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セールをしないことが本当に正しいのか?

新年あけましておめでとうございます。今年も皆様よろしくお願いいたしますm(__)m

 

★セールをしない!ブランド・ショップがそんなに良いことなのか?

暇なときにTwitterを見ていると、フォローをしていないアカウントの投稿を目にすることがあるのですが、そんな投稿の中で、最近気になったのは。

”ルイヴィトンはセールをしない!ルイヴィトンから学べ!””セールは悪だ!”

等の香ばしさを感じる投稿です。(上記の言い方は少しニュアンスが違うかもしれませんが(笑))

アパレル小売り他ならず、すべての小売業者がセールをしたくないのは当然のことです。ですが、セールをしないと成り立たない組織が殆どです。

理由としては、セールをしなければ在庫が残ってしまい倉庫に保管するか、(食品等は)廃棄するしかなく収益や資金繰りを圧迫させるからです。MDの仕入の基本的な考えである”売れる分だけ仕入れる!”ことが完璧に出来れば、上記のような綺麗ごとは成り立ちますが、そうは簡単にいかないのが事実であり現実です。特にアパレル小売りの場合は、商品を作る・仕入れる際に”ミニマムロット”が発生します。これが”売れる分だけ仕入れる”という理想の邪魔になります。また、ミニマムロットを減らせば当然のことながら、商品の原価が上昇します。そのことで。高い価格設定をすれば、原価率は抑えられますが、インフルエンサー系やIT系の香ばしい界隈の人たちが立ち上げたブランドの商品に、お客様は価格以上の”付加価値”を感じることが出来るでしょうか?

また、セールしないことに拘るのは良いのですが、知名度がさしたるものではなければ、集客もままならずに、売上をクリアするどころか、在庫の山が積み上がり借金だけが残ることになるでしょう。仮に、売れたとしても”ミニマムロット”等の理由により、売れる以上の在庫が残れば、資金繰りが悪化し組織の存続が危うくなります。
特に、このセールをしないデメリットの中で、最大のデメリットととも言えることは、在庫が積み上がることでの”資金繰り”の悪化です。商品の仕入業者に先にお金は支払ったのに、商品が中々売れずに店頭・倉庫に残った状態になると、セールという売れない商品を現金化する最適の方法を放棄したわけですから、組織の手元のお金が少なくなることは、読者の皆様方の方が理解出来るでしょう。

 

★予約販売やクラウドファンディングという手法もあるが

それでも在庫を持ちたくない。セールをしたくない!という理由から、ECで予約販売だけで頑張る!という手法もありますが、そもそも商品を購入しても、手元に届くのに数か月かかる商品を根気強く待ってくれるお客様はどれだけ存在するのでしょうか?その少ないお客様で組織の存続が、損益から見てもサスティナブル(笑)のでしょうか?

更に、クラウドファンディングという手法があります。これは、商品を作る前に支援者から現金を得ることが出来ますので、資金繰りという面から言えば良い手段になります。(見方を変えれば、資金繰りが苦しい組織やブランドは、クラウドファンディングを多用するとも捉えられる)ですが、これも予約販売と本質的には変わりませんので、予約販売やクラウドファンディングだけで、組織を持続可能な状態に保つ!ということは、難易度が高いと考えた方が良いでしょう!また、経営的に考えれば、このようなブランド・ショップを多発しても、組織の成長の限界が来るのは早いはずです。

 

★前始末が重要

現在、私は学生に新規ブランド・ショップの立上計画を通じマーチャンダイジングを教えています。マーチャンダイジングにおいて必要な材料を揃える前段階として、具体的な人件費等の損益計画。利益を上げるために必要な集客数等、他の先生方の連携し指導しています。そのことで、学生が新規事業を立ち上げるには、どのような事前準備・前始末が必要なのか?ということを学んでいます。仮に、セールをしないブランドを立ち上げる!となると、それだけ色々なデメリットが存在する!ということを、事前に具体的な数字から読み取ることが出来る!ということを学生は理解しているわけです。

セールをしない!ブランド・ショップが理想形である!ということを否定はしませんが、あたかもそれが絶対に正しい!かのように語る・喧伝するような風潮は如何なものなのでしょう。そのような香ばしいことをSNS等で発信される方々が、具体的な数字。決算書等から見える検証等の発信をするのを一度も見たことがありません。もし仮にSNS等のそのような風潮を信じ、新しいブランドやショップを立ち上げても、サスティナブル出来ない組織が増えるだけであり、寧ろ、業界にも環境にも良いこと等何もありません。

大事なのは、セールをしないブランド・ショップを、メリット・デメリットをテーブルの上に並べてから、自分たちがこれから立ち上げたいショップ・ブランドの事前準備・前始末。特に具体的に数値化してから、実践に移すことが重要なのではないでしょうか?世の中の綺麗ごとに絆され、立ち上げては廃業するブランド・ショップを見るのは、もうたくさんです。

この度は、記事をご覧頂きありがとうございます。次週もよろしくお願いいたします。

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