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前回以下の記事をアップいたしました。
今回の記事は、前回の記事の流れを切らずに、マーチャンダイザーの仕事に関することをお伝え致します。
マーチャンダイザー(以下)が、期中対応における仕事(特に数字面の)を遂行する上で、避けて通れない仕事は大きく2つあります。このことを以下を記載しますと。
A 現時点から過去を分析・検証する仕事
B 現時点から先の未来を具体的に表現し、そのことを実践する仕事
この2つです。
Aの過去の検証・分析は、アパレル・ファッション小売業の組織の大小問わず、日々行わていることだと思います。しかしながら、何故分析・検証するのか?という目的を理解していないまま仕事を遂行しているケースを、私は過去何度も目撃しました。分析・検証を行う最大の目的は、過去の傾向から、先の未来を表現し、(ブランドやショップの)現状をより良くしていくための策を練り、実践することが最大の目的になります。上記の例で言えば、AからBの流れが重要だということです。
また、過去の分析・検証をデジタルツールがあたかも全て解決するような言動を取る方が多くいらっしゃいますが、過去の記事でも述べてきたように、大事なのはデジタルツールの立派さではなく、自身のブランド・ショップコンセプトを体現する商品管理ルールを具体的に作成しておくことが重要です。
次は、Bの件です。「先の未来を具体的に表現し、そのことを実践すること。」私がMDアドバイザーとして最重要視している点はここですし、このことが出来ていない組織が多いからこそ、弊社は仕事を頂けています。このことで重要なのは、常々申している通り、ブランド・ショップの顧客の購買行動を表現できる単位で、売上だけでなく、粗利・仕入・在庫計画までを具体的に表現・計画し、計画を達成する為の行動を実践するということです。昨今、在庫適正化・削減ツールなるものが世に登場していますが、売上だけが良くてもダメですし、無闇やたらに在庫を減らせば良いということでもありません。
MDは売上・粗利・仕入・在庫の一気通貫の管理が必須であり、そのことで売上・粗利の最大化。適正な在庫コントロールを実践しなければなりません。ですので、私の独断と偏見での見解ですが、現状デジタルツールの力だけに頼っても、アパレル・ファッション小売業におけるMDの解決は無理である!と考えています。特にアパレル・ファッション小売業のMD部分において、でデジタルツールの力では解決できないことが2つあると考えています。それは以下の2つです。
①商品のリードタイムの長さ(在庫回転に大きな影響がある)
②ファッション特有のノリ(トレンド等に代表される部分)
このことです。私は現状、デジタルツールの力で”売上予測の精度”を高めることは可能だとおもっております。特に、ある程度大きいデータを持っている組織では、過去のデータから適切なアルゴリズムを構築することが可能な筈です。しかしながら、このことにも弊害があり、新規商品の予測が難しいということです。これは発注数量の大小や、予約販売の結果等で予測するしかないので、その精度は低いといわざるえません。それでも、デジタルツールの力で先の2~3ヵ月くらいの売上予測が出てくれば、MDの業務は大分改善されるのも間違いがありません。そのことで、上述したBの精度が上がれば、業界に良いことであると私は考えています。
最後に、アパレル・ファッション小売業の組織で週・月単位で行われるMD会議やMTで重要なことは、過去の話に終始することではなく、過去の結果を分析・検証し、(現時点から)先の未来を現状よりよくしていくのか?議論し改善策を決定することが重要です。だからこそ、MDは(現時点から)先の未来を具体的に表現するツールが必要であり、そのツールを活用し、先の道標を具体的に表現し実践する力こそがMDに求められている力です。このMDの本質を理解することこそ、今多くのアパレル・ファッション小売業に求められているのではないでしょうか?
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【(株)エムズ商品計画オフィシャルサイト】(株)エムズ商品計画代表取締役。大分県大分市出身。リテールMDアドバイザー。繊研新聞社より「数学嫌いでも算数ならできる筈〜算数で極めるMDへの道」出版。大手アパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、あらゆる分野のマーチャンダイジング改善に従事。唯一の趣味は古着収集。
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