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今回のブログのタイトルは、交差比率マニアの琴線に触れるようなタイトルとなっておりますが、別に交差比率を否定するものではない上に、大した記事ではないので悪しからずm(__)m
ご存知の方も多いでしょうが、交差比率の数式を以下記載しますと。
〇粗利率×在庫回転率=交差比率
これが一般的に言われる公式です。例えば、ある組織の1年での粗利率が50%で在庫回転率が3だとすると?
→50×3=150
(粗利率は0.5と計算せずに50で計算する)となります。
ここで間違えてはいけないのが、交差比率が悪い組織が必ずしも悪い組織ではない!ということです。例えば、ファストリテイリングは、決算書からざっくり数字を端折って計算すると。
50×2=100(粗利率・在庫回転率はざっくりとした数字しています)と、なります。
在庫回転率の高いしまむらは、粗利率は低いですが、交差比率でみるとファストリテイリングを圧倒している!という視点からみても、交差比率悪い=ダメな組織とはなりません。
しかしながら、交差比率はMDにとっては重要な指標であるのは間違いありません。何故ならば、より多くの粗利益を獲得すること。そして、仕入をした商品はなるべく全て売りきる!というのが、MDの仕事においての目的となるからです。
ですが。この交差比率の数式で一つ注意しなければならないのは、粗利率が数式に入っている!という点です。粗利率をできるだけ高くすることのみを、MDの目標に設定すると、仕事を遂行する上で弊害が出ます。その弊害とは?
A 値入率を高くすること(原価率を低くすること)ばかりに注力し、必要以上の数量を発注してしまう
B 値入率を高くすること(原価率を低くすること)ばかりに注力し、商品の品質を下げ、結果売れない
C 粗利率ばかりに注力することで、在庫が減らず在庫過多に陥る
この点です。特にCのケースにおいて、在庫が多いにも拘わらず、セールを控えていると在庫過多に陥ります。ですから、MDはセールという手段を棄ててはならず、セールという手段を有効に使いながら、集客を増やし、粗利率は低下しても売上を伸ばすことで粗利益の確保に努めなければなりません。
このことから見える点は、MDは粗利率ではなく、粗利益高を多く獲得することを目標としなければならない!という点か見て取れると思います。
また、上記の点を違う視点でみると、粗利率が下がる→セールをしている→売上原価高が増える可能性が高まる!とことで在庫原価が減り、在庫回転率が上がる可能性が高ります。
(在庫回転率=(期間)売上原価÷(期間)平均在庫原価)
このことから読者の皆様にも、交差比率の数式がもつ意味を捉えることが出来ると思います。
要は、粗利率を犠牲にすれば、在庫回転率がよくなりやすい。粗利率の高さに拘れば、在庫回転率が悪化しやすい。この相反する特徴を持つ指標を掛け合わせることで、バランスよく企業運営を実践する為に交差比率の指標が存在すると考えれば良いのではないでしょうか?
先述したように、交差比率が低いからと言って悪い組織とは限りません。大事なのは、自分たちの組織・ブランド・ショップに見合った、売上×粗利率=粗利益高・在庫回転率の目標を設定する!ということです。売上×粗利率=粗利益高や在庫回転率の設定は、商品そのものがよく売れるかどうか?が一番大事になりますが、以外にもブランド・ショップのコンセプトからの販売期間・サイズ展開の設計。商品の仕入先の特徴。ミニマムロットやリードタイムが重要となってきます。
それらの特徴を踏まえた上での、売上・粗利・仕入・在庫のストーリー設計をし、自分たちの組織に見合った粗利益・在庫回転の目標を具体化することが、MDにとって大事なことです。このMDにおける特徴を理解した上で、交差比率という指標を考えて頂ければ嬉しく存じます。ということで、今回のブログは終了です。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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