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商品の販売期間がどのくらいなのか?を知っていますか?

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★何故、商品が店から溢れかえるのか?

”店が溢れかえるほどの商品がきて、毎日店頭作業に翻弄されて困っている?”

こんな経験をされている販売員の方はいませんか?おそらくこの問題は、今でも多くの組織が抱えている問題なのではないでしょうか?

このような状態に陥る理由としては、(思ったように)商品が売れない!というのが、一番の理由ですが、その他にも要因があります。それは。

① 店舗の広さ・展開できる商品数を考えずに、商品を投入している
② 販売期間の設定が短い。そもそも考えていない。

この2つ大きな要因となります。

①の件はこの後に述べますが、何故②のような状態に陥ってしまうのか?と言いますと、販売期間を短く設定することに、メリットがあるからです。そのメリットとは?販売期間を短くすることで、店頭の鮮度が保たれる!というメリットがあります。

 

★販売期間を短く設定するデメリットとは?

店の商品を常に入れ替え鮮度を保つということは、販売員の皆様方が店のVMDを考える際に、常に意識していることではないでしょうか?実際、私もレディースの販売員時代には、先輩の方々に常に”店の鮮度。店が変わっていることを常にアピールしろ!”という指導を受けておりました。

しかしながら、販売員時代にひねくれものの私は、”店の鮮度も維持することも大事だと思うけど、鮮度を保つこと自体は、優先順位のもっと下なのでは?”と、いつも疑問に感じながら仕事をしていました。実際、売れる商品が1日でなくなり、また新しい商品をベースにVMDを組みなおすことよりも、”お客様の欲しい商品がある一定に期間。店にあり続けることの方が、お客様が喜ぶことなのでは?”と内心感じていました。実際、店のメインの場所に出した新しい商品が売れずに、頻繁にVMDを変更などということもありましたし、更にたちが悪いと感じたのは、売れない色・サイズが残り続けることで、客注業務が増えるばかりで、お客様への売り逃しが増え、更に店で行う業務の多くの時間が、店のVMDとストック整理に割りかれることでした。そして、自分はあきらめが早いので、ダメだと思った商品は店頭からすぐに下げるようにしていたので、そのことに伴う在庫増加でした。

結果的に、販売員時代にこのような経験をしたことから、商品の投入アイテム数のある程度の根拠が知りたい!と思うようになることに繋がり、私がMDになろう!と思ったきっかけになりました。そして、MDとして経験を重ねた数年後、その根拠となる項目の一つに、”販売期間の設定”がある!ということを学びました。

 

★商品の販売期間の設定を知っている組織は少ない?

ここで話を少し話を変えまして、商品投入アイテム数が多いイメージのある、しまむらの販売期間の設定は、噂によると、約45日前後では?と巷では言われています。実際、決算書の数字だけから判断すると、しまむらの在庫回転日数は、約55日前後である推測されます(しまむらの全業態で)ので、このことは事実に近いように思われます。

以前、他の連載でも書いたように、販売期間を短く設定すると、在庫回転日数が向上しやすい!といった内容の記事を書きましたが、逆にデメリットもある!ということを記事にしました。そのデメリットこそ、私が販売員時代に経験した前述した内容のことになります。

決算書を読むことでMDの数字面の仕事を鍛えよう⑲

ですが、意外に自分たちの組織の商品がどのくらい期間で販売期間を設定しているのか?を知らない。そもそも、そんな設定をしていないという組織が多くあります。実際このことは、上場しているような組織でも知らないケースもあるくらいです。

そこで、今回読者の皆様方に調べてほしいのが、自分たちの組織の(商品の)販売期間の設定日数どうなっているのか?そして、在庫回転日数との差がどうなっているのか?を調べてほしい!ということです。前述した、しまむらの販売期間の設定は45日だとすると、在庫回転日数との差は10~20日程度と推測されます。この場合、殆どの組織が、在庫回転日数の方が販売期間の設定日数よりも長く出る傾向となります。ですが、この差が大きすぎると間違いなく、前述したような店舗の作業量が増大したり、売上の低下と在庫の増加を招いているということになるでしょう。

 

★商品の販売期間の調べ方

そこで商品の販売期間の設定日数を調べる方法を、以下箇条書きで端折って説明しますと。

1 標準店舗の設定と展開item・SKU数の算出。
2 過去投入item・SKU数を調査
3 過去item数÷標準店舗のitem数

この順序を辿れば、販売期間を割り出すことができます。

以下、ごくごく簡単な例を用いて販売期間の算出方法を説明します。

(例)
下記の内装図の店で、2月から8月半年限定オープンしているTシャツ屋がある。(過去複数年、毎年半年限定ショップを出店している)

 

・商品は全部ハンガー掛けで、1,200MMのハンガーラック21本
・ハンガーラック1本あたりのTシャツの適正数量20点。20点×21本=420点(この店の標準商品展開数)
・SKUにつき1点。店に商品を展開
・過去3年の半年あたりの平均投入アイテム数は640item
・過去3年の1itemあたりの平均SKU数は6
・この店の在庫回転日数は50日

上記のことを前提に、この店の商品の販売期間を算出します。

*このショップの標準展開item数は?

→420÷6(過去3年の1itemあたりのSKU数)=70(標準展開item数)

*過去の商品の販売期間の設定は?

→640(過去の投入item数平均)÷70(標準展開item数)≒9.14(半年でのitem回転数)

→182.5日(半年)÷9.14≒20日(商品の販売期間)

となり、このショップは過去3年の商品の販売期間の設定は20日となります。

ということは?在庫回転日数との差は、約30日となりますから、このショップの売上は大した売上ではなく、不振商品が増え在庫が増大し、店頭業務がカオスに陥っている!のでは?と推測されます。

 

★販売の現場を負担を減らすことは、業績のアップに繋がる

上記のような事象は、この業界では多く起こっているであろうといるのではないでしょうか?特に鮮度重視で、多くの新商品を投入しているレディース業態では、このようなことが多くある筈です。今回、私が示した例は説明を容易にするために、敢えてハンガーラックのみ。Tシャツのみという設定にしましたが、実際は、カテゴリー(中分類・品種等)別に算出すると、その精度は各段と高まります。

カテゴリー別の販売期間の算出となると、算出するのに難しい側面はあると思いますが、基本的な考え方は、上記の算出を参考してもらえれば幸いです。(今後、繊研plusの連載で違う形で、カテゴリー別の投入アイテム数の算出法を記事にできればと考えています。)そして、この算出した販売期間と在庫回転日数の差を分析・検証することが、販売の現場に働きやすい環境を与える一歩となります。更に言えば、MDの改善に乗り出す第一歩ともなり、組織の業績アップにも直結します。今回のブログが少しでも、皆様方のお役に立つことができれば、嬉しく存じます。

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