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ブランドの方針によってコンテンツの形は大きく変わる

アパレルのEC運用にて、MD設計が組まれた後に重要なのが「コンテンツ制作」。サイトの情報設計を組んで、商品をアップロードして、ソーシャルメディアやメールマガジンで集客して。その後、ユーザーが流入して、商品を検討する際に背中を押してくれるのがサイトコンテンツ。ソーシャルやメルマガで見て気になった商品はどのような着こなしが出来るのか?をスタッフコーデで確認したり、サイズ感や素材についての説明を記事や動画から確認したり…。

ECとMDの具体的な連動について③

ECとMDの具体的な連動について③

上記記事にも記載していますが、商品の展開計画に沿ってサイトコンテンツを作り込んでいくのですから、当然ここもECとMDが連動しています。そして、訴求方法が定番化しているこのコンテンツの作り方ですが、よくあるパターンは「ブログ・特集」「スタッフコーデ」、最近では「ライブコマース」を含む動画活用でしょうか。特に決まったルールがある訳ではありませんから、中小規模のブランドがリソースも無いのに全部手をつける必要はありませんし、全ては企業の方針次第な訳ですね。

商品詳細ページがめちゃくちゃ長いケース

今回は、筆者がよく閲覧しているECサイトで、そんな定番を無視したやり方をしているショップがあったので少しご紹介したいと思います。

米沢織の秋冬ストール

OURHOMEという兵庫県西宮市にあるショップのECサイトは地方店なのに月間280万PVというとんでもない数字なのですが、とにかく商品詳細ページが特集記事みたいにめちゃくちゃ長い。着こなしから、素材・生地の情報から、産地の情報から、用途まで、とにかく盛り沢山。(良かったらリンクをクリックしてみてください。たまげます。)

サイズ感についても一品番ごとに画像を作成。最近はInstagram上でこのような投稿をしてくれるブランドもちらほら見かけるようになりましたが、大概は「サイズガイド」にトップスとボトムスとワンピースあたりのガイドや採寸方法を作成して終わりのショップが多いです。

商品詳細ページでクロージングまで持っていくのは楽天ショップのようなイメージも受けるのですが、モールは「ニーズや手段」で検索するユーザーもたくさんいまして、ショップに対するエンゲージメントで販売しないケースがたくさんあるから致し方無いのです。それに対して、自社ECは指名買いが多いから商品詳細ページにそこまでボリュームは無く、記事コンテンツで商品訴求するケースがほとんど。OURHOMEはそんな定番な手法を完全に無視していますし、全品番これをやるのはめちゃくちゃ手間ですね。品番ごとにレイアウト変わるので、CSVでアップロードしていないのでは…。自社製品の良さを伝える努力に熱量を感じます。1型あたりの点数が極端に少ない地方セレクトショップは真似し辛いかもしれませんが、そこまで大ロットでも無さそうなのにこの運用は頭が下がりますね。

 

marimekko / マリメッコ / VIHKIRUUSU / トートバッグ(ダークグリーン)

やや似た印象を受けるのは「北欧、暮らしの道具店」ですかね。メディアコマースの運用に近いイメージです。商品を丁寧に語る部分もプロダクト、といった方針なのでしょうか。

オウンドメディアではライフスタイルについてしか語らない

よみもの

ちなみにこのショップ、オウンドメディアも運用しているのですが、こちらでは徹底して「暮らし」についてしか語っていません。「セルフケア」「子育て」「収納のテクニック」のような内容ですね。商品への導線ももちろんあるのですが、生活雑貨のみに限定していて衣料品はほぼ紹介していないのです。

ショップのコンセプトを伝える役割と、衣料品の販促をしっかり分けたわかりやすい運用方法になっていますね。改めて、オウンドメディアは伝えたい事が明確に固まっていないと運用が難しいものだなぁと痛感します。

くらしのレッスン

くらしに関しては定期的にワークショップやレッスンを開催。現在はオンラインメインでの開催ですが、1年前までは自店での開催だったようです。オウンドメディアが入り口となり、ワークショップで来店促進。ショップでの開催だから、そのまま衣料品の接触頻度も上がる、といった流れでしょうか。

 

OURHOMEとは

コンセプトが明確だからこそ、ここまで一貫したコンテンツが用意できるという証左ですね。ブランドによってコンテンツのあり方は千差万別ですし、どのような切り口でコンテンツを作り込んだら良いのか?と迷ったら、すかさずコンセプトに立ち返れば良いのです。メディアで報道される成功事例を見て、それを丸々コピーするのではなく、自ブランドだからこそ出来る販売戦略やコンテンツ施策を愚直に考える事がブランドを形成していくのだと改めて考えさせられるショップでした。

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