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適正在庫???わかりません。

★実務者からの質問で一番多いのは??

この1年間は、アパレル小売業だけに留まらず、様々な業種の方々。特に実務者の方と話す機会が多く、大変有意義な1年でした。

実務者の方々とお話をする中で、多くの質問をぶつけられることが多いのですが、その中で一番多い質問と言えば??

””適正在庫”はどのくらいが良いのでしょうか?”

という質問です。

その質問には、私は即答でこう答えます。

”御社の詳しい情報ないので、それはわかりません。自分たちで見つけてください。。。”

 

★在庫(金額)に影響を及ぼすこととは??

そもそも、アパレル小売業に在庫金額に影響を及ぼすものと言えば?

・商品そのもの(売れない商品は在庫になるのはあたり前田のクラッカー)

・仕入形態(ミニマムロット等の問題)

・価格戦略・LTの長さ(発注から店頭に入荷するまでの期間)

・カラー・サイズ等SKU数

・販売期間の設定(短ければ少ない在庫金額になりやすい??)

その他にも多々ありますが、こんなところでしょうか??

例えば、震災になるとコンビニエンスストアから商品が消えていきます。これは、震災で物流網がストップし商品が補充されない。ということです。このことを考えれば、コンビニエンスストアは1・2日程度の在庫しか店頭にない。ということになります。

 

★自分たちの特徴を理解することが大事

この業界でよく言われるQR(クイックレスポンス)も達成できれば、上記のコンビニのように平均在庫が少なくて済む!ということから推奨している人が多いということです。

しかしながら、メーカーは在庫を持つリスクを負わない。また海外生産でLT(リードタイム)が長い状況で、QRを導入しようとしても、寧ろメリットよりもデメリットの方が多くなるでしょう。

また、販売期間の設定が2か月で、LTが2か月ならば理論上は追加発注が不可能ということになります。

追加発注の精度を上げて売上を伸ばす!という施策も緻密なMD設計をしなければ、ただただ在庫が増える要因となるだけです。

ということは、アパレル小売の同業種の在庫回転の平均どうこうなどの議論は、上記をみてもわかるように全く意味がないということになります。

 

★勉強不足は上層部

更に、この業界で多いセレクト業態。ライフスタイル業態はその品揃えの多さから、品種によって在庫回転が全く変わってきます。

販売期間が短く、回転の良いレディース衣料と、販売期間が長い。また、仕入業態も衣料品とは全く違う、生活雑貨がレディース衣料品よりも在庫回転が悪いのは、当然のことです。

しかしながら、このことを理解しない。できていない。事業責任者等上層部が、同じ尺度で、生活雑貨担当を𠮟りつける等の光景をよく見かけます。

それは、上記のようなことを理解していない。また、自分たちの持ち駒(仕入業態・販売期間の設定等)に応じた、在庫予算を設計出来ない上層部の責任でしかありません。

まずは、”適正在庫”がどうだこうだ!という前に、正しい知識で正しい数字の並べ方をして、自分たちの現状を可視化する。

そして、自分たちにとってのベターな在庫のストーリー(当然時期によって、在庫金額の良し悪しは変わる)を知るということが重要です。

また、在庫の金額だけではなく、在庫そのものの質を判断出来る、ルール作りということも必要となってきます。

実態の見えない適正在庫がどうこういう前に、この業界の役員・上層部こそがMDの数値的側面を基礎から勉強することこそ、この業界に必要なことではないでしょうか。。。

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