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この1年間は、アパレル小売業だけに留まらず、様々な業種の方々。特に実務者の方と話す機会が多く、大変有意義な1年でした。
実務者の方々とお話をする中で、多くの質問をぶつけられることが多いのですが、その中で一番多い質問と言えば??
という質問です。
その質問には、私は即答でこう答えます。
”御社の詳しい情報ないので、それはわかりません。自分たちで見つけてください。。。”
そもそも、アパレル小売業に在庫金額に影響を及ぼすものと言えば?
・商品そのもの(売れない商品は在庫になるのはあたり前田のクラッカー)
・仕入形態(ミニマムロット等の問題)
・価格戦略・LTの長さ(発注から店頭に入荷するまでの期間)
・カラー・サイズ等SKU数
・販売期間の設定(短ければ少ない在庫金額になりやすい??)
その他にも多々ありますが、こんなところでしょうか??
例えば、震災になるとコンビニエンスストアから商品が消えていきます。これは、震災で物流網がストップし商品が補充されない。ということです。このことを考えれば、コンビニエンスストアは1・2日程度の在庫しか店頭にない。ということになります。
この業界でよく言われるQR(クイックレスポンス)も達成できれば、上記のコンビニのように平均在庫が少なくて済む!ということから推奨している人が多いということです。
しかしながら、メーカーは在庫を持つリスクを負わない。また海外生産でLT(リードタイム)が長い状況で、QRを導入しようとしても、寧ろメリットよりもデメリットの方が多くなるでしょう。
また、販売期間の設定が2か月で、LTが2か月ならば理論上は追加発注が不可能ということになります。
追加発注の精度を上げて売上を伸ばす!という施策も緻密なMD設計をしなければ、ただただ在庫が増える要因となるだけです。
ということは、アパレル小売の同業種の在庫回転の平均どうこうなどの議論は、上記をみてもわかるように全く意味がないということになります。
更に、この業界で多いセレクト業態。ライフスタイル業態はその品揃えの多さから、品種によって在庫回転が全く変わってきます。
販売期間が短く、回転の良いレディース衣料と、販売期間が長い。また、仕入業態も衣料品とは全く違う、生活雑貨がレディース衣料品よりも在庫回転が悪いのは、当然のことです。
しかしながら、このことを理解しない。できていない。事業責任者等上層部が、同じ尺度で、生活雑貨担当を𠮟りつける等の光景をよく見かけます。
それは、上記のようなことを理解していない。また、自分たちの持ち駒(仕入業態・販売期間の設定等)に応じた、在庫予算を設計出来ない上層部の責任でしかありません。
まずは、”適正在庫”がどうだこうだ!という前に、正しい知識で正しい数字の並べ方をして、自分たちの現状を可視化する。
そして、自分たちにとってのベターな在庫のストーリー(当然時期によって、在庫金額の良し悪しは変わる)を知るということが重要です。
また、在庫の金額だけではなく、在庫そのものの質を判断出来る、ルール作りということも必要となってきます。
実態の見えない適正在庫がどうこういう前に、この業界の役員・上層部こそがMDの数値的側面を基礎から勉強することこそ、この業界に必要なことではないでしょうか。。。
【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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