たちの仕事に満足しては、絶対にダメだ!ということです。
卸売と小売りを両立している組織のMD・バイヤーは、常に卸先で自分たちの商品がどのように売られているのか?ということを、足を使い定点観測し、その商品が顧客に支持されていないような扱いを店頭で受けていた場合は、考え方をすぐに修正しなければなりません。
また、上述したように、商品の発注タイミングがかなり早いわけですから、商品の発注を終えたあとは、卸売の売上に満足するのではなく、直営店が”気持ちよく商品を売ることができる”ように、全力で、直営店のサポート・環境作りをしなければなりません。
卸売の売上とバイヤーからの評価に満足し、”小売りが売れないのは、自分たちの責任ではなく、販売の責任!”と、責任を転嫁するMDや商品企画は、すぐにその職を辞した方が賢明でしょう。
MD・商品企画の仕事の目的は、卸先のバイヤーに満足してもらうことではなく、その先にいる顧客に商品を購入して頂き、更に言えば喜んでもらうことです。そこに、卸売の小売りの違いはありません。
今回のブログが、そのようなMD・商品企画の意識が変わることに繋がれば幸いに思います。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
小売ビジネスに関するMD(品揃え政策)アドバイス・サポートを
ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。