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もう一度言おう!MDには販売員者が一番向いている!

2020年も残すところ僅かになりました。
2020年を振り返ったときに、アパレル小売業界として、過去に例を見ない苦しい年になったのは、間違いありません。特に、今年の4月から5月にかけての緊急事態宣言により、店舗の休業を余儀なくされ、売上を大きく損失しました。そのような状況の中で、デジタル推進が進み、各社ともECの売上を伸ばすことに注力した1年となりました。そのことと同時に、緊急事態宣言による店舗休業の影響から、在庫が増加し粗利を犠牲にして、在庫消化をすることを余儀なくされました。

そのような状況の中で、ここ最近になって、各識者がこぞってマーチャンダイジング(以下MD)の重要性を語り始めています。しかしながら、私はこのことに大きな違和感を感じてなりません。何故ならば、販売等現場の経験がない各識者が、上から目線でMDを語っても、その言葉には、販売員や日々多くのささげ業務を行うEC担当者。敷いては、物流の実務を行う人等の実務者視点が全く欠けていて、空想論にしか感じないからです。

今回の記事は、かつて書いた記事の再構築になります。今後更に重要性を増すであろうMDの仕事は、販売員経験者が一番向いているという記事を、特別記事としてもう一度アップすることにしました。皆様是非ご覧くださいm(__)m

 

★販売員経験者がMDに一番むいている!

ここにきてマーチャンダイジング(以下MD)という仕事が俄かに注目を集めています。

私がこの業界に足を踏み入れた25年前以上とは世間の状況も変わり、特にデジタル系の技術は日進月歩で進み、顧客の商品購入方法も多岐にわたるようになりました。しかしながら、テクノロジーの進化による売る方法の利便性の進歩とは裏腹に、寧ろ商品の品揃え計画のことであるMDの進歩は止まっているような状況なのかもしれません。結果そのことで、コンサルタントからEC担当者。デザイナー生産・パタンナー。果ては、スタイリスト・ブロガー・学生・販売員までが、MDに関することに言及するようになったのでしょう。

私自身は、様々な職種の方々がMDに興味を持ってもらえることは、業界にとっても好ましいことだと思いますし、是非前例のない職種出身者の方がマーチャンダイザー(以下MD)の仕事に従事してほしいとも感じています。

しかしながら、先に結論を述べますとMDの仕事に一番向いているのは。。。

販売員経験者である!ということを断言しておきましょう。

 

★MDの仕事とは?

ここで話を変え、小売業という括りにおいてMDは幅広い業務内容になります。スーパーマーケットのMD。文房具屋のMD。アパレル・ファッション小売業でのMDの仕事内容は大きく違います。

アパレル・ファッション小売業でいうMD。とくに自社で商品を企画・生産しているような組織のMDとなれば、素材・工場・商品ができるまでの工程等の知識が欠かせません。そういう意味で言えば、このようなケースでは生産管理出身のMDの方が、こうした組織ではMDとして力を発揮できる!ということは多々あります。また、ECの売上構成比が上がっている昨今。顧客分析を得意とするEC担当者がMDに就任するということも、時代の流れを考えても今後増えてくるでしょう。

ここで改めて、マーチャンダイジングをウィキペディアで調べると以下のように記載されています。

”お客様の欲求・要求に適う商品を適切な数量・価格・タイミング等で提供すること。”

というように記載されています。

そして、そのことは私が常々このブログでも記載しているように、その仕事の権限で組織の”売上””粗利益”を増減を大きく左右できる仕事です。

 

★求められる能力は、専門的な技術やスーパーマンのような存在感ではない!

そんなMDの仕事ですが、アパレル・ファッション小売業でいうMDの仕事で限って言えば、MD個人の能力だけでどうにもできる仕事ではありません。前述したように、自社商品を展開している組織であれば、デザイナー・生産管理・パタンナー等との相互理解。連携が必要となります。周囲の状況も理解もせず、決断だけ遅いMDなどは害悪でしかありません。

また、販売の現場への丁寧な商品投入計画の説明が求められますし、期中対応に対するPR・店頭への協力要請等。以外にもたくさんの職種の方々に理解・協力を得らなければならない仕事です。

MDという仕事は、決してスーパーマンのような能力が求められる職種ではなく、寧ろ、周囲の職種の方々とのコミュニケーション・マネジメント能力が必要となる職種なのです。

そして、

”売れれば現場(店頭・EC等の実務者)の手柄。売れなければMDの責任”

と覚悟を持たなければ、成り立たない仕事であるという理解すべきですし、自己顕示欲を誇示することや、自分の名声さえ高まれば良い等という人には、MDの仕事は務まりません。

 

★販売員の仕事においてMDに欠かせない能力を考える

ここで改めて、アパレル・ファッション小売業でいう販売員の仕事を記載すると。

・接客
・売り場づくり(VMD)
・在庫管理(ストック整理・店間移動・客注対応他)
・顧客からのクレーム対応(顧客の最前線に立っている)
・日々の掃除(これ大事)

その他も含め、その仕事は多岐にわたります。

前述したMDに求められる能力を考えると、常に顧客と向き合い日々コミュニケーションをとり、その技術を向上させる必要が販売員は、多くの職種の人とうまくコミュニケーションをとることのできる可能性が高まります。また店長職ともなると、スタッフとのコミュニケーション。そして店の業務を円滑に進めるためのマネジメント能力にも磨きがかかります。

更に場合によっては、損益計算等経営に近い仕事も学べます。

また、日々の売り場づくり(VMD)の業務。在庫管理業務に向き合っているということは、現場目線からのMDの強み。弱みを客観的に理解することができます。そして、在庫をデータという視点ではなく、容量を実感することができます。このことはとても大事なことです。(私は販売員時代。ストック整理ばかりしていた(笑)ただ、そのことで現状のMDに対する疑問・問題点を感じることができた。)

そして、クレーム対応というものは、本来責任者が負うべき業務になりますが、お客様は誰が責任者などということはわかりません。ですから、自分のミスではないいわれのないクレームを前線で受けることになります。ですが、モンスタークレーマーはさておき、クレームはお客様が組織の問題を直接指摘してくれる!という貴重な機会です。クレームを言われるのは大変つらいことですが、その経験がMDの仕事に活きる!というのは、言うまでもありません。(ECをしっかり売りたければ、カスタマーサービスを充実させるべきである)

最後に掃除の重要性です。

江戸時代の幼年教育で「灑掃(さいそう)」という教育がありました。これは何かというと、掃除を徹底的に学ばせることです。何故そのようなことを行っていたのかというと、子供が成長し、リーダー・マネージャーになった時に、矢のように降ってくる、大事・難事を整理整頓し、さばいていく力を身につけさせることが目的でした。

これは、商品面・数字面様々な業務が降りかかるMDにとって重要なことです。

これらのことを鑑みても、販売員経験者がMDに一番向いていると言えるのではないでしょうか?

 

★販売経験がなくとも真摯な姿勢があれば、誰でもMDの仕事はできる

これらのことが、”販売員がMDに一番向いている理由!”とするのならば、顧客分析にたけた優秀なEC担当者にも同じことが言える!という声もあがることでしょう。ですが、販売員の仕事の中で一番貴重な経験になるのは、顧客から直接お金を頂戴する場にいる!ということです。

私の仕事はお金のやり取りは伝票になりますし、ECもクレジット決済等現金を直接もらえるわけではありません。自分の貴重なお金を支払うお客様の表情を見られるということは、それだけでも貴重な経験となります。お客様がその商品を即決で買ったのか?迷って迷いながら2・3回来店をし買ったのか?そのようなことは、データ分析はできません。

MDの仕事において、データを分析し次の商品計画に活かすということは、重要なことではありますが、データだけを鵜呑みにして、データから見えない仮説を立て実践するようなMDでなければ、良い結果を残すことはできません。

そのようなことは、販売の経験がないと簡単にできない!ということになります。そして、MDになっても販売の現場。自分たちにとっての顧客ターゲットに近い人を常に観察することが大事になるのです。

以上が、私が”販売員経験者がMDに一番向いている”という理由になります。

しかしながら、販売の経験がなくとも、常にお客様のことを考え、足を使い販売の現場に近い位置へと真摯に立ち続けることができる人であれば、どんな職種の人にもできる仕事。それがMDという仕事なのです。

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