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職業柄、ファッション雑誌に目を通すことが多い筆者ですが、ここ最近「カタログ通販を読んでいるようだ」と思うことがしばしばあります。(おっさんが女性誌読んですみません)
ちょうど全体の半分くらいを読んだころからそのようなページが出現するのですが(特に集英社・光文社)、大体は雑誌社側がECサイトを運営しており、自店の取り扱いブランドを誌面で紹介。(QRからECへ飛ばす、という導線)中には雑誌社とブランドのコラボ商品や、雑誌社側が生産しているPBの展開も見られ、「広告費だけではやっていけない雑誌社側の都合もあるのかなぁ」と思ったりなどしております。
そこで本日は、筆者がよく目を通す雑誌中心にEC周りの現状の取り組みを簡単にまとめておきたいと思います。
「最近よく見る」と冒頭で言ったものの、もう10年近く前からこのような取り組みを強化していたのは集英社さんでしょうか。LEEマルシェの事例は特に早かったですね。ECの運営からポップアップの展開、さらには「HAPPY PLUS STORE」の常設店の運営などなど。雑誌社の中ではぶっちぎりで早かったように思います。もはやアパレル企業と同じ機能を持っているのでは、と思ってしまうほどです。
余談ですが、雑誌社のポップアップの展開で言いますと、
こちらでも書きました阿倍野ハルカスの店舗とFUDGE ONLINEの連動などが見られますね。阪神百貨店に出店しているリンネルの店舗は、雑誌やECとの連動があまり見られませんが、これから強化する可能性はあるでしょう。(しかしなんで関西に多いんや…。)
雑誌社側の自社ECの運営で言いますと集英社以外でも数年前から取り組みはスタートしておりましたが、最近では媒体からECへの送客がより顕著にはなってきております。冒頭でもお話しましたが、まるでカタログ通販です。その中で特に「よく見るなこのブランド名…。」と思ったら、雑誌社が運営しているPB(プライベートブランド)だった、という落ちもあるあるです。
こんな感じで、ブランドによっては数年前から既に展開が見られますね。自前で集客装置を持っているのですから、そこから自前の商品を販売するのが一番利益率が高い訳でこのような展開は自然な流れでしょう。PB展開だけではなく、媒体とコラボしたブランドも優先的に掲載されていますね。(そういえばアダストリアのバンヤードストームも、元々はVERYとトリニティアーツのコラボブランドでしたね。)
その中でやや特殊なケースはDマガジンと組んで導線を作っているGISELe(ジゼル)でしょうか。
GISELeとDファッションの取り組みは、docomoのサブスクリプションサービス「Dマガジン」にて、GISELeのページにBUYボタンが付くというもの。タップしますと、DファッションのECサイトの特集ページへ遷移します。紙媒体ではできない仕様ですが、気になる商品があればそのまますぐECサイトの商品ページを閲覧できてしまうので非常に便利ですね。普段からDマガジンを使っている方にしかリーチしないのでその分、母数は減ってしまいますが、販売促進はしやすいでしょう。
設置されているQRは雑誌社が運営するECサイト中心ですが、たまに自社ECに飛ばしてくれるQR見つけると「あなたが神か?」という気分になります。まぁ広告なのでお金は支払っているのでしょうけど。(SWEETはもうちょっとECへの導線設計ちゃんとしてください)
逆に、このような雑誌社の名前を記しながらブランド側のECで特集を公開する、という形も最近ではよく見かける事例ですね。
https://www.instagram.com/p/CXN_rHZPSNd/
https://www.freaksstore.com/feature/2021/12/eye5.php
ECで販売する訳なので、雑誌社はインスタの運用も積極的ですし、ライブもやります。
https://www.instagram.com/tv/CTo1JH1MOSO/
インフルエンサーを読んで集客を担保しようというケースもよく見る光景ですね。(よしみち、どこにも出過ぎでは…。)
(VERYの集客力すげぇな…。)
雑誌社は普段から、モデルやスタイリストとの繋がりも豊富なので、影響力のある方をお呼びするのは比較的容易でしょう。しかし媒体によっては中々ライブの集客に手こずっているのでは?というケースも散見されますので、顧客属性によってはライブが有効でないこともあるようです。(雑誌社じゃないけどユニクロとかオンワードのライブ、死んでますもんね…。)
https://baycrews.jp/event/christmas2020/vol2/
上記はベイクルーズでよく見られる事例ですが、サイト内でライブ配信をする際に雑誌社とコラボするケース。こちらはブランド側の自社ECで販売するものになりますが、有名モデルをゲストに呼び、雑誌掲載したアイテムをプッシュしています。コンテンツ力が強いので、十分な販売促進にはなりそうです。
最近(と言いつつ結構遡ったな…)の雑誌社のEC周りについて簡単に触れてみましたが、媒体によって取り組み方に差はあるものの、ECへの送客に関してはどこも意識しているご様子。(モード誌は皆無)しかし、集客が担保されたからと言えど、ブランド運営・ショップ運営には確実にMDが関わってきますので、雑誌社が物販をする場合はアパレルのノウハウを持つ人材が中にいないと運営はままならないでしょう。(委託の割合結構多そうですが。)
媒体側のリーチはブランドにとって新規獲得の貢献度が高いものですから、このような事例をチェックしながら、自社ならどのように活用して認知を取るかを考えるのも良いかとは思います。
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。Twitter(@fukaji38)
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