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今週は43週です。東京の過去30年の平均最高気温は20.4℃。最低気温は12.9℃です。おはようございます☀。MDアドバイザーのマサ佐藤です。
今回は、記事にするタイミングが遅かったかもしれませんが、この時期になると、アパレル小売業の仕事に従事されている皆様方が、とても気になること。
”今年は冬商材は売れるの?暖冬だとヤバくね?”
冬商戦に大きな影響を与える、10月~12月の気温に関することを記事に致します。
2018年より3年続けて”暖冬”ですが、防寒アウター等冬商材が良く売れた!と言われる2017年と、前年の売れ方をみて冬商材を積み込み、多くの冬商材が残ってしまったと言われる2018年の気温の推移・差を検証することで、11月以降のMDの期中運用に少しでもお役に立てれば!と存じます。
検証する前に、2017年・2018年もそうでしたが、ここ数年の気温の推移を見ていると、36週から41週(10月10日前後の週)までが、平年よりも気温が高く、ほぼ夏に近い気温です。このことが、より暑さを感じさせることに繋がっていると推測されます。ざっくりいうと、秋が年々短くなっていると感じていらっしゃる皆様が多いのは、このことに起因する可能性が高いです。では、2017年と2018年のそれぞれの気温推移と平年差を見てみましょう。
因みに一般的に言われる気温による服の変化は以下のようになります。(個人により差はあると思います。)
<気温別服装指標>
26度以上~…半袖シャツ一枚
23度~25度…長袖シャツで動き回るとじんわり汗、半袖の人も多い
22度~20度…長袖のシャツ
20度~15度…秋物のニット、または半袖にカーディガンやパーカーなど1枚羽織るもの
15度~12度 …冬物のニット・トレンチコート
11度~7度…コート
6度以下~…コートに加えてマフラーや手袋が必要
(私の体感は上記よりも1~2℃下くらいの感覚です。なんか15℃〜20℃が雑な感じですが笑)
まずは、冬物が良く売れたと言われる2017年をみてみましょう。気象庁のデータを調べて私が作成したグラフが下記のものです。また、過去30年の平均最高気温と平均最低気温の推移も併せてグラフにしています。(見づらかったらすいませんm(__)m)
寒いと言われた2017年も、実は41週は平年よりも気温は高くなっています。しかしながら、着眼すべきは42週・43週です。例年ですと、42週は冬アウター等の冬商材が、店頭に多く出始める時期と言われています(特にレディース)。2017年は、この時期に平年よりも大幅に気温が下がっていますから(最高気温が5.5℃。最低気温で2.2℃平年より下がっている)冬商材の初速が良かったと推測されます。また、LTが2カ月くらいならば、商品の追加が間に合いますから、12月中旬以降に売れ筋商品の在庫の積み増しも可能です。
そして、冬商材が良く動き始めると言われる45・46週ですが、実はこの週の気温は平年と変わらない気温となっています。45・6週は、最低気温が10℃を切り始める時期になりますから、特にレディース中心に冬商材が良く動きます。(ブランド・ショップのコンセプト。価格帯で冬商材の動く時期に差があるので、現役MDはそのことも加味してください)更にこの年で特筆すべきことは、47週(勤労感謝の日の週)の最低気温が例年よりも3℃ほど低かったことです。このことで、冬商材の動きに加速がついたと推測されます。更に言えば、12月も低温傾向が続いていますから、42・43週で結果の出た商品の追加等が入荷すれば、売上が加速したと推測出来るのではないでしょうか。
続いて暖冬と言われ、多くの冬商材が残ってしまったと言われる2018年です。
暖冬と言われたこの年ですが、10月は平年の気温とさして大差がありません。しかしながら、着眼すべき点は、冬商材が良く動きだす週と言われる45・46週の気温が高かったことです。特に最低気温が2℃~4℃高くなり、10℃を大幅に超えています。このことで冬商材の動きが鈍ったものと推測されます。そして、とどめは11月末~12月上旬が高温傾向(2℃~4℃気温が高い)になったことで、お客様視点で考察すると、この時期に気温が高かったことと、店頭に在庫が多く揃っていることで、(冬商材の)セール待ちの心理に陥らせてしまった可能性が高いと言えるのではないでしょうか?
この10月に、私が店頭を回った主観で言いますと、42週に冬商材は例年よりも展開されていない印象でした。(週末にはレディース中心に大分冬商材は展開されていた。)これは、過去3年続いた暖冬の影響で、意図的に納期を44週前後に集中させていることと(某大手メンズショップのスタッフに冬商材はいつ入荷するの?と尋ねたら、入荷はしているが商品を出してしてない!との回答もあった。)、中国の停電・ASEANのロックダウンの影響等によるものと考えられます。ですので、2017年のように、冬商材の入荷・展開と気温の低下が重なった42週に多くのデータを得られることはないでしょう。(東京は42週は2017年並の低温だったが)
寒いと言われた2017年も、45・46週は平年程度の気温でしかありませんでした。45週から冬商材の動きが活発になってくるということから考えると、例年よりも冬商品の入荷が後倒しの今年は、より冬商品のジャッジメントを短い期間で下さなければなりません。(因みにルミネ10%等、ディベロッパーのイベントも45・6週が多い)もし仮に今年の45週・46週が平年よりも高温傾向になった場合。その後の冬商戦は苦戦すると考えられるので、この時期より、先の在庫消化計画を具体的に立案し直した方が良いでしょう。粗利率は犠牲にしてでも、売上と粗利高の出来うる限りの最大化出来る策が必要です。
仮に気温が平年通りに落ち着けば、コロナ禍や商品の納期遅れ影響があるとしても、冬商材の動きが大幅に悪くなるということは考えづらいので、売れる商品・売れない商品の見極め、納期遅れ商品の処遇をしっかりと行った上で、その先の具体的な施策を立案すべきです。
45・46週の気温動向は、当該週の10日前までには、ある程度の精度の予報が出ていますので、随時チェックするようにしてください。最後に、10月~12月の長期予報のリンクを下記貼っておきますので、こちらも参照ください。
この度は、記事をご覧頂きありがとうございます。次週もよろしくお願いいたします。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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