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ファッションを哲学する:「なんの為に衣服を着るのか」

 

「オシャレはどうでもいい」と言いながら、明日の会社や学校に何を着ていけばいいか分からない。「服なんて着られればいい」と言いながら、ショップの前で白いTシャツか、黒いTシャツか迷っている。こういう状況に出くわしたことのある方もおられるかと思います。ほとんどの人が無自覚に明日の服を選びますが、一体その思考プロセスに隠された作業とは、何なのでしょうか?「なんで服着るのかな…?」と思いながら読んでくださると幸いです。

 

仮説①恥への抵抗・保護

仮説②体温調節

仮説③身体の保護

仮説④性的魅力の発現

仮説⑤コミュニティの自覚

仮説⑥自己拡張としての作用

結論

仮説①恥への抵抗・保護


もしこの文章を読んでくださっているあなたが、渋谷のスクランブル交差点に裸のまま突っ立ってたとします。するとどうでしょう、あなたは恥ずかしいと思いますか?

では仮にそこに人がいないとします。どうでしょう、恥ずかしいと思いますか?或いは、アフリカやなんかの奥地に行って、誰もいない場所で素っ裸になる、これを恥ずかしいと思いますか?

全ての状況下で「服を着ていないと恥ずかしい」と思うのであれば、服の役割は確かに「恥への抵抗・恥からの保護」ということになります。しかし、家の中に一人きり、誰も絶対に入ってこない、といった状況で「恥ずかしい」と思わない場合は、「恥への抵抗・恥からの保護」ではないということになります。

つまりは「他者」の存在によって左右される不確実なものであり、人前で裸でいることが恥ずかしいから、というのは衣服を着る理由になりません。

 

仮説②体温調節


次に考えられるのが、体温調節です。暑ければ脱ぐし、寒ければ着ます。別に衣服の素材が「繊維」である必要はなく、プラスティックや紙でも良かったはずですが「繊維」が生き残ってきたことからして、衣服は確かに体温調節の機能を持っていることは事実です。

一方、体温調節だけを主軸とするのであれば、ファッション性は皆無で良いはずですし、衣服だけが果たせる役割ではありません。いずれにしても「体温調節」が衣服の中心的な役割であるということは言えません。

 

仮説③身体の保護


次に考えられるのが「身体の保護」です。今は、というか現代社会は都市化が進み、そりゃもう原始時代に比べて、くっそ暮らしやすくなっていることでしょう。しかし、スーパーマーケットの無い時代は、自分で鹿や猪、あるいはそれらの動物を狩る必要があり、当然「服を着る理由は身体の保護」であったことでしょう。

それに、今でも僕が山に登る時は、動きやすさと身体の保護、つまりは「機能性」を最重視します。

ですが、中々普段の生活の中で「あぁ~今日は闘うから鎧を着ていかなあかん」などという事態は起こらず、いずれも「身体の保護」だけが衣服を着る意味ではありません。

 

仮説④性的魅力の発現


仮説①で書いた「恥への抵抗・恥からの保護」によって、衣服は身体を覆うようになりました。そのことによって逆説的に性的魅力を高めることに至ったのは事実です。隠されているから知りたい、と思うのは人間の本質的な価値観にも思えます。例えば、原始の時代から今に至るまで誰も服を着ていなかったら、今「エロい」とされている部分を私達は「エロい」と感じることができるのでしょうか。

また一方で、今はポリコレの影響で見る影もなくなった「らしさ」を示すのも衣服の役割の一つで「悪いヤツらしい」「清楚系らしい」などのやや画一的な表現や、まるで禁忌のような取り扱い方をされている「女らしさ」「男らしさ」を表現・他覚させるのも、衣服の役割の一つです。

 

仮説⑤コミュニティの自覚


セブンイレブンに行ったとします。仮に店員さんが、制服を着ていなかったら、あなたは店員さんのことを見つけることができるでしょうか?まさか「あなたは店員さんですか?」と聞くわけにもいきませんから、制服を着ていない人に対して「店員である」という判断を下すことが出来ません。

しかし、制服を着ていてくれさえすれば、その判断に迷うことはありません。つまりここに存在する衣服の意義は「コミュニティの自覚」であり、あるいはコミュニケーションを短縮する効果すらあるのです。意志決定のプロセスを単純化・短縮化することによって、よりスムーズな社会活動を推進する意義があります。

 

仮説⑥自己拡張としての作用


芸人、千原ジュニアはかねてから「赤いパンツ」を着用しています。2022年2月頃からは「赤いふんどし」に移行したそうですが、ジュニアは赤パンを履くことで知られています。同じようにタモリは黒いサングラスを、クロちゃんは主に「半袖短パン」(つい最近出たばかりの記事が面白かった)を着用しています。

この場合の「衣服」は、やはり自己拡張としての一面が強く、つまりは「自分がここに存在していること」や「自分が自分であること」の証左として、衣服を着用していると考えられます。また、身分制度があった時代から解放され、民主主義的な自由を象徴しているのも衣服=ファッションの特徴的な点です。

僕個人としては、やはりこの自己拡張としての作用が最も強いのかな、と考えています。

 

結論:


そして、僕が導いた結論は「わからん」ということです。要するに「服を着る意味は○○である」と断定はできないということです。当たり前ですが、それは個人に委ねられたもので人それぞれでしょう。しかし、あなたは、あなたの隣の人は、或いはあなたのお店のお客様は、一体何のために服を着るのでしょうか?僕のお店のお客様は、まさか体温調節のために服を買ってくれているとは思いません。これらのやや哲学的な問いを丁寧に解き明かしていくことによって、顧客のニーズが抽出され、より分かりやすい各戦略に繋がりうるかも、と思わずにはいられません。

例えばとある日本のブランドは、コンセプトに「日常で闘うための戦闘服」「”私のため”のセクシーへ」「究極の普段着」などと設定していますが、いずれも普段から当たり前に服を着ている人こそ、もう一度「自分は何のための衣服を着るのか」を自身に問うても面白いかもしれません。

 


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