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サステナビリティを掲げるならMDを緻密に設計しましょう

最近、右を見ても左を見てもファッション業界は「サステナビリティ」を唱えがちですね。特にファッションメディアに顕著に見られるのですが、いつも肝心なところが語られていないように感じます。

メディアは良くも悪くも影響力がありますから、業界外の方や新人さんに情報がリーチしてしまうと誤解を招く事も多いかと。という訳で、ここで改めて筆者が大切だと思う事について書いておきたいと思います。

在庫消化の促進

よくサステナビリティの取り組みで挙げられるのが、「環境保全」であり、環境に優しい素材・原料の使用が叫ばれたり、供給過剰からの廃棄を減らすようなお話だったり(リユース・アップサイクル)、という文脈が多いように思います。もちろん、これらの取り組みも非常に大切な事なのですが、ブランドが第一に取り組むべきは「自社の積んだ在庫に責任を持つ」という事でしょう。環境に優しい素材を使おうが、不良在庫が膨れ上がるようならそれは継続的な事業とは言えません。

昨今トレンドとなっている「ECシフト」ですが、闇雲に強化しても不良在庫の温床になるケースもあります。ECは店頭より消化が進みにくい特性があるのですから当然のお話ですね。

ECモールは在庫過多の温床になりやすい?

ECモールは在庫過多の温床になりやすい?

オンライン専業からスタートする「D2Cブランド」こそ、緻密にMDを設計しなければなりませんが、筆者の経験上、そんな事をやっている事業者はごく稀です。コンセプトにサステナビリティを掲げるブランドが増えてきましたが、在庫過多になってしまっては何がサステナビリティなのかわかったものではないですね。多くのブランドが優先的に取り組むべき点を履き違えていると言えるでしょう。

粗利を増やして継続的な事業を作る

オンライン専業ブランドに特に見られるのですが、在庫消化を促進する為に取る施策のほとんどが「広告宣伝」か「値下げ」です。とにかく自店へのトラフィックを上げる。値下げでCVRを上げる、といったところでしょうか。

値下げ自体が悪い訳ではありませんが、自社の粗利を大きく削ってしまうならなら対策すべきでしょう。佐藤マサさんが再三に渡って仰られておりますが、MDを設計する目的の一つは「粗利益の最大化」であり、粗利=付加価値なのです。自社の粗利目標も持たず、余った在庫を闇雲に値下げしていれば粗利は削られ続け、赤字を垂れ流す事になるでしょう。

また、MDと連動しない広告宣伝は効率が悪すぎます。とある商品をプッシュしたところで、その商品の在庫量は担保されているのか?や、どういったスタイルで提案するのか?はしっかりと決められているのか。それらは全て、ブランドコンセプトやシーズンテーマから紐解かれていなければなりません。

D2Cの中には、VCから資金調達しているブランドも中にはあるでしょう。しかし、決算公告を見るととんでもない赤字を垂れ流しているケースもあり、対策を取るところが大きく間違っているのではないかと思うのです。投資家のお金だからそんな使い方をしているのだとしたら、そんな人は事業をやるべきではないし、全く継続的ではないですね。バイアウトありきのブランドに誰が未来を感じるというのでしょう。

 

事業自体を「持続可能」にするのは過去からブランドの根幹であるMD設計でしか無く、サステナビリティを掲げるならこれがメインで語られるべきではないでしょうか。環境保全に関してラグジュアリーの取り組みなどがよく報じられていますが、廃棄前提で生産されている衣料品が多く存在している事についてはバーバリー以降、報道を目にしません。これもMD設計の一つのお話でしょう。(筆者はサステナビリティを推進する人間ではありませんし、廃棄が必要なケースも中にはあると考えていますが)本当に大切な領域には目を向けず、企業のグリーンウォッシングばかりに注目するのはメディアを含め、発信する側が大いに注意すべき問題です。「側」だけ取り繕ったサステナビリティに囚われないよう自戒を込めて。

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